短いのはお好き?
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ガシャーンという窓ガラスの割れる音を後ろにききながら、おじさんは塀を乗り越え足早に立ち去ってゆく。
おじさんは雪に足をとられながら、次のガキを早くみつけなけりゃあなぁと考えていた――。
(了)
おい、人殺し! おい、てめえだ、てめえ。
断っておくがこの↑上の物騒な文章は私が書いたと勘違いしないでいただきたい。 あるいは、ブルトンの自動書記などでは断じてない。
私がこのイヴの最終行を書き終え、enpituにカット&ペーストして、ラークを燻らせながらほっと一息ついているとプレヴュー画面に勝手に文字が浮かび上がってきたのだからたまんない。
なんじゃこりゃ? しばらく様子を窺うことにした。
おい! こりゃあ、盗作じゃねえか。ディケンズだ、ディケンズの『オリバー ・ツイスト』じゃねえか。
フェリスがオリバーで、この俺さまは、あの小汚いフェイギンか? それも『オリバー・ツイスト』を下敷きにしたとかいうんじゃなしに、これじゃあ、まるっきりのパクリじゃねえか。
まったくあきれてものも言えねえな。羊頭をかかげて狗肉を売るってえのは、おまえみてえな…、いや、ちょっと違うか?
まったく画竜点睛を欠くってえのは…、いやこれもちがうな。
ほれみろ。おまえの作ったおれのキャラが無知蒙昧の輩ってやつだから、適切な言葉が浮かばねえじゃねえか。
いや。この場合、適切な表現と表現した方が表現的には適切な表現と適切に表現できるのではないかしらん? んんんんん??
そこで私は、呆気にとられながらも、仕方なしにこう入力した。
「それをいうなら、盗人たけだけしいって言うんじゃなにのかな」
そうだ。そいつだ。わかってんなら早く言え、どアホウ!
そんじゃ、あらためて…。
盗人たけだけしいってえのは、てめえのことよ!!
あらためてそういわれると、さすがに私もムッとした。だが、自分自身でも書き進めて行くうちに、やけに『オリバー〜』に似ているなぁ、と思ってはいたのだ。だから、私としても痛いところを突かれ反論できないのだった。
おい、聞いてんのか!
とにかくな、おれはこのままじゃ許さねえぞ。そのおまえの腐った根性が気にくわねえ。『オリバー〜』を読んでねえなんて言わせねえぞ。
いいか、書き直せ。書き直さねえと、ただじゃおかねえぇぇぇぇぇぇぇっ!
私は頭をかかえた。
「あーた。んな、こと急にいわれてもね、今から書き直したんじゃ…。今もう外は明るくなってんすけど?」
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