あきれるほど遠くに
心なんか言葉にならなくていい。

2006年04月19日(水) よろこび




あの、と

ロッカー室に入ってきた誰かに口を開きかけて、止まる
手の中には1通の封筒がある

誰に 託すわけにもいかなくて 仕方なく指先で細く封を切る。

中には、
ひとに渡さなくてはならない請求書とか 連絡書きだとか そういった事務的な大切な書類が入っている

ほんの 15分ほど前に見たひとのことを思う。

ぐら と
世界が歪む感覚。
あの ひとに 渡さなくては、と
考えて



 あぁもうあのひとには会えないんだったと

 会わないと決めたんだったと


思い出して不意に視界がぼやけた。




あぁ、会いたいなぁ とか
声を交わしたいなぁとか
こまごました すべての感情を押しのけるように

あの偶然のようにすれ違うようにあの ひとの 姿を見たこと を

紛れもなくこの自分は悦んでいた。
何の、作為もなく只の偶然のもとにあのひとの居る場所に居たことを
息もできぬほど


そして
知っていた
あのひとも
たとえ目を見交わすことすらしなくとも ここに、この自分が居ることを知っていたと。
あのひとを見たことも、
それを今 思っていることも
焦がれるように此処にその 想いがあることも
あのひとは知っていると
知っていた


それだけで まだ
死んでもいいくらいにこころがうごく



 *


そんな、夢を見たのでした。
目を覚ましてなお、現実のような。
夢の方が魅力的なことは多々あります。が、終わらないでほしい夢はやはり、年にたったの2、3度です。








↑もうすぐ紫陽花が咲きます。

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周防 真 [MAIL] [HOMEPAGE]

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