あきれるほど遠くに
心なんか言葉にならなくていい。

2005年10月02日(日) ことわりなく (旅行後)



ことわりなく書く。
意外に旅行中のことだな。

 *


目を開けるとまだ4時台だった。
寝返りを打つと何故か腰が一瞬ひどく痛んで、たぶんもう眠れないんだろうな、と思った。
確か寝たのは2時ごろだ。
『もう寝た?』と訊くまでもなく、規則正しい寝息が聞こえていて、馬鹿みたい、と思いながら背を向けて丸くなった。

人をおいて眠ってしまうなんて、たぶん今の僕にはできないこと。
もうずいぶん昔、待たせていた約束をすっぽかして眠り込んでしまったのをものすごく悔やんでから、眠りももう僕を妨げなくなった。
あの頃の睡眠はずいぶん健康的だったな。

いつ眠り込んだのか知らない。
一度目が覚めてしまうと、もうダメなんだろうな、と思いながらも一応努力はしてみる。
けれど目を閉じると嫌な夢の気配が襲ってきて、目の裏側を一杯にしてしまうので、もう目を開けるしかなくなって身体を起こした。
隣の寝息がふと止まったので、穏やかに声をかけると何故か返事をする。
なのにまたすぐ眠り込む寝息が微笑ましいなぁ、と思いながらごそごそと起きる。

窓を細く開けて、カーテンにこもるようにしながら煙草に火をつける。
風は案外涼しくて、もう既に明るくなってしまった外を観察しながらいい風、と考えて。
そして帰りたいなぁ、と思った。
一人で。

持ってきていたメモ用紙を全部使って手紙を書いた。
帰りたい、と思った自分を忘れないように。
置手紙を残して帰ってしまってもこの人はあんまり怒らないでいてくれるといい。
・・・けど、普通は怒るだろうな。
睡眠が足りなくて身体がうまく動かなくて、手紙は途切れ途切れに続く。
本を読んだりメールを打ったり、だけどどこにも帰れないまま僕はその窓辺に座っていた。
一緒に居るのがこの人だから帰ってしまいたいんじゃない。
それはもうわかってた。

ひとが部屋の中で寝返りを打つ気配がする。
窓辺のカーテンの中から僕は暗い部屋の中を覗く。
まだ起きないなぁ。
ひとが持ってきた本のページを繰る。
ところどころの何でもない所で泣きそうになる。

8時には起きる、と言っていたので声をかけた。
結局起きない。
頑張っているようなので放っておくことにする。
僕が別にこの人のために一生懸命なことは全然ないけど。でも、これでも気を遣ってくれてるのかな、とちょっと気になる。
まぁ、寝起き悪いらしいのは知ってるので。
お茶とビタミン飲料とアイスクリームを買って帰る。
僕の好きなのは特になかったので、連れの好物の。
部屋に帰って飲み物を飲んで着替えて顔を洗っても、やっぱり起きないのでぶうぶう言う。
ようやく起きる。
おめざのアイスに感動したらしい。
「リアルじゃない」とか言うのにムカつく。ひどく。ムカつく。

 *

なんだか思ってたよりも気候が暑かった。雨も降ったし。
だけど旅先で雨に降り込められる感覚はキライじゃない。


そして死ぬほど眠い。








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だけど耳の奥に
嘘でしょ、と哂うじぶんのこえ




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