曖昧な日々。
憂欝とは何だ、と訊かれればコレ此処にあるものですと云って差し出すだろう安逸な日々。
広い窓の外が暗く翳っていくのがフロアの向こうに見えていて、あぁもうすぐあの中へ出て行くのだと思うと薄く身がすくむ。 ただあまりまだ寒くもない夜の中を泳ぐように歩きバスに揺られていくあいだ、前に座る見も知らぬ他人のコートについたなめらかなボタンの上に信号の赤い光が明るく反射するのをぼんやりと眺めていては、 何故かしら訳もなく笑いそうになる。
いつも今日は世界最後の日で、 格別の悔いもなく僕は生きている。 いつだって砕けそうに泣きそうだ、なんて今さら言えるはずもない。 自分の中の容量を小さくしてしまえば満ち足りるのは容易い。すぐに容量オーバーになるけど。 今日は何処へ行こう、と思いながら目を覚まして、 もう行きたいところなんかないなぁ、と思いながら目を閉じる。
欲望は僕を拡散させる。 行けもしない空を見に走らせる。 日々を受け入れながら生きるのが僕のやり方で、 欲望はそれを歪ませる。 ただときどき、 癒えない傷が疼くので、
余裕も無く笑う、そこにあなたがいなければいいのにと思う
足跡から静寂まで、そのわずかな隙間に生きていると考えれば身も軽い、
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