青山といえば、昔、中央線沿線のイェルサレムと言われる程、新興宗教の総本山が有る街の予備校に通っていた事があって、そこで聞いた話。
その予備校は実は某宗教団体が経営していて、出版印刷物など全て同じ市内に有る関連企業で生産されていて、更には教室が有る周辺の住人は殆ど信者だという。その中に宗教団体が運営する喫茶店と言うのがあって、そこがまた‘占い喫茶’らしいのだ、それもえらく高い金とる。まあ塾に通う受験生達にもその事を知るものが多く恐い物見たさで店に入ってみる輩がいたそうな。そこで店に掛るメニューに“青山カレー”と言うのがあったらしくて、受験生達は受験生なもンだから、てっきり青山大学を喰う位の験担ぎなのかと思ったそうだ。しかし、実はその団体の教祖の名前が‘セイザン’と言うらしくその名を冠した、ま、或意味とても霊験あらたかなカレーだったそうな・・・・、という話。 あと、某松本さんの団体にも昔、荒川良々を小さくした様な、青山と言う名の弁護士がいたな。
で、本題の青山は、青山に有る草月ホールで“全日本総合悲劇協会”『業音』を見てきました。その草月ホールだが、最寄り駅が青山1丁目だったので、てっきり青山スパイラルホールのちょっと先の方位の印象でいたんで渋谷から歩いて行くつもりだったんですが...。ちょっと太めの友人と余裕もって渋谷に着いたつもりが、交番で聞いても首を捻られてしまい。どうもやばそうだと、取り敢えず青山通りのずっと先と言う事だけを頼りに急遽タクシーに乗り込み草月ホールと告げると・・・殆ど赤坂見附でやンの!!銀座線で約3駅分の距離は30分弱で歩くには俺でもきついぞ。走っても厳しい、まして彼と一緒では劇見る前に疲れ果ててしまう。そんな理由を聞いた、タクシーの運ちゃんが急いでくれて10分ぐらいで到着、それも会場前に横付けで十分間に合いました(多謝)。
さて、そのタクシーに乗っている時、乗っている時間が短かった割には運ちゃんとの話が弾みました。 その内容が−−−ちょうど窓から道々に架けられた昇りが目に付いた‘青山まつり’(今週末青山一帯で行われている)に端を発し、お祭りは本来季節や宗教・慣習など人々の生活に深く関わっていた儀式的な催しのはずで、最近の‘なんとか祭り’(青山祭り、中央区祭り、麻布十番祭りなど)はちょっとどうかと思うねぇ・・・なんて話になって、(運ちゃん曰く)「私、学生の頃の専攻が‘文化人類学’なんでそう言うの詳しいんですよ。」とか、「東京の人の方が案外、田舎から出て来た人よりも東京の事知りませんよねぇ」なんて話しをしたんですが、大学に行ってないでプ−をやっている自分は、実は受験生の頃文化人類学に興味があったので“いくら文系とは言え、私のやりたかった学問を履修して大学出ていてもタクシーの運転手になってたりするンだよなぁ”と、この御時世が空寒くなってしまう様な事を思いました。(しかし、この考えはタクシー運転手に失礼だとは思うんですが、映画とかTVでタクシー運転手ってリストラされた人が就くとか、そんな印象が出来てしまっているので・・・実際には10年位無事故無違反でいなきゃ就けなかったり、結構シビアなのは知ってますが。)
まあ帰りは歩いたんだけど、やっぱり小1時間掛りました。チョと雨にも降られたし、疲れたよやっぱり。
“日本総合悲劇協会”『業音』:先ずは劇場だが、今回19日と20日の2種類を確保していたのだが20日は前から3列目だけど一番端だったので、前から10列目のど真ん中の席だった19日に行く事に。これが正解で10列目でも段差があってかなり見やすかったです。感じグローブ座っぽい作りかな。 松尾スズキ作・演出の芝居は『キレイ』『エロスの果て』『悪霊』『マシーン日記』に続いて5回目になる。一番好きなのは『キレイ』で、『エロスの果て』の印象が一番薄い。
あらすじは・・・夜道を帰る途中、歩道に突っ込んで来た車に妻を跳ねられた自殺願望の有る男・松尾。跳ねたのは老身の母を介護しながら演歌歌手としてデビューを目指す年増の歌手・荻野目慶子、同乗者の皆川。デビュー目前と言う事も有り、なんとか事故を揉み消そうとする二人だったがその見返りとして、植物人間となった妻の代わりに松尾と結婚するはめになった慶子。勢い妊娠してしまい歌手でビューがピンチに!それでは困る慶子、なぜなら彼女には運命共同体の宇都宮出身兄妹がいて・・・と、前半彼等のキャラに終止していていまいち進むのが遅い。
今回は、まるで女性器を連想させる舞台美術や衣装、なぜか常時黒子の様に佇むダンサーなど凄く抽象的なデザインなのだが、各々のキャラクターが持つ悩みや行動、吐き出される台詞は凄く現代日常的なリアルさに満ちている。そのリアルの罪重ね(積重ね)が真綿で首を閉められるようにドンドンのしかかてきて二進も三進も行かなくなってくるンだけどそれでも生きて行かなきゃいけない。死んじゃえば楽なンだけどそれすらも許されない。生き続けてゆく事を強いられること、業を背負い行き続ける(GO ON)。
全体としてチョット台詞が多いかな、人によってはやたら説教臭いと感じる向きも有るんじゃないだろうか?特に、後半病院に忍び込んでの志摩の語りなどはちょっとそのまま過ぎ。ただその台詞の内容は日常思っても言わない事を矢継ぎ早に言ったり、松尾スズキ独特の台詞回しだったりするので逆にそれが良い人もいるかも。あと、せっかく濃いキャラ立ちをさせているのにラストへ向ってそれぞれが排除されて行く過程がちょっと弱い。もっと書き込んで欲しい。生きんの嫌んなちゃうとは思っていても、こう露骨に言われると言い返す言葉もない。普通の芝居はその後「だから僕達がんばって」なんて続くンだけど、この芝居は「どうだ図星だろ、だろ!?」と迫られるだけで助けてはくれない。
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