気付いてなかった。
駅に降り立って、ビルの案内の表示を見て、ただただその示すままに歩いて、地下から地上に上がる、その、ときに。 ようやく、垣間見えた地上の様子に。
しまった、と思った。 来てしまった。
あの日は休日だったから。 人通りも少なく、店はみんな閉じていて、時折細かな雪がうつくしく晴れた空から降ってきて、きらきらと。
歩いて行っても1分もかからないところに
用を済ませてから、 今日は暗い空から細く雨が降りかかるのを気付かぬ振りで、じっと
あそこに、
まだ1ヵ月半。 こころを捨てて、まだ。 まだそれだけしか経っていない。 だから、と言うべきなのか、 それなのに、と言うべきなのか。
思ってはいけない。 考えてはいけない。 言葉にしても、おもうだけでも、
僕が僕自身が嵌めた、箍だ。
だけど目が探す
だけど足が
あの日と同じ階段を下り、 あの日と同じ改札を抜けて、 同じように電車に乗って、ぼんやりと戻った。
あぁまだ、
泣きそうに、なるか。
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