こえが かすれてしまうくらいの からからに乾上がった喉と びくびくと怯える心臓で ゆっくりと目を つぶってみる
まるで精神のリハビリテーションのように本を読む。 妙に男性作家の本が多い。かなり食傷。
なにをかんがえているんだかわからないけど、と 言われてものすごく反発する。 何を過敏に反応してるんだか。 だけどいま、美しいものも醜く厳しいものも同じように僕を傷付けるので 目を閉じないようにだけ、つとめて本を読んでいる。 春はやわらかい。 それは言うなればあのひとの香りだ。 立ちつくせば光景は甦って僕を襲うので、なるべく足早に通り過ぎる、美しいものも醜く苦しいものも同じように。 せめてしがみつくことができた僕の手のひらを信じている。 投げ出してすべて目を閉ざすことをしなかった自分をせめて許している。 好奇心はうつくしい。 そして醜い。 僕はそれを持たない。
左手の指を いつ切り落とそうかと考えている。 指は爪と違って生え変わってくるわけではないので いつ この指を失くそうかと 考えている。 それは何かの証になるだろう。 せめて自分に向けてでも。
苦しく 救えない僕は苦しく笑うに過ぎない。 祈るのは、最後まで最後まで人が強く在りますようにと。 それくらいの自己満足。 それくらいのあきらめ。 誰も救えない僕は本を読む。 そこでは僕は1人の傍観者に過ぎないのであまりに自由であまりに孤独だ。 そこに永住できないのを知ってる。
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