すこしずつ脱いでいく。 いらないものを。 みっともないプライドとか、どうでもいいしがらみとか、ささいなこだわりとか。
そうして後に研ぎ澄まされたものだけが残る。 そういうのがいい。 たとえそれがどんなにつめたい光でも。
何故なら僕はやはり今でも生きているのです。
**
明日の予定を立てる。 それくらい先のことは現実に近いから無機質だ。 それは来月とか来年のこととは違って何か硬い素材でできていて、綿アメのように弱い来月や来年のことは息を吹きかけただけでぺしゃんこにつぶれてしまう。 そんなものだ。 だから僕はいつの間にか「いつか」の話をしている自分を嫌悪する。
**
逃げきれない。 そう気がつくと力が抜けて、僕は深く呼吸する。 夜の無い北極はまだ遠く、夜ばかりの南極もまた遠い。
ねぇ、訊いてもいいですか
もういいんだ、 もうまっすぐに家に帰ろう。
|