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光ちゃんは昔、音楽活動をしていました。だからとてもギターがうまいです。どうでもいいことですが、激務の後の狂った音程で長く弾いたら、しばらく崩れを引きずります。
ところで光ちゃんがメジャーになれなかったのは、あまりにも文才に恵まれなかったからだと言います。私は運じゃないかと思ったんですが、実際に歌詞を聞かせてもらって死にました。
彼の詩に触れた後、しばらくまともな文章が書けなくなりました。それどころか人間の精神構造だとか、情緒だとかの起源が激しく気になり、狂気の狭間を行き来しました。
きっとそれはバンドメンバーにも感染し、まともな感性を破壊しつくしてしまったのだと思います。かくして彼は、バンドを移っても移ってもいい詩に巡り合えないという、地獄の環状線に飲み込まれてしまったのです。多分。
話は変わりますが、光ちゃんと私の妹君は従兄妹同士と言うこともあって、色んな類似点が確認されています。脂性で虫歯ゼロ。O脚のみずがめ座で、どこの国の人かわからないくどい容姿。大きなものを口に入れるのが得意、と言うか好き、等々…。 私も似た血が流れているはずなんですが、共通点は昭和生まれと言うことくらいです。
そして芸術面。光ちゃんは破壊的な文才で光ってますが、妹君は引力のある絵心で…。引力が導く先は、やはり崩壊、破滅です。残念ながら、私は先に自身がダウンしてしまうため、彼らのような作品を残すことができません。もっと粘り強くなりたいです。
例えるなら、1年間、暖かい声を掛け続けて来てくれた赤ペン先生が、最後の一ヶ月で素を出してしまうような。そんな絵を妹君は描きます。
私は妹君の絵に触れる度、蚊の飛ぶ音が耳から離れないような煩わしさと心地よさ、足のしびれが消えうせて行く時の切なさを覚え、「よくわからないものに恋しちゃった」みたいな躁、もしかしたら鬱状態に突入しています。
残念なことにここ数年、妹君とは音信不通にあります。私が覚えている妹君と言う人は、突如平坦な声で笑い出し、アンニュイな午後に“金太の大冒険”をエンドレスで口ずさみ、枝毛とスネ毛を気にする乙女でした。モテるけど、実は中国オタクで実は拷問マニア。元気で居てくれたらうれしいです。
絵が下手と言うわけではありません。うまいです。なんと言っても、妹が生まれて始めて描いた絵は吸血鬼ですから。 幼稚園で丸を描いて「パン」と言い、高校で丸を描いて「卵」と言ってる私とは次元が違います。
激務の明けの光ちゃんの弾き語りに、妹君のカバーイラストのシングルを出したら、父の日とかにバカ売れするかも…。感謝祭とか…。
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2006年03月17日(金)
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