短いのはお好き?
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いつものように、汚い上っ張りを着て単純作業に勤しんでいたら 左の耳が不意に、ちょうどエレベーターに乗ったときみたく詰まったようになって、ああ、また始まるなと思ったらもう後のことはぜんぜん憶えてない。 気付くと床が目の前にあった。どのくらい倒れていたのかもわからない。たしか遠くのほうで誰かが歌を唄っていた。なんの歌だったのか、旋律は今も頭のなかで 鳴っている。
キムラちゃんは、やけに派手な音をさせて床にぶっ倒れた。みんな作業する手を止めて一斉に音のした方をみた。ぼくのとこからは彼の姿はまったく見えなかったけれど、それがどんな事態なのかは概ね想像できた。
お昼にもんじゃを食ったのが拙かったのか、あるいは、昨夜マイルスの『in a silent way』を聴き狂ってたのがいけなかったのか。でもあれはほんとに病みつきになるんだから仕方ない、マクラフリンのあのギター! もう身悶えせずに聴いてはいられないほど。てか、音楽全体がこの世のものではない。楽曲がどうのこうのとかいうレヴェルじゃあないんだ。夢見るような音楽。
キムラいい加減にしろよ、MP3で何聞いてるのか知らないが、仕事中に聴いていいと思ってるのか。おまえはいいな、得してるよ。そのキャラじゃ誰もがキムラじゃ仕方ないって、思ってくれる。おまえもしかしてそのキャラ狙ってやってんじゃないだろな? でもな、仕事中に寝るのだけは許せん。
そうだ、わかったあの歌は、zeppの『天国への階段』だ。
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