短いのはお好き? 
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2002年12月27日(金) イ ヴ #3


おじさんは辺りを用心深く見回した後、塀にフェリスを乗せ、先に塀を乗り越えフェリスを抱え下ろす。


 抜き足差し足で裏の方へと向かうおじさんに手を引かれながら、この家にもやっぱり犬がいないなとフェリスは思った。


 以前、そのことをおじさんに訊ねるとおじさんは「犬が吠えると近所迷惑だからな」といった。


 次におじさんはいつものように錠のおりていない窓をみつけ、フェリスを軽々と肩に担ぎ上げる。


 窓はフェリスがやっと通り抜けられるほどの窓だったが、フェリスは今夜に限ってとても嫌な予感がして仕方なかった。


 それで、我知らずいつも疑問に思っていることをつい口走っていた。


「おじさん、善いことをするのになんでこんな夜中にこそこそしなくちゃいけないの?」


 おじさんは舌打ちした。


「おまえはなんて馬鹿なんだ。いいか、この仕事をかたづけたらお仕置きだからな。覚悟しとけよ」


 声を押し殺しておじさんはそういった。


 フェリスはそれを聞くとぶるぶると震えだした。フェリスがこのお勤めをするのも実はお仕置きが怖いからなのだ。


 もしお仕置きが嫌などと一言でも言おうものなら、鞭打たれた後で屋根裏部屋に閉じ込められ丸一日食事抜きの罰が待っているのだった。


 フェリスは、震えながらも意を決して窓をぐいと押し上げた…。






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