2005年07月18日(月) |
それはまるで明けない夜のよう |
金属の時計を外して、ダッシュボードの上に置いた。 抱くのに髪が絡まるから。 座席を倒して、車の灰色の天井を見上げた。 外部の音を遮断して、とても静かな暗闇だった。 こんな、せかいから遠く離れたところで僕は、誰も僕たちを見ていなければいいなぁ なんて 純情なような 恥知らずなような アンバランスなうわの空で ひどく曖昧な快楽に うしろめたい視線を投げている。 もう少し傷だらけだったり 埃まみれだったり ずっと汚い車だったらよかったのに ここはまだ新車のにおいがして 薬のように甘い香りが弾力の濃いシートの間に残っている。
ばかだばかだばかだ
もっと 言って。 ひどく傷つくのは誰のためだろうと 思う わかってる自分のためだ。 これ以上偽善者になることない、と薄く笑う のが 苦い。 だけど
あした、 あさって、 しあさって、 そのつぎ、
って 何度も繰り返し繰り返しつぶやくのが ばかばかしくって異様なほどつらい
むくわれない恋を続けるみたいに。
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