あきれるほど遠くに
心なんか言葉にならなくていい。

2007年09月09日(日) 売約済みの日曜





朝からぼんやりと、シミュレイト。
以前はイチからジュウまでできていたそれが、今はできない。
なんだか嘘くさいので。
あえてしないようにしているので。
理由はいくらでも付けられるけれど、ただ何だかいたたまれない感じになる。


 *


あのひとと会うときはいつも、他のひとと会うよりもずっと前に連絡があって、
日取りが決まればしばらく連絡がなく、
それから予定日の何日か前に時間の連絡が来る。
こちらからは特に何も言わないし聞かない。
いつの間にかそういうサイクルになってしまった。
前に2日前になっても何も言ってこなかったときがあって、そのときは前日の朝にメールを入れてみた。
とりあえず忘れられていたわけではないらしい、というのはわかった。
ただあのひとの僕に対する距離はよくわからない。
もう何年も何年もずっと。


 *


この時期、日が落ちてくるとどうにも魂がどこかへ行ってしまったような気がして虚しい気持ちになる。
ただ「あつい」、とかそういう言葉のようなものが脳裡にぽつぽつと浮かぶ。
あのひとのことはいつもおぼろげだ。
考えているのに考えていないような。
考えたいのに考えないようにしているような、そんな居心地の悪いおぼろげな安堵感。
意図的にそういう風にしてしまったのだから構わない。
ただなんとなく、自分を浪費してしまっているような気がする。


 *


恋とか愛とかの話になるとよく思う。
僕はそんなところまでは行けない。
心を追いつめて、今ようやく安全地帯まで戻ってきたところなのに、これ以上どこまで出撃して行けばいいというんだろう。
・・・なんて。
ずいぶんヘタレになったもんだ。


 *


心を追いつめてギリギリのところにいつも綱渡りのようにふらりと立っていたひとは、風にあおられたようにあっけなく境界を超えた。
そのことを僕は許さないしそのことでまだ随分と痛む。
ただ僕はおそれることを覚えた。
結局ひとのようには生きられない僕自身のことを理解したとでも言おうか。

あのひとはただいとおしく理由もなく恋しくて僕はそれが怖い。


 *







↑あえて誰にも言わずに。

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恋しい恋しいと言えばひとは痛ましげに僕を見た。
今なら、ひとを失ってようやく今なら、ひとの言いたかったことがどことなくわかるのに。


 *


昔使っていた香水の蓋を開く。
青臭く芝居じみていた遊びのようなあの頃の感情のやり取りを、脳ではなくてカラダが思い出しそうで、しまった、と思う。
脈絡もなくあのひとに笑ってほしい、と祈るように思う。
いつまでもどこまでも同じように心が形を変えずにあることを僕もあのひとも求めたのだと思いたい。
そして変わらず浅はかなこの心があのひとに惑乱するのを止めようがないことも、ただ誰かに赦してもらいたい。
どうかここに、居なくても、カミサマ、

この罪深き哀れな魂に御恵みを垂れ給え





Agnus Dei, qui tollis peccata mundi,
dona eis requiem, sempiternam requiem.


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周防 真 [MAIL] [HOMEPAGE]

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