母のタイムスリップ日記
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2003年07月10日(木) 「すごい」と思ったら・・・。


 母は、ホールのソファーで編み物をしていた。
手際もよくもうすぐ一巻きが終わりそうな気配だった。
おとといの夕方からでここまでか…。
一番馬力のあったときは半徹夜でセーター一枚。
そのころと比べれば亀さんの歩みだけれど、この一年からみれば上々だろう。
すかしの入った模様編みをしているようだった。

かなりの集中状態なので、先に居室の整理と掃除をした。
特に物が移動した様子はないが見たこともないハンカチが入っていたので職員にお返しした。母は、自分で持ち込む事はないだろう。
自分の物でも、人の物をお借りしていると思うくらいだから。
職員のまちがいだろう。

一仕事を終えて、母の傍に行き編んでいるものをみた。やはり模様編みだ。
「すごいなあ」と一人感心していていたら…。
な・なんと模様編みではなくて、単に間違って編んでいたのだった。
波模様のように見えていたのは、糸をきつく編んだりゆるく編んだりと編み方一定でないため歪んでいたのだ。
すかし模様に見えたのは、編み落としに過ぎなかった。

私の頭の中では、いつもきれいな模様編みをしている母の姿が焼きついているので模様編みと思い込んでしまったのだろう。
そうだよね、目数だって覚えていられないのだから、できる訳はないな。
でも、作品にならなくてもそうやって集中できるだけでもいいよ。偉い!

そういえば、以前お世話になっていたデイでアルツの方が遠々と鎖編みをしておられた。徘徊のある方だったけれど、編んでいる時は、満足そうにしていらしたなあ。
母は、その時「あの人は、いつも同じにしか編まないんだよ」と不思議そうに言っていたけれど…。「病気だからね」と母には言って置いたけれど…。
今の母は、あの時の方と似たような状況であるのだろう。
6年くらい前のことだから…。やっぱり ゆっくりゆっくり進行しているのだろうな。

編み物を一休みして貰って、霧雨の中 相合傘で散歩に出た。
今日の認知力は高い。めがねのマークをみて「めがねかな?」ドラックストアの看板を見て「あそこは薬?」と言った。
いつものことながら、信号待ちで停車中の車の列を「今日は、なんだかいっぱいの車がいるね」と。
単に停止しているだけなのだけれど、母にはそれが理解できないのだ。
でも、良いとしよう。
車を認知出来、そして、いっぱい並んでいると言えるのだから。

言葉使いすら忘れてしまう病なのだから…。
それを考えれば やっぱりまだ 残っている能力があると言うことだろう。

今日も、田んぼのカルガモ親子を探した。
行った時は、姿が見えなかったが 帰路には姿を見せた。
子供のほうは未だ飛べないのだから、草むらの中に巣がありそこに隠れているのだろう。
そのうち、都心のように道路を横切って川へと戻っていくのかな?
通りすがりの人の話では「除草のために農家の人が放しているのでは…」といっていたけれど…。
どうなのかな?
今度、農家の人に出会ったら聞いて見よう。

適度の疲労感が出たようなので、施設に戻った。

施設内では、珍しくお裁縫をやっていた。
入所以来、初めて見る光景であった。
そこで、トラブル勃発。
長くなるので これは、明日にまわす事に…。


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