睦月の戯言御伽草子〜雪の一片〜 Copyright (C) 2002-2015 Milk Mutuki. All rights reserved
道標|過去へ|それから
2002年04月10日(水) |
ここの人たちは世話好きで |
おしゃべりな人が多い。だからって、色々、聞き出そうとしたりはしない。 僕の気持ちをほぐそうとしてる感じがよくわかる。僕の部屋の担当は若いらしい(?)三毛猫の「花」でこの子は、仕事よりおしゃべりが多くいつも、番頭に叱られている。 「だってネェ(笑)。ここにこんなに長居する方も珍しいですよぉ。せっかくだから、もっとゆっくりしていってくださいネェ。」と、今朝は言ってた。 そうそう、番頭は猿なんだよね・・(笑)。猿って、そそっかしいイメージなのに、結構しっかりしている。良く、主人が叱られているんだ。 「旦那、しっかりしてくださいよ!あなたがそんなにのんびりしてたんじゃ、仕事が止まっちまいますよ!」 そういって宿帳を確認しながら調理場へ入っていってまた、キーキー言ってる。結構おかしいんだよね・・それがさ。やっぱり猿ってうるさいんだって思った。 ここでの従業員と主人のやり取りは結構面白い。立場が反対なんだよね。でも、みんな主人を大事にしている。変な関係だよ。僕が気に入ってるのは板長の熊。みな「板長。」って呼んでるから名前は知らないけど、いわゆる職人肌で無言で料理している。イメージどおりでつまんないって思っていたんだけど、黙ってみてると、結構、そそっかしいんだよ。その辺はまた話すとして・・・。 とにかく、ここは、客の出入りが激しい。泊る者、お茶だけで出ていく者、色々なんだけどほぼ一日中出入りしている。たとえ夜中でも、みながうれしそうに接待している。そして、誰もが、うれしそうにどこかへ去っていく。
そうそう、宿の前は三差路になっていて道の先は見えないんだ。 「行く気になったら道が見えてきますよ。」 と、主人は言っていた。
僕は殆ど毎日する事もなくこうやってみんなのしごとを眺めている。そして、主人に誘われては、茶室にきている。特に話すでもなく、庭を眺めつつお茶を飲むだけ。庭は、雪のむこうに椿の生垣があって、なんともいえない赤さで飽きないんだ。後は、露天風呂にだらだら入っていて番頭に叱られるのも日課かなぁ(笑)。 「気に入っていただけているのはわかるんですがネェ。掃除くらいはさせてくださいよ。」って
|