母のタイムスリップ日記
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2003年01月19日(日) 胸 キュン。


 ペンと紙を渡したら、車椅子のO氏は「帰りたい」と書いた。
胸がキュンとした。
その数分前まで皆で家族の話をしていた。
そして、O氏が七人兄弟の2番目で、お子様もいらっしゃると言っていた。
「帰りたいのはお子さの所?故郷?」と聞いてみたら「故郷」と口パクした。
O氏の心の中は見えない。
でも、「帰りたい」と言う思いはビンビンと伝わってきた。

「何をしているの?」と責任者の人が来た。
「帰りたいんだって」と伝えると。
「つくしの出た頃にね」と言い、続けて「こういう事って大切なのよね」と言った。思わず「むっ」とした。
何も本人を前にして後の言葉は 言わなくともいいのにと思ったのだ。

私も余計な事をしていたかもしれない。
いたずらに心を揺さぶってしまったかもしれない。
でも、時に溢れる思いをゆっくり聞いてあげてもいいじゃないか?
面会者の訪問が殆どない泣き虫のO氏なのだから、思いを馳せている時位
黙って受け止めてもいいじゃないか?

責任者が離れた後も故郷の話を続けた。
私も知っている場所なので話しかける事はできた。

その後の流れでフロアに住む人皆で紙風船をした。
一人輪の中に居乍らウトウトしていたI氏も騒ぐ声につられて仲間に入った。
少し汗ばむほどの時間だった。

それぞれが、いろいろの事情で施設入所しているのだろう。
でも、面会って大事だ。
そっと心に寄り添って上げられる人が時折傍にいて欲しい。
私は、職員でないけれど。いや、職員じゃないからこそそう言いたい。

ここに書けない思いを心の奥底に深く閉じ込めながら、そう言いたい。




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