片目をふさいで、そとを、みる どこにあるとも知れない沈丁花が 鼻先を、つよく香り
ああお別れの季節だ。
しずかとは言えないこころもちで今を迎えて 腫れあがったまぶたとか抜けたまつげが、時間の推移を からだにとどめている。
三度目の嵐は過ぎたけれど こころのあらしはときどき起き上がり また吹き荒れてあたしを蝕みます。 月が欠けるならいいけれど 世界が片端からぼろぼろと欠けてゆくのは そうして、自分のきのうやあしたがどこにもみつからなくなり 半狂乱の姿を抱え込んでうろつき
ああ私がゼロになる どこにもなにも見えない
と
……ものすごく長い二週間のなかでよくわからない混濁があって もう ほんとうに 生きるとかしぬとか、そんなのは つかれたよとそれだけを しみだすように感じて
前のことを忘れてしまった。 あったかいもののことや きれいなもののことや そういうことを吹き飛ばして
どうやって生きていったらいいのか わからなかった 思い出そうにも なにもなかった
暴れまわる耳の奥底に染み付いた声のひびきとそれから つきまといはなれない足首をつかんで離さない し、というどうしようもない絶望でもって どこへでも好きにあたしを引きずり振り回してて
ああきっとあなたはこんなふうに世界を感じていたんだろうと 遠のいてくるしいだけになっていく重い重い視界を、一秒ごとに 歯を食いしばって続けて それが人生で、、、
「それでも、いなくなられたくなかったの」
後悔はふかく切り込みを入れて注がれました。 傷口は縫い合わせることができなくて
涙が出るうちはまだよかった。 これからさきは 泣けなくて、泣けなくて、泣けなくて 服も重くて
いままでのじぶんがおもいだせない。
どこへいけばいいんだろう。
春を にくみそうになる この勘違いしたあたまで
3月22日
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