ふっふっふ!本日は超おバカな記録を達成しました。1日5本鑑賞です!それも今回は1度もオチる事無し!!もう、鑑賞と言うより速読ならぬ速観です。しかし、こういうのはタイムテーブル&ラインナップにもよると言う事を実感しました。あと、前日から寝食の調整をして望んだのも有効だった。 そのラインナップはこちら 『呪怨』・『タキシード』・『007/ダイ・アナザ・デイ』・『カルマ』・『ダークネス』。“ホラー”3本、“アクション”2本。なんも考えなくて済む、そのシーン毎に反応するだけの作品ばかり。くしくもホラー3本は、日本・スペイン(アメリカ)・香港と制作国が違う作品を見比べる良い機会になりました。アクションについては、ジャッキーは“ジャッキー映画”だし、007は“007”なのでどれだけ本流に沿っているか、どれだけ記号化したシーンを楽しめるかです。そう言う意味では007が本日一番ダメ映画でした、特にタイミング的にBUTでしたね。 来週も1日4本予定、映画ばかりに構ってられないのが現状なんでちょっと眉を顰められても作品に目を通しておくのが最優先事項。
予告編に付いて:『英雄』の予告編で確認したんですが、この作品の武術指導がチン・シュウタンが担当だと言うのが注目!只でさえ美しいジェット・リーのアクションに彼の殺陣が加わるという事は、非常に優雅な戦いが期待される!でも、配給がワーナー・・・。
『呪怨』:恐らく、本日観た中でもっとも先鋭的な、そして感覚として恐怖が先ず植え付けられ、理解はおざなり‘考えるんじゃ無い、感じるんだ’の世界。 本作の監督には思い出がる。以前、黒沢清・青山真治・塩田明彦のトークショーをお手伝いする機会に恵まれたのだが、その時に会場の質問で「お3人以外でそれぞれ気になる監督はいますか?」と言う様な質問に、かの黒沢清があげた名前が“清水崇”だった。一応、常にダッグを組んでいる脚本家・高橋洋が上げた名前だと前置きしていたが。その二人が今回監修と言う形で名を列ねているのも面白い。 さて、その兆しかどうか冒頭のシーンでは押し入れの縁にガムテープが貼ってあるのが「回路」の様であるとか、確か6っのエピソードが登場人物ごとに区切られていてその内の「遠山」「いずみ」のエピソードが高橋洋と双璧を成す田中秀夫の『仄暗い水の底から』にも近い所がある。いやしかし、それらの作品よりも徹底して‘恐怖に絞り込んで’描いているのがこの作品の凄い所だ。そんな親子の人情や、ヒロインがいくら可愛くても問答無用に因果悪意の渦に飲み込まれ、戻って来ない・・・。 出演者も、奥菜めぐみ、伊東美咲、(市川由衣)など、恐怖に目が大きく開く美人や、津田・森下・田中のベテラン(「リセット2」組)だったり、小道具も各エピソードでリンクしたり伏線になっている。「遠山」「いずみ」のエピソードではエレベーターのシーンなどカットが空間のつながりを説明するなど映画の文法はかなり丁寧に作られている。 しかし、最初この映画だけ観たら、ここまで問答無用に時空から感情から人間関係から話の流れまでブッタ切って見せられるので、困惑している所に、絶妙の間でショックシーンが出現して終止ペースを握られたまま映画が終わり、してやられた、“凄い!”としか言えない。 ところがプログラムを読むと、これまで発表されたVシネ版から話のつながりが有るとのこと。更に、『呪怨2』の制作も決定しているとか。ちょっとそれはずるい!観なきゃじゃん!!
『タキシード』・imdb:ジャッキーも、もう50才。先日「そろそろアクションは終わりにして、演技がしたい」なんてスタローンみたいな事を言ったとか言わないとか。ジェット・リーが、その筋金入りのマーシャルアーツで全米No.1に輝いた今、彼のポジションも微妙に変化しているようだ。香港映画界ではトップスターである事には間違い無いが、今回はこれまでの様に始めからヒーローでは無い。彼に与えられたのは常に笑顔の人の良い中国人と言う定番と、類い希なドライビング・テクニック。そのドライビングテクニックも、車好きで有名なジャッキーが自ら制作した『デッド・ヒート』とは違い、今回は三菱自動車もでもなければ、カースタントもジャッキー自身では無いようだ。 まあ、単なるマーシャルアーツでは無く道具や場所に趣向をこらしたアレンジの効いた千変万化なアクションが彼の持ち味なので圧倒的な強さや、カッコよさよりそのアイディアが見どころの作品。今回は、ジャッキー自身で無く‘タキシード’が闘う、“道具を操る”のでは無く、“タキシードに操られる”と言う難しいシュチュエーションを、時に機械的に、時に自然に、背広を着ながら通常とは異なるアクションを見事に披露してくれる。 ストーリーは、一応スパイ物なので007の縮小規模、特撮ヒーローの悪の組織、初期デストロン並の悪事(でも科学的には手が混んでいる)を、新米諜報員と素人諜報員が解決する凸凹コンビもの。笑い的にはピーター・ストーメア演じる悪い博士などもっと膨らむ要素も有ったのだが、「ラッシュアワー」や「シャンハイ・ヌーン」程バカ映画には成り切れていなかったけど、ジェット・リーとは違い、ラブシーンが無くても十分男女のドラマが保つ流石の100分アクション。 それは、ひとえに相方が、2流映画で馴したジェニファー・ラブ・ヒュ−イットだたからでもある。まあ、彼女の‘ビッチ’っぷりもすてきだったから満足と言えば満足。
『007/ダイ・アナザ・デイ』・imdb:シリーズ20作目と言う事もあって、過去の作品へのオマージュが散りばめてあるらしいのですが、わかりまシェン!でも、井筒が言っていた座席が飛び出す装置は有りました。氷上カーチェイスのシーンでひっくり返ったアストンマーチンを戻す時に、ジェットシートの反動で戻ります。勿論、過去の作品を未見でも単体でも楽しめるんですが、もうこれはバカ映画としてという限定を付けて。悪の親玉が北朝鮮の軍人って言うのがタイムリーでオバカなんだけど。それにしたって結局彼は西側諸国で教育を受け西側の手段を学んだ結果、今回の様な兇行に走るんだよね。それってどうなの?そして、今回のアメリカ諜報員‘ジンクス’こと、ハルベリー。個人的にちっとも綺麗でも無ければセクシーに思わないモデル上がりの彼女。『チョコレート』も観たけど、どうも役者として滲み出てくるオーラが薄い。彼女のもっも似合う役はやっぱり『X-MEN』の‘ストーム’だろう、だってもともと漫画の主人公だし人間じゃ無い(ミュータントと言う事)から生活感もいらなければリアルな人物像系も不要だしね。実はマイク・マイヤーズでも良かったんじゃ無いか?って言うぐらいオーラのない007が見れる、バカアクション映画。戦争レベルの被害で無事任務完了。全然秘密じゃ無い仕事をする、世界はスパイで溢れてるってのが最近のハリウッドなのね。
『カルマ』: ものスゲー、古典ホラー。多分レスリーが出て無きゃ公開どころかビデオ化もされなかったであろう作品。でも、古典であるからこそ香港映画にしては珍しく、最後まできっちりと話が出来ていて妙に納得出来る。 ストーリーは、「幽霊はいない、幽霊は人の脳が造り出す幻である」と豪語する心理学の先生レスリーが、知り合いの紹介でやって来た「幽霊が見えてしまう」女の子をカウンセリングして治してあげる、その過程で彼女との仲が親密にるのだがどうしてもその先に踏み込もうとしないレスリー。実は彼女は失恋の痛手による心の病が引き金で現在の症状が出るようになり、そこを立ち直らすため親密に接して彼女の信頼を得て行く事でその症状を自ら克服させるという手段を取っていたのだ。が、しかし、彼女が立ち直ったあとレスリーを襲ったのは・・・。‘ミイラ取がミイラ’と言うお話。でも最後のレスリーは幽霊までもカウンセリングしてしまうと言う荒技をやってのけさしずめ除霊までしてしまう賢人振り。その若さのみならず遂に仙人の域に入りました! さて、ストーリー以外に本作では香港映画迷には嬉しいお話が幾つか。一つは、準主役でレスリーの有人役でレイ・チーホン(リー・チーハン)が出演している事。彼は『男たちの挽歌』でユンファの後釜で出世する黒社会の敵役でお馴染み。実は結構演技派でコメディーもできるし人情話もできる実力派なんだね『喝采の扉』(虎度門)にも出てたし。あと、エンドロールでアクション動作指導に火星(マーズ)の名前が!彼は、もともとジャッキー・スタントチームの一員、「プロジェクトA」にも顔が出てたと思うし、「ラッシュアワー」ではサウナのシーンでヒゲ面が拝めます(大坂芸人の‘ホンコン’蔵野 似)。実はこの日、ジャッキーの「タキシード」でも探したんだけど見つけられなかった。こんなとこで仕事してるとは! 因に、レスリー・チャンは、ジャッキー(’54)と二つ違い、チョウ・ユンファ(’55)と一つ違いの’56年生まれ。年々若返ると噂の頭髪も今回はプール・シーンで大サービスショット。一応相手役は’78年生れと親子程も離れているのにそのデートシーンが・・・。ジメジメするアジア的なホラーだけど、今回のホラーの中で唯一救いが有る古典恐怖映画
『ダークネス』・imdb:前作、『ネームレス』は、オンリー・ハーツの試写で行けなかったのが残念!と言う事で、その評価もかなり高かった前作は未見なんですが、最近東急松竹系公開されるニッチ映画(GAGA配給多し)の中で、「ゴースト・シップ」の次に食指が動いた本作は、本日の中で2番目に救われないホラーでした。個人的には同時期公開されていた『インプラント』と見比べてみたかったのだが、如何せんどちらも公開時期が短過ぎて・・・。 ストーリーは一見「七人岬」、父の故郷であるスペインに引越して来たある一家が、引っ越し先の家で奇妙な現象に遭遇しはじめる。やがてそれは家族の仲までにも影響を及し、その異常に気付いた娘が真相を調べる中で、意外な事実が判明する・・・。実はその現象の裏には、意外な人物の邪な意志が常に主人公一家を見つめており、全てはその意志の思うまま話は闇に満ちて行く・・・。 一応2点3点のドンデン返しで落ちるんですが、その脈絡に論理性が有る様な無い様な今一つハッキリしない筋にちょっと消化不良!極め付けはヒロインのアンナ・パキンが酷い!「ピアノ・レッスン」の時はあんな可愛かったのに、「X-MEN」でもちょっときついと思ったが、今回スイミングシーンが有る段に至っては激しい突っ込みを入れたくなることしきり!どうも彼女は、映画の中で神聖な役割を与えられている様なのだが、あれじゃぁ邪悪も避けて通るって感じ。恐らくこの映画の中での一番の謎が彼女のキャスティングに有るだろう。 ただ、根本的に提示された“闇”の恐怖は、本日観た作品の中でも最も宗教的かつ原初的な表現だった。その点をきちんと踏まえオカルト的な要素に丁寧なカット割りで特撮を極力排除した画作りは完璧なまでに行き届いている。それ以外も、ロングのシーンや雨の表現、闇に対する明かりの用い方など映像はとても綺麗だ。『アザーズ』のアメナバール監督にしても、どうしてヨーロッパの、特にスペインの監督と言うのは‘負の美学’‘闇の美しさ’を凄くシンプルに、それでいて湿り気も無く、ここまで丁寧に描けるのだどう?最も現代的でスタイリッシュ、ヒロインさえ間違わなければ、美と恐怖のアンサンブルが見事に完成した気鋭のヨーロッパ監督作品。 かれの映像センスは古風かもしれないが、MTV出身の監督が多い昨今逆に新鮮さが有るので、今後ホラー以外の作品も観てみたい!
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