マキュキュのからくり日記
マキュキュ
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■ 【限りなく実話に近い架空の物語】 悪夢の昼下がり(前編)


 今日は、朝から晩まで忙しくて、日記を書いてる暇がなかった。( ;^^)ヘ..

 だから、取り合えず、昔書いた、ショートドラマを掲載します。
 これは本来、オムニバスドラマの脚本用に書いた原作で、結局脚本に書き換える前に自滅させた作品です。(爆笑)
 そして、これは、完璧なフィクションであって、事実とは無関係な、小説、だという事を、どうかお汲み取りください。  ハイ・・・・・・。



             『 悪夢の昼下がり 』


 窓から吹き込む、心地良い春風に鼻先をくすぐられ、二階の寝室のベッドで、つかの間のうたた寝から目覚めた明美は、怠惰な猫のように、思いっきり身体を伸ばした。
「ヒューッ、気持ち良いぃ〜っ! 二日酔いの割には、何て、すがすがしい目覚めなの?」
明美は、そう、独り言を呟くと、物干し場の洗濯物を、隣接の寝室に投げ込み、鼻歌を歌いながらそれ等を丁寧に畳み始めた。
 昨夜は、ついついビールを飲み過ぎ、酒のツマミ以外、主食らしい主食を口にしていない明美は、自分の腹の虫が奏でるトランペットに、自ら苦笑した。
「すっごい! まるで、フリージャズ!」
 チラリと時計に目をやると、午後の二時を指している。「あやや・・・、もう二時か・・・腹減ったなぁ〜。でも、ガマンガマン。これだけ畳んじゃえ」
 テレビでは、オリンピックで見事銀メダルを採った、シンクロナイズド・チームの競技VTRが流れ、興奮過剰気味な、新人の女子アナが、鬼コーチと呼ばれる女性に向けて、ド素人のような陳腐な質問を浴びせている。

「今、選手達に一番掛けてやりたい、労いの言葉は何ですか?」

(今更そんな質問すんなよ。もう、とっくに掛け終わってるだろーがよ、銀メダル取ってから一体、何日経ってるんだ・・・・・・、えっ?)
明美は、思わず漏らした自分の言葉の下品さに、舌を出した。

 女子アナとは、かなり対照的な、余りに素気無い鬼コーチのコメントが、とてもウケタ。

 ふと、ドアの装飾ガラスの向こうに、鈴の音がし、最愛なる『キム』の愛しく美しいシルエットが、廊下に写る。
 明美が夫よりも大切にしている雄の黒猫だ。
「オッ? 帰ってきた、帰ってきた・・・・・・」

 キムは、今朝の七時頃から外に出たまま、少し長めの散歩を終えて、今帰ってきたのだ。

 何時もなら、帰って来れば、すぐさま、自分でドアを開け、まっすぐに明美のもとに直行してくるのだが、今日は中々入ってこない。
ドアの向こうで、しきりに何かにじゃれ付いているのが、半透明のガラス越しに見える。
 明美は、虫でも連れて来たんだ・・・、と思い、「キムたん、お帰りー。何やってんのかなぁー?」と、迎え入れようとしたその瞬間、明美の顔は蒼白し、身体が凍り付いた。

「ギェーーッ!」

 キムがじゃれ付いていたのは、何とした事か、多分・・・・・ネズミである。多分と言うのは、ハッキリ見られないからだ。
黒灰色の、とてつもなくブヨブヨと柔らかそうな10�堕�のグロテスクな物体を、こずき廻していたぶっているのである。そして、そこには、明らかに血痕らしきものも見えた。

 一気に全身の毛が総毛立ち、見る見る鳥肌がた起って行く。明美は瞬時にドアを閉め、キムが入ってこれないように、ドアに長イスを交った。
(どうしよう・・・・・・)アレが存在する限り、もう、二度とドアを開けられない。明美は寝室に閉じ込められてしまったのだ。

キムはドア越しに、何故に入れてくれないと言わんばかりに、いとも恨めしげに「ニャオニャオ」喚いている。しかも獲物を捕らえたのは初めての事なので、キムとしてはその物体を明美に見せて、手柄を誉めて欲しいのか、ご丁寧にも、ドアすれすれまでソレを引きずって来ている。

(あー神様・・・・・・)

 明美はおろおろしながらも、冷静に考え、比較的、近くに住んでいる友人三人に、祈るような気持ちで手当たり次第に電話を掛けてみた。
二件は留守で、やっとつながった女友達の美沙子は、「冗談でしょ? アタシがネズミを触れると思うの? バーカ」と、けんもほろろである。
 明美は大いにパニクッた。

 こうなると、忘れ掛けていた色々な現象が一気にに肉体を襲って来る。
先ず朝から水一滴口にしていない。二日酔いと恐怖とで喉がカラカラだ。寝室のミニ冷蔵庫には、ラム酒とウォッカしか入っていない。ペットボトルの飲料水は、真夜中じゅうに、飲み過ぎの乾きから、一滴残らず飲み干してしまっていた。その飲みっぷりを思い出した途端、あ〜、トイレも行きたい・・・と、泣きたくなった。

 トイレも、今朝起きた時、仕方なく、かろうじてふら付く足で、夫である浩介の弁当を作りに、階下に下りた時、朝イチで行ったっきりだ。
あー、水が飲みたい。珈琲も飲みたい。お腹もペコペコ・・・・・・。
何時もなら、何かしらのスナック菓子くらい二階の部屋にも在るのだが、今日に限って何も無い・・・・・・。タバコも僅かに二〜三本残っているだけだ。明美は絶望感で、本当に、少しだけ泣いた。
 こんなにも、愛しいキムを、明美は初めて恨んだ。

                      (後編へ続く)


2002年04月13日(土)

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