このさびしいにつけるクスリがないから あたし、ひとり毛布かぶって なにも知らないようにつとめた
内側から立ち上ってくる痛みや飢えには 完璧に無頓着には、なれないのに
今日のおしまいの名残のひかり、 冷気といっしょに打ち寄せてくるよ なにをしてなにを食べたっけか? 淡い記憶がひとりじゃたぐりよせられない
痛いなあ、と 気がつくと思っている今だった。 それはとてもつまらなくて あたしは別のものに、なりたかった すくなくとも、歪まないで笑えるものに。
昨日、朝顔の種をまいた 今朝、去年の枯れ蔦をむしり掃除した 無言でこの手だけを使って。
土のにおい。
ふかぶかと吸って、 溜息をついたんだ それよりほかには何もないくらい 鮮やかな印象をのこして初夏がゆく。 さびしいを、打ち消せないながら あたしのまわりを時がゆく。
逝く。
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