母のタイムスリップ日記
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2002年11月08日(金) ロッカーダンスの中。

 今日は、冬物の衣類の追加分を運んだ。自転車のハンドルより広い袋に入れて、運んだ。
シルクや麻やサマーヤーンで編んだカーディガン等少し残っているのだが、それを羽織ってしまうので寒そうだった。だから、もう すっかり入れ替えてしまおうと思ったのだ。
ロッカーダンスを広げると、母なりに片付けた形跡があった。
パジャマとか下着とか、ブラウスとか別々に収納しているのだが、入り混じって入っていた。ハンガーに掛けておいたブレザーや、ベストは引き出しに入っていた。それらを全部出して、秋物を母の手の届かない所へ移動させた。
母には、その間、下着の引き出しを整理して貰った。
母は、下着を全部出して丁寧に畳んでいた。
引き出しの中には、歯ブラシや歯磨きチューブやコップなどもはいっていた。
そうそう、スリッパも。それらを、洗面台や下駄箱に移した。
やってもやっても、物は移動してしまう。でも、元に戻しておいた方が混乱しないだろうと思い元に戻す。母は、自分で動かした事など忘れているし、その事を咎めても不穏になるだけだから、黙って戻すだけだ。
 
母の部屋には、いろいろのぬいぐるみが置いてある。
今、外に出ているのは、3匹のぷーさん。母がとても気にいっているようだ。
他のは、ロッカーの中にある。
ただ、詰め込んでいるのではない。
几帳面に、まるで、ぬいぐるみたちが中で会議でもしているように並べてあるのだ。その場所も時々変わるのだ。
在宅の時もそうだった。
朝早く目覚めた時に一人でそれらを布団を囲むように並べたりしていた。
元気な頃や私が幼かった頃、母はぬいぐるみを買ったりしなかった。
それは、頑固なほど貫いていた。
でも、今、母は、ぬいぐるみで、少しは癒されているのだろうと思う。

ロッカーの整理をして、足りない物もあった。でも、人の靴下や、シャツも
1枚ずつあった。それらを職員にお返しした。足りない物を報告もした。

部屋においてある引き出しに 少しのお菓子を置いてきている。それをいつも
確認している。確実に無くなっている。きょうも、少し置いてきた。
心が淋しくなった時、きっと 甘い物で多少緩和するだろうと思っての事だ。

すべて、片付け終えたので、ちょっとだけ外に出た。
夕焼け空に白い三日月があった。散歩の間にその三日月が光り始めた。
「ほら」と指差すと、「あー。とっても綺麗なお月さん」と母は感動。
暗くなったら危ないのでホームに戻った。

ホームでは、職員のお姉さまが、新生児を連れてきていた。
母も、入居者もみんな目を細め頬摺りせんばかりの様子だった。
よく、連れてきてくださったと思いその行為に感謝の念を抱いた。

日も暮れたので、私は自宅へと急いだ。
雨戸を閉めようとして空を見ると あの 三日月がひときわ大きくなり輝きを
増していた。家に母が居たなら、直ぐにでも見せるのだけど・・・。
施設に電話して、「お月様 見せてやってください」と言うのもねえ・・・。


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