あきれるほど遠くに
心なんか言葉にならなくていい。

2004年11月23日(火) 痕跡



「痕跡」と。

いう展覧会の名前が気に入ったので出掛けてみる。

パンフレットには、何故かキリストを思わせる男の顔。
あぁ、狂気だ、と。
思う。
芸術家の抱いているものは狂気だ、と。


現代芸術というモノに関して、僕の抱いてたイメージはあんまり良いものではないのだけど、今日でちょっと見方が変わった気がする。
結局、芸術というものは芸術家なくして存在し得ないものなのだということ。
作品のそばに小さく張られている、作者についてのインデックスを読みながら思った。
そして芸術家の凄まじさに苦しくなった、というか。


耳には、最近買ったCD。ハードロックとバッハのオルガン曲。
しげしげと、あるいはさっぱりと、見て回りながら大音響で鳴り続ける卑猥な歌詞、あるいは荘重なミサ曲。
自分の中に芸術家たちが荒々しく踏み入ってこないようにするには良かった。


この「痕跡」って展示はあんまり大々的に宣伝とかしてなくて、僕も名前だけで調べて行った口。
人が少なくてよかった。
外は観光客と車で大した喧騒なのに、美術館の中はひっそりと静かで、美しい建築が穏やかで。

見て回っているうちに、この狂気は芸術家だけのものではないんだと思った。
それはきっと誰しも胸に蔓延らせていて、ふとした瞬間を迎えるか迎えないかでそれに囚われてしまうかそれを免れるかの違いだけで。
なんだかとても恐ろしかった。
芸術というもの。
それと、魅入られてしまいそうな自分が。






↑ジレンマ。

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そして今日もうつくしい日。


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周防 真 [MAIL] [HOMEPAGE]

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