映画を見る時間がない。日々の残業でレイトショーは勿論、休みになると平日の疲れで半日以上寝てしまうため夕方駆け込みで2本観るのがやっと。なおかつ生活している以上映画観てるだけじゃ生きてゆけないので、その分にも時間を割くと益々映画観る暇が無い。 しかし、最近その合間を縫って見に行く作品がかなり当ってる(当方比)と思う。別に厳選しているつもりも無いし、自分の観たいと思う作品をできる限り観に行くようにしている。敢て言うと、仕事柄観ておくべき作品、頂いたチケットの消化、などが余り無かったとも言える。 これは、自分がとても充実していてコンディションが良いからなのだろうか?それとも純粋に作品が良いからなのだろうか?年末迄こんな調子でいけると良いなぁ。そう望むには、体調管理もしっかりしなくては。 つくづくそう感じせてくれたのは、昨日の2本は勿論今日の「映画の日」に、1年振り位に恵比寿ガーデンシネマでみた『ゴスフォード・パーク』。ロバート・アルトマンの作品をあまり観た事は無いし、「クッキー・フォーチュン」以来老いが進んでいるなどと言われているのだがどうなんだろう。知人は今年一番の洋画と絶賛していた。自分の隣ではホームページを作ってたけど、余り噂は聞かなかったのだが・・・。
そんな恵比寿では例年の様にクリスマス・ディスプレーが始まっており、多くのカップルが訪れていた。中でも印象的だったのは数年前迄は使い捨てカメラで撮られていた写真が、携帯で撮られていると言う事。道行く人が立ち止まり携帯の液晶を覗いている。君たち、目の前のリアルよりも携帯に記録する事ばかりに意識が行ってないか?なんて考えた時、人の記憶はそのうち外部記録媒体に記憶されるのでは?それって『THE ビッグオー』ッてことですか?
因に今日がタワレコWスタンプ最終日、また5枚CDを買ったらスタンプ6000円分貯まってた!
『ゴスフォード・パーク』・imdb:「セレンディピティー」や「バースデー・ガール」などは“脚本が良い作品”という印象が有ったが、「ロード・トゥ−・パ−ディション」や本作は“演出の素晴らしい作品”(もちろん脚本も素晴らしい)という印象を受けた。素晴らしい役者を贅沢に使い、大旨軽快なテンポで群像劇を描き切る手腕はさすがアルトマン。多くの人物、多くのサイドストリーを含んだ群像劇が素晴らしいドラマとしての締めくくりヲ迎えるに至ってちょっと涙ぐんでしまった。この感動は三谷幸喜のHR第1話を観た時の様な、ささやかな物語を語る上手さへの畏怖と同じものを感じた。前者は約2時間半の中で非常に多くの人物を配しながら中心となる人物に絞り込む過程も去ることながら、それ以外の人物達への配慮も素晴らしい。後者は僅か30分の中で話を集約する上手さに感嘆した。 また、今回は英国貴族社会が舞台になっているので出演者は主にイギリス人俳優であり、彼等の多くが舞台をベースにしているのでアンサンブルがとても上手いしアドリブも効く。ヘレン・ミレン(「鬼教師ミセス・ティングル」「第一容疑者」)なんて渋過ぎ!まあ、イギリス人とは言えクイーンスイングリッシュバリバリのロンドン子や、スコットランド、ウェールズや(正確には違うのだが)アイルランド人などちょっとづつ違いがあり、更にはアメリカ人や怪しいスコットランド訛の召し使いなど、言葉を目印に階級や習慣などちょっとづつ異なるキャラクターが描かれているはずなのだが・・・英語は全部同じに聞こえてしまうので勿体無い!同じように、アメリカ資本の「ハリー・ポッター」同様、イギリスパワーの土台の強さを実感させてくれる作品でも有る。物語はいくら褒めてもその流れが美しいためそれを見てもらわない事には始まらないので、強いて不満をあげると、今回はアルトマン作品の常連ジェニファー・ジェーソン・リーが出ていなかったと言う事(まあ、彼女はベタベタなアメリカ女だから仕方が無い)。後半のに出てくる刑事のキャラが今一つ面白みに欠けていた事ぐらいかな。洋画を見続けると言葉の壁にぶつかる、時にそれはコメディーであり、卓越した会話劇である。
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