書かなければならない手紙が、あるのだけど、
それはよくわかってる。 書かなければならないことはよくわかってる。 でなければ僕は嘘つきだ。
手紙、手紙。 たった一通の。 書き出しはわかっている。 「遅くなってゴメン」 書くべき内容も、なんとなく、わかってきている。
ただ僕はそこで見下ろす絶望が怖いのだ。
書けばまっくろな希望、書かなくてもはいいろの明日。
羽ばたいていく朝の空気と咲き零れるような時間。 恐れはもう諦念に近い。
たとえば、書かなければ、もしも、 ここで終わっていくような恋だったら、と 考えてみる。
まっくろな希望を選びたくないと思う僕は臆病だろうか。
ひとことで、 終わる、この恋の、
明日を惜しむ。
僕は汚い。(と思えるほどのざいあくかんは持ち合わせているということ)
ここに開く恋を、 恋と認めないあのひとへ、 書くことの何ひとつ綴ることのできる指先もなくて、
もう神様を責める言葉のひとつも見つからない。
あいされなくっても。
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