『 hi da ma ri - ra se n 』


「 シンプルに生き死にしたかった 」


2006年07月19日(水) 波風のよな雨だから

この夜の雨はまるで季節のさかさになったように降るから
あたしはその音の打ち寄せるたび、天井の下で小さくなる
弱小な、やわないきものは
たったこれだけの雨音で
じぶんをみうしなえるのね
あるいは
見つけられるのね
いつもは(たぶん)隠し通せている
おびえながらせかいに、つかまっている立ちんぼの存在
どこにいるのかいていいのか
次々、わからなくなっていくから

夜の雨

波のように強弱をかかえながら
ふたしかなものを、うちたおしにくる

朝が来る、とて
すくわれるわけでなく

となりに誰がいるんだろ
いても、いなくても

あたしは雨の音で咽までいっぱいになり
こころは心臓とからだの怯えを
すきまなく抱えて、聴いていて

きみのキスも
あたしをここから出せないって
それだけは、もう
ずいぶん前から知っている

けど

……ひとりでこわがる、それはとても、こわいよ


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真火 [MAIL]

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