さみしいを
どこかで買い込んでおうちにかえり
ただいまとて靴ぬいでみたところで
ぼんやりと気がつくのです
ここをとりまく糸くものよな、はりめぐらされたさみしいや
鞄のなかにびっしりと詰め込まれてた、かたちのないさみしいに
追い出せないさみしいに
さみしいとごはんをたくさん食べました
さみしいさみしいとたくさん笑って笑いました
それからうたも歌ったし
おふとんにくるまりほこほこともし
しかし でも
こんなにしずかなさみしいは、どこまでわたしをはなさない
とうとう空は割れました
朝の気配、闇の雨、みんなみんな
あたしのさみしいの扉をがたがたと叩く
きみがいても止まないふるえ、
むやみにひろい水たまりを蹴って
はねちらかして
止まない止まないさみしいと
手をつないでみているこの景色
|