超雑務係まんの日記
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2003年06月14日(土) ヒデ(20)

「先生、俺はまだマトモにやれますか?」



「マトモ」という言葉が私に引っ掛かった。
いや、未だに忘れられないのだ。


「マトモ」って何だろう。
この現代社会にうまく適応することが、果たしてマトモなのだろうか。
ちょっとした冒険にスリルを感じるような、そんなぬるま湯がマトモなのか。

真剣に自分と対面した結果、精神の均衡が少し不安定になってしまうと、
マトモな人間と言われない。
少なくとも誰かには、そういう評価をされてしまう。

狂人

という烙印。




私はヒデの言葉に、
しばし沈黙してしまった。


私を、自身を見つめてみる。
目の前にある自分。


まるで飛べない鳥がジタバタしていて、
なおかつ飛べないことを、
そう、飛べない理由を正当化していた。
たくさんの言い訳を抱えて、空ばかりがうらやましかった。


飛べなくてオトナになってしまった人間が、
飛ぼうとするコドモを教えることが可能なのだろうか。



支えがなくなってしまって、
未だに忘れられない人がいる。
その人の代わりばかり求めて、当時の私が存在していた。



私はヒデにどんな声を掛けてやればよかったのか。
しばらく考えた後、ストレートに気持をぶつけてみた。


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