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■ ミュウー (第一章)【�后曄�
(5)
「ねぇ・・・お父さん、一生のお願いだよ、たのむから、ミュウーを飼うことをゆるしてよ」
僕はひっしで、手をすりよせた。
「いったい、おまえの一生のお願いは、何回あるんだ?」
お父さんは、うで組をしながら、僕をにらんだ。
「だけど、あなた・・・・・・。テッチには、いつも、さみしい思いばかりさせて来たんだから、飼わせてあげましょうよ。ねっ?」
お母さんが、ここぞとばかりに、助け舟を出す。
「そんな事いって、本当は、おまえが飼いたいんじゃないのか?」
お父さんが、お母さんをジロリとにらみ、意地悪く、かたっぽのまゆ毛をつり上げる。
お母さんは、首をうなだれる。
―日曜日の朝、僕とお母さんは、ひっしで、お父さんをくどいていた―
しかしお父さんは、「ダメだ」というばかりで、なかなかOKを出してはくれない。
しまいには、ヨッチまでも呼びよせ、僕達と一緒になって、お父さんに、たのんでもらった。
「おじさん、お願いします。かならず僕達二人だけで、ミュウーのめんどうをみますから」
それには、さすがのお父さんもこまってしまい、
「飼ってやりたいのは山々だし、僕だって猫は大好きさ。だけど、この家は、こんなボロ家のくせに、ぜったいに動物を飼っちゃいけないって言う、最初からのけいやくなんだよ・・・・・・。もしもあの、へんくつ大家にバレてみろ、きっと追い出されちゃうぞ? ここの大家は大の動物ぎらいだし、ものすごくうるさいので有名なんだから・・・・・・」
お父さんがみんなの顔を、見回す。
「大家さんの家は、遠くはなれているし、家賃(やちん)を遅(おく)らせないかぎり、バレないよ」
そういいかけた僕に、
「ナマ言うな! そうはいっても、もしもって言う事も有るし、ここを追い出されたら、今度こそ、家なき子になるんだぞ・・・・・・」
と、お父さんが、へんなジョークまじりで答える。
「前に、私達が家泣き子になったのは、お父さんのせいだけどね・・・・・・」
お母さんが、ヒニクをいうと、お父さんは大きく肩(かた)をたれた。
僕達は皆でシュンとして、下を向いた。
ミュウ―を真中にはさんだまま、僕達は、ため息ばかり、ついていた。
そんな事も知らずに、ミュウーったら、のんきに眠り始めてしまった。
◊ ◊ ◊ ◊ ◊
なんだかんだと、言い合ったあげく、けっきょくお父さんは、僕達三人の、ひっしのせっとくに負けてしまい、しかたがないので、大家さんには、ナイショでミュウーを飼う事をゆるしてくれた。
「ヤッタァー。お父さんもクリア!」
僕とヨッチは、抱(だ)き合って喜んだ。
でも、僕は、チョット、いやな予感がした。
「もし本当に、大家さんにバレたら、どうしよう・・・・・・」
すると、お父さんは、むねをたたいて言った。
「その時はその時だ! お父さんが、かならず何とかするから、だまってみてろって!」
「イヨッ! おじさん、かっこイイー」
ヨッチがかけ声をかけると、僕達は、又、笑いのうずに、つつまれた。
ミュウーは皆の笑い声におどろいて、目を覚ますと、僕らの顔を見回して、
「ミュウー?」
と、一声鳴いた。
そして僕の家は、又しても、笑いのうずにつつまれた。
―二章へと続く―
2002年06月04日(火)
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