気分刊日記

2003年03月15日(土) 予想日記

 忙しいんだけど色々やりたくなるのは、小春日和に誘われるからなのだろうか。もっとも、現在送っている日常の大半は年中ブラインドが降り切り、多分部屋の片隅、奥まったスペースには5年物にも成ろうとする熟成した空気が淀んでいる様な黴の生えた、いや黴すら生える余地も残さない荒んだ環境だ。それでも、パソコンの画面ウィンドウから眺める世界中の新鮮な映画の調べは、やはり春のせいなのだろうか、心踊らせるものが増えて来た。
 そんな窓からも見える今の景色で、今最も旬なのがアカデミー賞だ。残念ながら今年のアカデミー賞ノミネート作は、すぐに観てみたい作品ばかりで仕方ない。何故残念なのかと言うと、ここ10年近くアカデミー賞作品賞・監督賞受賞作を封切りで観た記憶が無いのだ。昨年のビューティフル・マインドにしてもチケットをもらって、仕事の関係で止む無く観に行った。これは全く誉められたものでは無いんだけど、別に映画評論家でもないし、この事をとってもあまり大声では‘私は映画好きです’なんて言った事も無いので平気で書いてしまう。
 さて、その無責任仕事に事欠いて今年も主要4賞(作品・監督・主演女優・主演男優)を予想してみます。大本命のシカゴ(未見)は、昨年のムーランルージュよりも、よりファンタジーが無いまでも、ドラマ性が強そう。得に主演のレニー・ゼルヴィガーの本当はかなりイケてないのを必死で隠した事への主演女優賞ノミネートより、キャサリン・ゼタ=ジョーンズの黒い花っぷりが大いに期待出来る。めぐりあう時間たち(ホントに酷い邦題だね)未見のため演出の有無は問えないが、キャスティングの素晴らしさ、そこへ来て最近のニコール・キットマンの仕事を考えると期待せずにはいられない。もちろんリトルダンサーではかなり感動させてもらった監督にも期待大。他は既に日本公開が有る作品なのではっきり言うが、前評判にしても観た感想にしても作品賞足り得るものは無い。唯一ギャング・オブ・ニュ−ヨ−クが作品の内容とは別の要素で可能性を少し残すのみ。ロード・オブ・ザ・リング〜二つの塔 はそもそもそう言う意図の作品では無いので別の形で、または3作揃ってから評価してあげたい。戦場のピアニストは優等生過ぎて、ポランスキーに功労賞をあげる程度、その意味で監督賞にとどめる。同じ意味でスコセッシも監督賞候補。主演男優賞は全くわからない作品ばかりだけど、趣味的にはアバウト・シュミットのジャック・ニコルソン。でも、『恋愛小説家』でも受賞しているし、コメディ?はなかなか評価されないから、順当にダニエル・デイ=ルイス!これでまた、何年もスクリーンに出て来ないんだからあげといても損は無い。主演女優賞は、そのポスターを見るかぎリでもニコールに間違いないんじゃ無いかな?特にその仕事っぷりの見事さとして、昨年公開された『ムーラン・ルージュ』『アザーズ』『バースデイ・ガール』など毛色の違う作品を物の見事に演じ分けていたのには感心した。

 全く違う話で恐縮だが、火曜深夜フジTVでやっていたキディ・グレイドがかなり面白かった。最近のSFアニメはラストに近付くにつれ『エヴァ』っぽいコミュケイト不良による激しい拒絶と精神的・内面の葛藤や戦いに終止してしまいがちなのに比べ、本作はかなり古典的に愛や人情、社会システムに根付いたそれでいてサイエンスも絡んだ正当SF的なオチを見せてくれた。そして、その脚本も結構きちんと言葉(台詞)を選んでいたように思う。とは言え、視聴率がきついのか一晩に3話も4話も連続して放送するのはどう言う訳なんだ?前のクールに同枠でやっていた、『グラビオン』の後半も同じ事になっていたぞ!?両作品とも作画のレベルは毎週かなり高いし、キャラデザインもシャープで私好みの線なので売れて欲しい。でも来週が最終回。


 < 過去  INDEX  未来 >


73k [MAIL]