物語も、たべものも、 やわらかなうたも 届かない 役にたたない この空洞に
わたしはとてもさびしいとあなたにいえない
一度空想してしまった夢が 膨れ膨れてからだじゅうを喰らいます きみのぬくもりを 反芻しながら
あたしがひとり 花みて凍え 北から吹く風 目尻から吹き飛ばす、なみだ
喪失がかたちになったなら このはかない花の色を映して 降りしきるでしょうか
病院の庭の桜、 今年もまた ひとりで見上げて
……見飽きるくらい眺めてるきみには ただの風景のひとつかも知れないけれど
けれど、ね……?
四月二日、未明
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