テレビを点けっぱなしで寝てしまったようだ。 金メダルおめでとうございます、という声で目が覚め はっと時計を見るとその針は午前三時少し前、 ちょうど魂の時刻に差し掛かるところだった。 昼間、 時折雨の降る憂鬱な天気に 痛みの引かない足を抱えたまま わたしは連れ出されたのだった。 長い間、手に入れたいと切望していたものを買い、 滅多に食べることの出来ない豪華な料理を食べ、 山の中腹から木々の間を透かして夜の街を見た。 空気が揺らぐとその光がちらちらゆれ、 月光に照らされた波頭のようだと思った。
呼ぶ声が聞こえた。 わたしの中の一番深いところをたゆたう音の流れが ざらざらと感情を擦って 静かに鼓動が高まっていった。
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