水槽に 青い石とくらげと 氷のような 滑らかなガラスを入れて ネオンのような灯りを下ろし ずっと 上から覘いている
大きな水槽は 時折てのひらでたぷたぷと波を作ると あおく 波がネオンのあかりを反射して 光り まるで凝縮したオーロラのように くらげが 波に戸惑いふわふわと長い手足を絡ませながら ながれてゆく
南極の 海は こんなだろうかと 海底に沈むこおりのようなガラスをひろいあげながら 溺れる人魚姫のようなくらげを見ている
浸す指先はすぐに 凍りついてしまって 揺れる藻のような髪も やがて 絡まりあいまとわりついて沈んでゆく いつかひっそりと 死んだ珊瑚のように 塩の柱のひとつみたいになる
見上げる水面は 青いガラス 透かして光が ネオンのように落ちてくる 濃いあおの つめたいなみ 閉じた瞼からなお染み入るなみだ
王国は南の果て オーロラの滝の下 あなたの目に映る青さの全て
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