短いのはお好き?
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…と同時に、ギイと窓が音を立ててなった。
フェリスは思わず身をすくませる。
おじさんは何も言わなかったが、その方がよっぽど不気味だった。
フェリスはさっきからつきまとって離れない嫌な予感が一層強くなるのを感じ、凍ったように身動きできなかった。
するとおじさんが無言のままフェリスの右足のふくらはぎあたりを、いやというほどつねった。フェリスは痛い! と声を上げそうになるのを咄嗟にぐっと呑み込んだ。
ぐずぐずしてはいられない。早くしないとお仕置きがもっと酷くなる。
フェリスは今度は慎重に音を立てぬよう窓を押し上げ、自分の体が通れるほど開けると、窓枠に乗り移った。
そして体の向きをかえ、窓枠にしっかり掴まると窓の向こう側へ身をくの字に曲げるようにして、ゆっくり足をずり下ろしてゆく。
両腕がぶるぶると震える。
体が下へ伸びきると、とんと床に飛び降りた。が、勢いあまって斜め後ろへバウンドし、食器棚のようなものにガシャンとぶつかった。
冷や汗を流しながらフェリスはその場に暫くうずくまっていたが、やがてそろそろと起き上がり、鍵を開けるために窓の方へいきかけた。
その時フェリスは、人の気配に気付きはっと後ろを振り返った。 その直後、ショットガンが火をふいた。
フェリスは声を上げる間もなく、激しく窓に倒れこんだ。
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