『 hi da ma ri - ra se n 』


「 シンプルに生き死にしたかった 」


2006年05月17日(水) 初夏の手は

このさびしいにつけるクスリがないから
あたし、ひとり毛布かぶって
なにも知らないようにつとめた

内側から立ち上ってくる痛みや飢えには
完璧に無頓着には、なれないのに

今日のおしまいの名残のひかり、
冷気といっしょに打ち寄せてくるよ
なにをしてなにを食べたっけか?
淡い記憶がひとりじゃたぐりよせられない

痛いなあ、と
気がつくと思っている今だった。
それはとてもつまらなくて
あたしは別のものに、なりたかった
すくなくとも、歪まないで笑えるものに。

昨日、朝顔の種をまいた
今朝、去年の枯れ蔦をむしり掃除した
無言でこの手だけを使って。

土のにおい。

ふかぶかと吸って、
溜息をついたんだ
それよりほかには何もないくらい
鮮やかな印象をのこして初夏がゆく。
さびしいを、打ち消せないながら
あたしのまわりを時がゆく。

逝く。


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真火 [MAIL]

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