2002年09月22日(日) |
山崎豊子『沈まぬ太陽(一)アフリカ篇(上)』★★★☆☆ |
 『沈まぬ太陽〈1〉アフリカ篇(上)』 山崎 豊子 新潮社 (2001/11)
グラウンドゼロから、御巣鷹の悲劇の話題が出て、これを読んだという友人。 彼の感想を聞いて、読んでみようと借りてみた。
国民航空に勤める温厚でまっすぐな性格の社員、恩地元。 エリートの階段をのぼっていくかと思いきや、組合の委員長に選ばれたばかりに、誠意を持ってあたったばかりに、彼の道は険しいものになっていく…。
社内の内規を無視した過酷な僻地勤務で心を病みかけ、それでも組合員のために、耐える主人公。
昔のカイシャインってこんなんだったのー???とカルチャーショックを受けた。 終身雇用が当たり前の時代で、自分もその中のひとりとして読むと主人公の生きざまに感銘を受ける、のかもしれない。 確かに恩地さん、立派で素敵よ。
でもなー家族より組合員、ってどうよ。 組合員の労働環境の改善も重要だと思うけど、家族の崩壊を招くのを防ぐ方が重要じゃあないの? それは価値観の違いなんだろうけど、私はどーしてもそこのところが共感できず、「なんで転職しないんだろう…」と思い続けてた。
もちろん、保身と昇進、権力にしがみつく重役、官僚、ハイエナ達は醜悪。 でもそんな彼等に負けを認めるわけにはいかない…とがんばったあげくに母の死に目にあえず、子ども達の気持ちもすさんでいくなら、選択肢はひとつ、と思うのだ。
きっと、私はすごーく幸せな時代に生きているということなのだろう。 選挙に行かないけど、参政権を得るまでの戦いを見ているような、そんな感じだ。(私は行くよ、ちなみに)
カラチって、今でもあんなにヘヴィなのかしら。
『沈まぬ太陽〈1〉アフリカ篇(上)』
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