あきれるほど遠くに
心なんか言葉にならなくていい。

2005年07月17日(日) あるくかたち




午前7時半、空は聡明に青白い。
駅からのバスでことん、と眠ってしまってから
家への坂道をのぼる僕を眠気が覆っている。



午前5時、木屋町は薄く曇った朝。
朝の白々と明けていくのを見よう、と思っていたのにそんな猶予は無かった。
螺旋階段をがたがたと下りていって、みんな夢から覚めたみたいな顔でオツカレサマデシタ、と手を振った。
マタアイマショウ。


朝の町はとても汚いのに空気が眠っていて、ゆったりと足元からのぼってくる眠気が情の濃い女のようにからみつく。
ちゃんと一度家に帰るのが面倒臭い、と思っていたのも忘れて
とりあえず深く眠り込んでしまえる場所を求めて家に帰ろう、と思う。
バスの動く時間を待って、開店したばかりのファーストフードの店に入る。
かりかりのハッシュドポテトが気に入る。
朝ゴハンって美味しい。


なごやかな人と話をする。
穏やかな様子は物慣れた大人で、昔会った別の大人を思い出させる。
詩人だなぁ、と思う。
たぶん僕ももう若くないってことなのかしら、と思いながら
その穏やかさの理由も僕はちゃんとわかっている。




駅は朝日のなか、バスはとても空いていて、僕はちいさな座席に丸くなって座り、うとうととまどろみながらバスが丁寧に走るのを感じている。
僕の中に今日得てきた言葉が揺れていて、その感覚はまるで、宝石を胸に囲うようにあたたかく円い。


午前7時半、空は聡明に青白い。
そして世界を支えるのを放棄して、僕は明るい部屋で眠りにつく。







↑そういう、結末のような

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