あきれるほど遠くに
心なんか言葉にならなくていい。

2003年07月05日(土) はらはらと散る雨粒のとなり



カゲロウ



そうだ一瞬の神様の幻視
細すぎる指の間からこぼれる光
筆を置くことができずに机を離れられない
あの日
カミサマはゆっくり私の手を引いて
木立の中
セミの音が反響する山を下りていった
木漏れ日がきらきら
高い木々の梢から仄かに降り注ぎ
足の下でひとつ
乾いたセミの死骸がくしゃりと潰れた


あの
かろやかな足取りの中
カミサマの白い背を見つめ
導かれ
無秩序な土の段を下って
土と樹と
生の死の匂いがした 森
汗の浮く肌
絡む 指
下りてはいけないと
背後からの声を聞いた気がした
けれど
振り返ることも無く
ただ不安なままで
カミサマに委ねた手はあくまで暖かかったから


土の上に散る
セミの残骸
崩れかけた腹から
何が滲み出るわけでもないから
そこに死の不様さは
ない
ただ憐れ
憐れなだけで
なのにこの罪悪感は何だろう


カミサマが
先に立つ あの
はらはらと
木漏れ日の落ちる あの道は
ゆるやかに
ゆるやかに山を下り
生命を奪えないカミサマは
そのあいだ一度も口をきかなかった
足元で壊れゆく 命なきモノには目もくれず
ただ私の手を
そうっと包んで


次第に震えだす指が
カミサマの手の中で 近づく下界に慄いたけれど
ためらいの無い背中は
私を振り返りもしなかった
だから
いつだってあなたは平気なのだと
思っていた


光が斑(まだら)に染め抜く
石畳の上
私の眼に 一瞬を見入り
唯一絶対の カミサマは
そのまま
ばらばらとくずおれた
下り終えた山から 生々しく
セミの声の反響が落ち来て
あなたの身体を包んで


いつかこの手が離され
神の手があなたを
打ち砕くことを
確かに私は
もう悟っていた。
だから私は
ずっと
ずっとあの森の中をあなたと
歩いていたかった


  カミサマ
  ねぇカミサマ
  あなたに憧れて 焦がれて
  でも私にはあなたと
  光の下を歩む価値などあるとは思えなかった


気付き 傷付く日の光の下
だから木漏れ日の中 時だけを重ね
そのあなたの傍らで
生命の歌を詠って
あなたの手を取って
ゆっくり ゆっくりと歩を進め
すい と
見上げれば木々の間に見える眩しげな空に憧れることもなく


2002.1.5

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一年半ほど前に書いたものなんですが。
なんとなく、アップしないまま(?)だったのを持ってきました。
なんてゆーか、晒し状態。(爆

今日は友人のオケ部の演奏会へ。
めちゃ上手かった!びびっくりで。
行ってよかったです。楽しかったし♪




↑びびっくり。(笑
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