東南の空にオリオンがゆっくりと上ってくるのを見ていた。 寒さに、 凍えそうな僕の手を温める あのひとの代わりのヒトの口元から、 どうあっても温まらない指先を取り戻して小さくうつむいた、 代わり、なんて あなたには似合わない。
毎晩どうにかして泣こうと思うのだけど、 何かのストッパーが、此処にはあるのだと思う、 乾いた目が痛くて目薬でほろほろとこぼしてみる。
おそれは、 此処に、なくて、いい。 結局見開いた目で見据えることしか僕にはできない。 それはそれでひどくつめたい。
うつくしい曲が頭を流れる、 思い出せばこころが冷えてしまうのに、 何度も口ずさむように僕はうたう。 冴えざえとオリオンが、いつの間にか中天にある。
少し出来の良い人形くらいのもの。 僕は近頃、 わらわなくなったらしい。 それを誰でもない自分が思うのが、眠るようにつらい。
見据える勇気なんか無い。気力も無い。 それでもおそれなら見据えられる。 だからこそ自分がよわくなるのが怖い
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