レスリー・チャンが亡くなった、飛び下り自殺らしい。ショックだ。私の青春の一部を築いた香港映画の四分の一位を締めていた俳優だ。先月みた『カルマ』が日本公開の遺作になってしまうのだろうか。日本にも熱狂的なレスリー迷が山ほどいるので彼女達の動向も気になる。先月DVDが発売された『金玉満堂』や来月発売される『大英雄』など、’80〜90年代の香港映画隆盛期の傑作にもことごとく出演している。申し訳ないが古尾谷雅人さんの時より遥かなショックだ。天本さんを上回りかねないショックだ・・・。
私は香港返還の前後、多い時で年3回も渡香していた。その頃は、かの地を香港映画迷達は敬意を込めて“聖地”と読んでいた。また、四天王と呼ばれる、レスリー・チャン、アンディー・ラウ、ジャッキー・チュン、アーロン・コックの様な香港明星(スターのこと)迷(ファン)はコンサートの追っ掛けなどは、この比では無い渡航回数だと思う。
当時香港映画ブームの到来も有りニフティーのアジア映画フォーラムでは盛んに情報交換も行われ、現地でのオフもしばしば行れていた。そんな、賑わいにお邪魔させてもらったついでに現地(香港コロシアム)でレスリーのコンサートを観る機会にも恵まれた。これはフェイ・ウォンのファンである私にして、唯一の中華系アーティストのコンサート体験である。
このように、当時は彼を含めた幾人かのスターで香港映画は回っており殆どの映画がまるで日本の連ドラのように出演者を押さえてから作品が決まっていた(今も変わらないかも)。そんなシステムに嫌気がさしたのか、レスリーは90年にセミリタイヤしている。しかしその後復活、ほどなく映画にもコンスタントに出演していたがどうしてもソフトな役が多く行き詰まっても仕方が無い状況も見えていた。 しかし、2000年頃の『ダブル・タップ』辺から結構シリアスで新しい路線に光明を見い出して来ていたように思ったのだが、今回の『カルマ』ではそれが災いしたのか、撮影現場からは役が抜けなくなってしまっているとも囁かれたらしい。実際、本作のラストではレスリーが<幽霊=自らのトラウマ>を振り切って、ビルからの飛び下りを踏み止まるのだが、現実は上手く行かなかったようだ。因に、この『カルマ』でレスリーの親友を勤めるレイ・チーホンは『男たちの挽歌』では敵役、実年齢でレスリーの方が3つ上。同じく「挽歌」で共演したチョウ・ユンファンはレスリーより1つ上と言う事になっている。できれば、かれ(ユンファ)のコメントを聞きたいものだ。
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