母のタイムスリップ日記
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昨日、散歩から戻るとテーブルではAさんが針仕事をしていた。 これは、入所以来 はじめてみる光景である。 「へえー。針仕事もするんだな」鋏も出ていたし…。 Aさんに「雑巾ですか?お上手ですね」と声をかけると「へへへ。こう見えて好きなのよ」とニコニコ顔。 母にも編み物を出してあげて、ソファーで作業してもらった。 と、 「あんたなんか、できないくせに何すんのよ。やれるものならやってみなさい」と大きな声でAさんの怒鳴り声が聞こえた。 見てみるとFさんが「何してるのだろう」と興味深げに雑巾を手にしていたのだった。そこにAさんは、自分の縫っていた物も投げ出してしまっていた。
きっと、自分の仕事の邪魔をされたと思ったのだろう。 自分だけができる人と満足していたのだろう。
言われたFさんは、気がつかない風でマイペース。 だから、大きなトラブルにはならなかった。 これが、気の強い人なら取っ組み合いになる所だろうな…。
職員も直ぐ気が付き、Fさんにできるかな?といった風だった。 「きっと、初めの一針だけ縫って渡せば縫えると思いますよ。母がそうだったから…」というと早速そうなさっていた。 Fさんは 手早く縫い始めた。 Aさんより ずっと早いペースで。 痴呆度は、Fさんのほうが重い。初めの一歩が出ない。 Aさんの方は、言われただけで作業に入れる。 こんな風に、できないように見えても案外できる事ってあると思う。
きっと、Fさんは、入所一年ちょっとで、初めての針仕事になったと思う。
職員の方は、仕事を終えて、しっかり針の点検をしていた。
母はといえば「ソファーで一人の作業は嫌」といい 私の隣に移動してきた。 この辺が「誰にも邪魔されたくない。私の大切な人」という事を裏付ける行動なのだろうか…。
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