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■ 【エッセイ】 最高に良〜〜〜い時間を過ごした。(パート�供�
【M】のお母さんの家に着くと、お母さんはチョコンとコタツに収まり、既に焼酎を独りチビチビ飲んでいたww。退屈なので、一杯やってそろそろ眠ろうとしていたらしい。 コタツに座ってる・・・、という感じではなく、正にそこが彼女のお定まりの場所であって、いかにもそのスポットにチョッコリと収まって居る・・・そんな感じだった。ww 長屋風の古びた建物に、とても良く似合っていて、私は昭和の良い時代にタイムスリップしたような心地良さを覚えた。
お母さんは小ちゃくて細い。 足が少し不自由らしく、シワシワの左手にもサポーターが巻かれてはいるけど、とても元気そうだ。 晩酌だけは毎晩欠かさないらしい。 寂しさよりも気楽さを選び、自由気ままに独り暮らしている・・・。そんな感じに見て取れた。
私はまじまじと彼女を見詰めた。 なるほど【昌子】にそっくりだ・・・・・・。 鼻筋が通っていて、メガネをかけていて、俯いた感じなんて、本当にそっくりだ。 人懐っこさも、初対面の他人を気安く受け入れる器の広さも、昌子そっくりだ。 声も低く、話す感じもそっくりだ。
私の昌子は、62歳で神様に撤収されてしまったが、今も昌子が生きていたら、きっとこんな感じになっていただろう・・・・・・。 私の昌子は生憎、酒は一滴も飲めなかったが、タバコとコーヒーは欠かさなかった。 お母さんの傍らに、母が吸っていたのと同じダバコが置かれている。 私は昌子がこの世に舞い降りてきたような不思議な錯覚に捕らわれた。
【M】がお母さんに私を改めて紹介してくれ、お母さんは「よろしくね〜」と微笑んで、皆で早速乾杯をした。 【M】は甲斐甲斐しく動いている。結構マメなのだ。コンビニで買ってきたつまみやら、何やらを、一生懸命進めてくれる。 【M】って本当に、心の底から優しい人間なんだなぁ・・・・・・アタシは改めて、つくづくそう感じた。コレだ! このマメさが【M】が女にモテる、一番の理由なんだろう・・・・・・。フムフム・・・。
【M】のお母さんは可愛い。86歳の彼女はまるで童女だ。 無邪気で、お茶目で、小ちゃいわりに、豪傑だ。 細かい事を全然気にしない、太っ腹なところがある。 【M】に「あんまり飲んじゃダメだよ!」「もう、コレでおしまいだからね!」と釘を刺される度、『嬉しくて楽しいんだもん、良いじゃないよねぇ〜』と、私に舌を出しながら救いを求めるww。
『ねぇ?ねぇ? お母さんの若い頃の写真とか、無いの?』 私が聞くと、お母さんはニッコリ笑って、待ってましたとばかり、手を伸ばした整理棚から、古い写真の袋を出した。ww 「アチャ〜!! マキりゃん・・・、又余計な事を言うしぃ・・・・・・。お袋にそんな事言ったら、喜んじゃって徹夜になるぞ・・・!」【M】がマユをしかめている割には嬉しそうに愚痴る。
【M】の子供の頃の写真や、お母さんの若い頃の写真が沢山詰まったセピア色の袋。その中から袋と同じ色の写真が一杯出てくる。 一枚一枚、写真を取り出しては、私に丁寧に説明してくれる。
写真を見終わると、今度は自慢のノートを取り出し、自分で作詞した歌の歌詩や、小雑誌に載った詩などを披露してくれた。
『へぇ〜、お母さん・・・、こんな事もしてたんだぁ・・・・・・。』 そのノートには、古い歌謡曲の歌詞なんかも沢山書かれている。 さすが【M】のお母さん。この親にしてこの子有りか・・・・・・。 やはりお母さんも【M】同様、歌が好きらしく、文芸にも興味が有るらしい。
私は嬉しくなって、その中の知っている歌をリクエストしてみる。 【M】は「オイオイ・・・」と呆れ顔。 お母さんはお構いナシに喜んで歌いだす。 音程もリズム感もしっかりしていて上手上手。 私も混じる。やがては3人の大合唱となる。
楽しいなぁ・・・・・・。嬉しいなぁ・・・・・・。良いなぁ、良いなぁ、こう言う時間・・・・・・。 私はすっかりお母さんと仲良しになってしまった。
86歳の童女がニッコリ笑う。 48歳の童女もニッコリ笑う。 44歳のハナ垂れ小僧もニッコリ笑う。 皆で嬉しくて楽しくて仕方が無い。
私のリクエストに答えるたびにお母さんはとっても嬉しそうだ。 そこに【M】の携帯に妻から電話が入る。 【M】はシーッ! と口に指を当てる。 どうやらこの宴会は妻には極秘らしい。 お母さんと私は顔を見合わせ、口をつぐみ、悪戯っぽくウインクをする。
電話が切れ、再び大合唱となる。 お母さんのコブシの利いた歌いっぷりに、彼女の人生が垣間見える。 この人生の大先輩は、86年間と言う長い長い人生の中で、一体どんな修羅場と、どんなドラマをかいくぐって来た事なのだろうか・・・・・・。 そんな人生を引っかぶった彼女が今、無邪気な童女に帰って楽しそうに歌ってる。
私は目鼻の奥にツーンとした痛みを覚え、少し泣きたくなった・・・・・・。 でも、何の涙だろう・・・・・・。哀しいわけでも辛いわけでもない。聖母に抱かれた時のような、暖かい癒しに似た安堵の涙だ。 その涙をグッと隠し、お母さんを抱きしめたい衝動をグッと堪え、私はノリノリで歌った。 童女の手を叩き、リズムを取りながら、一生懸命歌った。
「ねぇ?ねぇ? マキりゃん・・・、見てよ見てよ、コレ良いと思わない? お袋の誕生日に買ってやったんだけどさぁ・・・・・・」 突然【M】が棚から一つのアンティークランプを取り出して来た。 それは30センチ四方の、わらぶき屋根の民家を模造した装飾用のランプなのだ。 障子紙には所々ほころびが有り、そのほころびがなんともリアルで哀れっぽくて、物悲しくて、哀愁が漂っていてとっても良いのだ・・・・・・。 家の真ん中には囲炉裏があり、鍋が揺れている。 何処もかしこも本物そっくりに作ってある。 部屋の電気を消し、そのランプに灯が点ると、私はなんとも言いようが無い感動に包まれた。 3人は思い思いにその暖かなランプに魅入っていた。
この家に又何時か遊びに来よう・・・・・・。 独りでもいいから、此処に来てお母さんに遊んでもらおう。 又二人で酒を飲みたい。又二人で合唱したい。 私は心からそう思った。
【M】のお母さんに昌子の代わりをしてもらおう。 泣きたい時に此処に来て、シンミリしたい時に此処に来て・・・・・・。 昌子を身近に感じながらお母さんと仲良く遊ぼう・・・・・・。
【M】のお母さんを見ていると・・・・・・。同じような借金で綱渡りをしながらも、楽しくおかしくアッケラカンと生きている【M】を見ていると・・・・・・。 借金苦に疲れ果てて死んでしまいたい・・・なんて思っていた自分が情け無くなった・・・・・・。
貧乏でも、明日の米に困っても、私の周りにはこんな良い友達が一杯居て、良い人生の先輩が居て、こんなに良い時間を提供してくれているじゃないか・・・・・・。 心からありがたかった。 それだけで十分じゃないか・・・・・・。 それだけで、生きていて楽しいじゃないか・・・・・・。
いつか、こんな仲間達と、一緒に大きくなって行きたい。 一緒に幸せになって行きたい。 同じ希望(ユメ)を実現させて、成功して、今を笑い話にしたい。
遊び心と童心を持った、本当に人間っポイ良〜い親子だった・・・・・・。 【M】との親友度もグンと増し、私にはこの日、【マサコちゃん】と言う素晴らしいお友達が、新たにもう一人増えた。
2004年04月26日(月)
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