超雑務係まんの日記
DiaryINDEX|past|will
「満足はいけないのか」 「ああ、いけない。苦しまなければならぬ。できるだけ自分を苦しめなければならぬ」 「なんのために?」 「それはただ苦しむこと自身がその解答を示すだろうさ。人間の尊さは自分を苦しめるところにあるのさ。満足は誰でも好むよ。けだものでもね。」
(坂口安吾『風と光と二十の私と』)
今日から、へいかさんではなく、まんたろうです。
「無頼派」と称される作家では太宰治と坂口安吾が著名です。 が、メジャーである太宰に対し、安吾はいささかマイナー気味。 安吾の代表作として知られるのは『堕落論』。 今ではきっとあまり読まれる事はありませんね。
↑の『風と光〜』は安吾が教師であった20歳の頃を題材にしたものです。 『堕落論』を書いた著者が教師だったという事実は意外かもしれません。
睡眠薬を飲んでは眠り、麻薬を服用しながら執筆を続けた安吾。 まさに狂気の生活を日々送っていました。 そんな安吾を支えた妻、三千代の存在はあまりにも有名です。
安吾の死後、雑誌に長期連載された『クラクラ日記』(坂口三千代 著)では その様子が渇いた透明な文体で記されています。
それこそ20歳くらいで『クラクラ日記』を手にした私は、 行間からキラキラとこぼれ落ちてしまいそうな美しい言葉たちに なんどもなんども涙したものです。
高知の取材から帰宅した安吾は、妻に珊瑚の首飾りを買ってきました。 誕生日プレゼントだった突然の贈り物。 三千代はあまりの嬉しさに、何度も首に掛けてみたり、外してみたり。 その日は安吾と息子の綱男と3人、ずっと深夜まで賑やかだったそうです。
翌朝、脳出血で安吾は突然帰らぬ人に。 息子の綱男はわずか1歳6ヶ月。 若くして未亡人となった三千代は安吾とは再婚でした。
「お花畑って?」って、よく聞かれる事がありました。 こういう事なんだけどなぁ。
|