マキュキュのからくり日記
マキュキュ
■■■
■■
■ 【ショートエッセイ】母の香り 


 皆様 おはようございま〜す今日の松本は、見渡す限りに曇り空が広がっていて、我が家の窓から見える、遠い山々の風景が、まるで、墨絵のようです。

こんな日は、風景を眺めながら、(゜‐゜*) ホケーッ・・・と過ごすのもいいかもしれませんね。(*^_^*)



 今日は、『泣きたい香り』と、同じ時期に書いた、香りのエッセイ・パート��
 『母の香り』 を読んで下さい。


                
              『母の香り』


 母が亡くなって、もう十年以上が過ぎ去った。
 私の幼少時代、母はまだ、自分の夢を捨て切れず、大して売れもしない女優をしていた。

 母は、中々の美人で、とってもお洒落な人でもあった。

 勝気で独立心が旺盛だった、そんな母は、呑んべぇで、お人好しで、やはり売れない喜劇芸人だった頼りない父を尻目に、女優の傍ら、銀座で雇われマダムもしており、殆どは、母一人の力で、祖母・曾祖母を含めた一家5人の暮らしを支えていたと言ってもいいくらいである。

 母は店への出掛けには、いつも決まって青い小瓶に入った『香水』を振り掛けていた。

 私はその瞬間の母がとても素敵に見えて、艶やかで美しい母の姿を、口をポカンと開けて、見惚れていたものだった。

 母はそんな私に、いつだって苦笑し、私にも、香水を一振り、掛けてくれる。

「ねぇママ、これ、なんて言う香水?」

「スワルド・パリっていうのよ」

「ふーん・・・・・・」

 幼い私に取って、香水とは、夢の国へと誘う魔法の薬にも思えた。

(ママの匂いは・・・・・・スワルド・パリか・・・・・・)

 そして年月が経ち、母は離婚し、何時しか母に新しい恋人が出来た。


 その人には奥さんがいた為、母は日陰の身ではあったが、母が死ぬまでの二十年間、その人と母は、ずっと良い付き合いを続けていた。

 話は前後するが、何故か母は、その人と愛し合うようになってから、突然、香水を変えてしまったのだ・・・・・・。

 母の香りが、『スワルド・パリ』から、『夜間飛行』へと移り変わった。

 大好きだったスワルド・パリから夜間飛行に変えた母を、一時、私は嫌いになった・・・・・・。何故なら、それは、父を、捨てた匂いだったからだ。

 四十歳をとっくに過ぎた今になって、母の気持ちが痛いほど良く解るのだが、当時、私はまだ十歳だった。


 いくらダメな父親でも、優しく、人間味に溢れた父が、私はこの上無く大好きだったのだ・・・・・・。


 やがて、母が亡くなり、生前お洒落だった母に、何か施そうと思った時、少々考えて、私は迷う事無く、夜間飛行を母に振り掛けた。

 今頃母は、何処で、どんな夜間飛行をしてる事だろう・・・・・・。

 
 
 
                BY   マキュキュ
 


2002年04月12日(金)

My追加
☆優しいあなたは両方 クリック してくれると思うな〜☆ 人気投票ランキング
≪ ≫ 初日 最新 目次 MAIL