活字中毒のワタシの日記

2015年12月07日(月) トム・ハ-トマン『ADD/ADHDという才能』★★★★★


トム・ハ-トマン『ADD/ADHDという才能

ADD/ADHDを障害としてではなく、性格と代謝の特性としてとらえた初めての本。
読みながら、新しい視点を得ました。
とても励まされ、明るい気持ちになっていきました。

「福音」となるであろう一冊。

「ファーマーの世界でハンターとして生きるには、困難が伴うのです。これに否定の余地はありません。」(p21)

ADDの特徴
注意散漫、ときに短期集中型、整理整頓が苦手、時間間隔の歪み、指示にしたがえない、
時々うつの兆候が見られる、または空想癖がある、リスクを好む、直情で短期

専門家の診断基準
「1 席についていなければならない時、座っていることが困難である。
2仕事中または勉強中などに、外からの刺激で容易に注意をそらされる。
3一つの仕事や遊びに注意を持続させることが困難である。
4 しばしば一つの活動を完了する前に、ほかの活動に移ってしまう。
5『そわそわ』したり、『もじもじ』する(または精神的に落ち着かない)
8仕事や雑用をやり遂げることができない。しかし、それは指示が理解できなかったり、反抗的な態度を取っているためではない。」(p44-45)

ハロウェル-レイティーの診断基準
「1 力が出しきれない、目標に達していないと感じる(過去の成果にかかわらず)
「2 計画、準備が困難である
「3 物事をだらだらと先送りしたり、仕事に取り掛かるのが困難である
「4 たくさんの計画が同時進行し、完成しない
「5 タイミングや場所や状況を考えず、頭に浮かんだことを、パッと言う傾向にある
「6 常に強い刺激を追い求める
「7 退屈さに耐えられない
「8 すぐ気が散り、集中力がない。読書や会話の最中に心がお留守になる。時としてひじょうに集中できる。
「9 しばしば創造的、直感的かつ知能が高い
「10 決められたやり方や『適切な』手段に従うのが苦手
「11 短期で、ストレスや欲求不満に耐えられない
「12 衝動的である
「13 必要もないのに、際限なく心配する傾向にある」
「14 実体のない差し迫った不安を感じ、そのせいで危険を追い求める
「15 気分が変わりやすい
「16 気ぜわしい
「17 耽溺の傾向にある
「18 慢性的な自尊心の低さ
「19 不正確な自己認識
「20 ADDまたは躁うつ病、うつ状態、薬物中毒(アル中を含む)あるいは衝動や気分が抑制しにくいなどの家族歴がある」(p47-51)
二十項目のうち十五以上当てはまること。

優れたハンター(狩猟者)としての特性
「常に周囲への注意を怠らない、狩りに全神経を集中させる、環境の変化に応じて、とっさに計画を変更する柔軟性を持っている、狩りに全エネルギーを費やせる、視覚的な思考をする、狩りを愛するが、決まりきった作業にはすぐ飽きてしまう、『普通』の人なら避けるような危険に立ち向かう、自分にもまわりの人間にも厳しい」(p58-62)

「代わりの言葉を挙げるなら、見張り(Lookout)と耕作者(Cultivator)が適当かもしれません。この二者は、互いに共通の利益のために欠かせない存在です。見張りなくして、耕作者に何ができるでしょう?反対に、耕作者がいなければ、見張りは何をするのでしょう?
この二者の仕事を入れ替えてみたら、どうなるでしょう?きっと大変なことが起こります。耕作者は敏感に危険を察知することができませんし、見張りは庭の草むしりに十分に集中し続けることができません。
しかし、それはADD、つまり見張りたちが、現在学校や職場で実際経験していることそのものなのです。彼らが(その本能から)窓の外を見ていると、不真面目な、態度の悪いファーマーだ、と叱られるのです。」(p69)

ハンターが障害のレッテルを貼られるようになった理由
「昔から社会は理解できない行動を取る人や、『普通』でない人を『劣っている』と見なす傾向にあります。」(p80)

ハンターが農耕社会を乗り切るコツ
「仕事ごとに時間を区切る、集中力を持続させる訓練をする、仕事(家庭)での責任を具体的な『目標単位』に分ける、注意散漫防止ゾーンを作る、毎日運動する、自分の得意なことを見極め、ファーマーの仕事には手を出さない、すべての決断を一旦保留する、仕事を小分けにする」

ハンターとつきあうために効果的なこと
「やって欲しい仕事を見通しのきく短期の目標として示す、評価システムを日常的に組み込む、長期よりも短期の報酬を与える、人間中心ではなく、制度中心の仕事、家庭、教育環境を作る」(p104-106)

親や教育者としてできること
「一週間の成果評価表を作り、毎日チェックする、特別クラスに参加させる、『障害者』のラベルを剥がし、ハンター、見張りとして見る、『英才児』のためのプログラムを見直す、薬物治療は治療の選択肢の一つに過ぎない」(p108-109)

親の喫煙と、悪質な行動の相互関係を調査した結果
「喫煙者の親を持つ子どもは非喫煙者の家庭に生まれ育った子供に比べ、極度に破壊的である確率が『四十から五十パーセント高い』ことがわかったのです。(略)この結果から考えると、副流煙による受動喫煙こそが子供の過激な行動の最大の『原因』ということになります。」(p153)

ズッカーマンらの研究より。
「母親が一日一箱以上煙草を吸う場合、子供が著しい凶暴性を示す確率は、他の母親の二倍(つまり百パーセント!)にのぼりました。ところが一日一箱未満の場合、その確率は一・四倍まで下がったといいます。」(p153-154)

デイヴィッド・ファーガソンらの研究より。
「子供が乱暴になり、反抗的になり、反社会的行動に手を染める一因となりうる要素は、一つを除いて全て取り去られ、残った一つが真っ向からこちらを見据えていました。母親の妊娠期の喫煙と、子供の反抗的態度や(彼らが言うところの)注意欠陥障害との間に確かな関係が存在していることを、この研究は明らかにしたのです。」(p155)

煙草の煙が刺激する脳
・コルチゾールの生成を刺激する(アドレナリンやエピネフリンなどの激情及び攻撃、逃避ホルモンと神経伝達物質の大量分泌を促すストレスホルモン)
・エンドルフィンの生成を刺激(脳に対する天然の麻薬材)
子どもたちへの影響は前者のみ

「ビルやベティのようなハンターが、マルチタスキング機能付きコンピューターのごとく動作を速やかに切り換える能力を持っていて、それを注意欠陥障害と呼ぶなら、ファーマーのジョンは動作切換欠陥障害を患っていることになるでしょう。」(p202)

若年文化と高齢文化
「高齢文化の人々は、地球上での人類の立場をはっきりとわきまえています。だからこそ、食べるために殺した動物たちの魂にしばしば祈りを捧げます。命を与えてくれた神に、そして命あるもの全てに日々感謝し、敬意を払って生きています。
一方、若年文化の人々はあまりに利己的です。この星があらゆる創造の中心であるということを信じて疑わず、拷問と殺戮を繰り返してきました。高齢文化を見つけ出しては若年文化の世界観で塗り替えること、または南北アメリカやアフリカ、オーストラリア、ヨーロッパで実践したように跡形もなく抹殺してしまうことを信条の一つとしてきました。
現在、若年文化の手法がいかに危険で愚かしいかについて、高齢文化が世界中で警告の声を上げています。私たちはまずそれに耳を傾けなければなりません。」(p224-225)

トム・ハ-トマン『ADD/ADHDという才能



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