たまには短いことばを書いてみたい。
冗長なんじゃなくて。 殺ぎ落とされたことばで、いらないものなんてひとつもなくて 鋭利な、シンプルな、 ことばを。
ずいぶんとおかしな夢だけど。 でも本気でそうだったりする。
あたしは、嘘はつかないことにしている。隠し事がいくらたくさんあっても 嘘はつかないことにしている。
吐くときは盛大に吐くことにしている。 一生、 それこそ 白い骨になっても飛び散ってだれかの耳にはいることなんてないくらい 後生大事に。自分でも本当だと信じられるくらいに、盛大に。
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たとえば、隔日に日記をかいてみる。
この日記の設定を決めるとき あたしはなんとなく習慣で、それに冗談もふくめて 翌日に跳ぶ場所を「あさって」と指定したのが、ほんとうになってるな、 と笑いながら、書いてみる。
ほらね、ほんとうになったでしょう。
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ひとあめごとに緑がもりあがっていく。 それに重なるように わたし、が、落ちていく。
雨は好き。
でも、このからだとこころは、雨にきらわれている。
わたしには ゆくあてのない片思いがいっぱいあって、 みんな、それに気がついたその場所で、かたまって、ころがって、 打ち捨てられて 泣いてる。
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ああ、朝鮮朝顔が、見たいな。 あの、毎年根元まで切り詰められるくせに 春になればにょきにょきとのびていって、どこまでものびていって あたしの頭を追い抜いて雨宿りができるくらいのびて そうして、 やさしいオレンジ色のおおきな喇叭形の花を、無数に垂らす あの、朝鮮朝顔の花が、
みたいな。
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正体不明の、アトピーさん、というちびっちゃい怪物が 少々、駄々をこねはじめた、からだは、 常時 微熱をもって、そうしてがさつく。激しくがさつく。 傷としわに覆われた腕に噛みつくと、見慣れた血がどこからかにじむ。 黒ずんだ皮膚がおちていく。 ばらばら ばらばら 細胞の欠片。
もしかしたらあたしの通ったあとには道ができるかも知れない。
冗談で笑う。 高村光太郎ごっこ、アゲイン?
「ぼくの前に道はない」
こわれていく皮膚に爪を立てる。 剥がれ落ちたあたしの細胞は死んでしまったから其処からすてられる。 あたらしく現れる皮膚は まだ、息ができていない、うすいピンク色をさらして 外界はまだ見たくなかったと、言う。
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ちいさなかたすみでいい。 きちんと息ができる場所が ただそこにあれば、それがわたしにはほんとうの いちばんの夢。
いちばんの嘘。
2002年6月16日、夜時間 まなほ
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