『 hi da ma ri - ra se n 』


「 シンプルに生き死にしたかった 」


2002年06月19日(水) 今日みたく晴れなら。


久しぶりにバイト以外で、外に、出てみました。

うん。

おおよそ、
10日ぶりに。

今朝未明。
このあいだの精神科通院のときに、あまりの眠れなさに
お薬を変えてロヒプノールとかいうのになったというのに
いつのまにか相変わらず中途覚醒するようになった自分に
腹を立てて、(だって、3時間半じゃ睡眠は足りないと思います……)
午前4時、目を覚ましながらもベッドに居座り続け
居座り続け、
居座り続け、、、
起きているのにくたびれたころに、二度寝する。

…あまり二度寝といいませんね、これは。(笑)

そうして。


落ちる。

………前は兄の上に落ちたと書いたような気がするけれど、今度はベッドから落ちる。

(だって寝返りをうったらその先にマットレスがなかったんだもん)


「・・・・・・痛ッ!!!」


そしてあたしは無事(?)に目を覚ましました。
いつもは眠っている、昼間に。


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カーテンをあけて窓を開けたら、今日は久しぶりにひるまもきれいに晴れていて、
目の前の高校からは、なんだかわからないけれどはしゃぐ生徒の声が
聞こえていました。内容はわからないけど
ちょっぴりなつかしい
母校の、だれかの、声。
まぶしい、声。

あまり明るいところを見るのに慣れていない目は
ひるまの晴れたひかりをみると、きぃんと痛み。

はしゃぎすぎて馬鹿さわぎしすぎて
先生にたしなめられている台詞なんかを、
耳が、ふと、とらえれば
くすくすと笑いながら、涙ぐみそうになる、
あたしがいます。


ねえ、高校生のころ。
17歳のころ。

あたしはね、とってもね、シアワセ、だったよ。
生きていたなかではじめてなくらい、とっても
シアワセ、だったよ。

……届いたらうれしい、そのころ一緒にいた誰かへの告白。


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久しぶりのお出かけ先は、病院(皮膚科)、でした。
なんか、ぜんぜん色気ないやねえ、あたしってば。(苦笑)

まだ、気分的に喪中のあたしは。
あの、黒い帽子をかぶって
自転車を走らせて

あ。
そらって、こんなふうだったっけ。

あ。
この道って、こんな色だったっけ。

あ。
いつもの朝の、交通整理のおじさん。

あ。

あ。・・・

風を切って、走る。
そのきもちのよさを思って
まだ、あたしは人間なんだなと、ふわりと思いました。

だから、まだ、だいじょうぶ。

だいじょうぶだよ。

(どこかで泣きそうになってる誰かへ)


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しかし。(苦笑)

そんなきもちのよさを吹き飛ばす勢いで、
皮膚科はなかなか精神修養ではありました。
じぶんが
ただ、怠け者でここから動かずに座り込んでいるのでは、なく、
精神的に、どこか病んでいることを引きずり出される瞬間の、連続。
そこはかとなく絶大な恐怖。ところかまわず震え上がるからだ。狭くなる視界。
ぶれる視界。足の、力が抜けてく。崩れ落ちそうになる。
あいた椅子に座ることもなく(今座り込んだら二度と立てない)壁でからだを支えながら
がたがたと、震えながら
ピルケースから、白い錠剤ひとつ取り出して、のみくだす。

うまく息ができない。できない。

酸素切れの金魚。

ぽこぽこ

ぽこぽこ

あたしはおさかなではないのだから
水のなかでは死んでしまいます。

(そうでなければよかったのに)

お薬だけをもらって帰りました。
清算のときに
震えて硬貨をうまくつまみ出せない手に
いらだたしさと、あせりを、感じながら。

外に出ればそこは知らないせかいだった。
ああ
また、切り離されちゃった。

わたしだけ蚊帳の外。
または
わたしだけ卵の殻のなか。

逃げ出すように薬局を出て自転車にカギをつっこむ、
なのに押し込めない。
おかしい、おかしい。
がちゃがちゃとカギを入れては回そうとするのに開かない。
そうしてふと、
その自分が格闘している相手の「24インチ」というサイズに気がつき、
籠の黒さに気がついた。
じぶんのばかさかげんに薄笑いしてしまう。あるいは
押し殺して気がつかないふりをしていた内心の動揺に
気がついて。

5メートルかむこうにあった、「あたしの自転車」を探しあてて
そうして今度は、ぶじ、がちゃりと音を立ててカギをあけ、歩きだす。
26インチの、うすみどり色の相棒をひっぱって。


昨日。
バイト帰りに乗った電車でいつしか眠り、浅く浅く眠るなかで
ひどくきもちのわるい夢を見て目を覚まし
目を覚まそうと努力しながらまた夢に引きずり込まれ、恐怖にまみれ、
目を覚まし、そしてまた悪夢に引きずり込まれ、
いやというほどそれをくりかえしながら電車をおりて
ふらふらと、転びそうになりながらあずけていった写真のカートリッジ。

プリントされたそれを、ひきとる。
「おなじみの」フジカラーのフィルムショップで。
愛用しているハイネックの長袖のカットソー、
そろそろ袖の短いものに変えないと、湿疹とかゆみが悪化してしそうなため
お店の人に相談をしてみようと、「行きつけの」お洋服やさんに寄り、
「いつもの」お姉さんとお話をする。
そして、フィニッシュ。
東京やら東京大学やらに行ってしまったモノズキな友人たちのために
「行きつけの」紙雑貨屋さんで、何枚かのポストカードを買った。


・・・・・・いそいで、いそいで、辿る。「正気に返るためのいくつかの手順。」


そうして、また、
自転車に乗って帰り道をたどる。

まっすぐに
まっすぐに

落ちていく鴇色のおひさまにむかって自転車を走らせていく。


これだけが、あたしの一日です。
働いているみなさん、ごめんなさい。
なにもつくらず、なにも苦労せず、
食いつぶすばかりで、ごめんなさい。
おかねを使うばかりで
なにも生産することはせず、ごめんなさい。

ごめんなさい。


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サトくん。
ごめんなさいを数え上げると、息がつまっていくね。
足元が、どんどん狭まって、もろくなっていくみたいだね。
近づけないひとが、どんどん増えていって、どんどん、かなしくなって、
瓦礫の上に立って、ごめんなさいを言い続けて
足元がくずれたら
いっそ楽になるかもしれない、
そう思っちゃうようなときも、、、、、ある、ね。


最近、よく、ものをなくします。
わすれもの。
おとしもの。
買ったはずなのに見つからないもの。
記憶がないの。


そんなじぶんに、
苛立たしさとふあんを思いながらあたしは今日も
ここにいました。生きていました。


「今日みたく晴れなら」


きっと。

泣くのではなく。

眠るのではなく。

微笑んで、笑って、おどるような足取りで、

あなたのとこまで、会いにいける。

きっと。

きっと。



          ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・親愛なるきみへ。臆病でちびなうさぎより。


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