超雑務係まんの日記
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「先生、俺はまだマトモにやれますか?」
「マトモ」という言葉が私に引っ掛かった。 いや、未だに忘れられないのだ。
「マトモ」って何だろう。 この現代社会にうまく適応することが、果たしてマトモなのだろうか。 ちょっとした冒険にスリルを感じるような、そんなぬるま湯がマトモなのか。
真剣に自分と対面した結果、精神の均衡が少し不安定になってしまうと、 マトモな人間と言われない。 少なくとも誰かには、そういう評価をされてしまう。
狂人
という烙印。
私はヒデの言葉に、 しばし沈黙してしまった。
私を、自身を見つめてみる。 目の前にある自分。
まるで飛べない鳥がジタバタしていて、 なおかつ飛べないことを、 そう、飛べない理由を正当化していた。 たくさんの言い訳を抱えて、空ばかりがうらやましかった。
飛べなくてオトナになってしまった人間が、 飛ぼうとするコドモを教えることが可能なのだろうか。
支えがなくなってしまって、 未だに忘れられない人がいる。 その人の代わりばかり求めて、当時の私が存在していた。
私はヒデにどんな声を掛けてやればよかったのか。 しばらく考えた後、ストレートに気持をぶつけてみた。
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