わわわんわん



ソースをだせ!

2003年10月16日(木)

コンビニに並ぶざら紙の漫画本。安彦良和(いわずとしれたガンダムのキャラクターデザイン)の「ナムジ」と「神武」をなんとなく読んで、おや?と思わされたのは「神武」の土蜘蛛の話。くまどりに似た顔の化粧、山の主たるイノシシ。何かに似てはいないか?

もちろん、映画「もののけ姫」のサンと猪神がすぐに連想される。

気になったので初出を比べてみた。「神武」がハードカバーで出版されたのは平成4年、対して「もののけ姫」が公開されたのは平成9年(1997)。それぞれ安彦良和の公式ホームページとスタジオジブリのホームページで確認したものである。

さて、コンビニざら紙本はどうやらダイジェストのようである。この土蜘蛛の挿話はごく短く、前後が省略されている感じだ。残念ながら、元のハードカバーや徳間書店から出ているはずの文庫版もまだ見ていない。ので、乱暴な比較ではある。

パクリ疑惑などを述べたいのではない。数年の差で、同様の表現がとられていることの、由来はどこにあるのかをとりあげたいのだ。以下に主な共通項を並べてみよう。「もののけ姫」に関してもおぼろげな記憶に頼っているので齟齬もあろうが、ツッコミはさておき。

以下、「もののけ姫」は(も)、「神武」は(じ)と示す。
1)顔に化粧をしている
  (も)サンの戦化粧?ポスターにもなっている、赤いくまどり
  (じ)兄エカシ、弟エカシと呼ばれる者に率いられた集団は皆顔に化粧がされている
    この化粧は目の下、ほお骨に沿ったくまどりが共通している
2)山の主としてイノシシが現れる
  (も)オッコトヌシさま(漢字ぐらい調べるべきだとは思う)、精霊のような大猪
  (じ)主人公と意志の疎通をみせ、弟エカシは猪を山の主だと認識している

はてさて。エカシはアイヌっぽい模様の衣装をまとっている。それにエカシは長(おさ)の呼称だったはず。どうやら(じ)の方が伝承などを直接的に扱っているのではないか?

ないか、と疑問を差し挟む余地はなく、(じ)はもとからソースが明記されているのだ。むしろ、これであまり明確には示されていない(も)のソースが推測できるのではないか。

ただ、同じソースを用いているとしたらおかしいと思うのは(も)が中世を連想させる描写にあふれていること。古代から中世への転換点で起こったドラマだということか?(たぶんその通りっぽいことを作者が述べている資料が探せばみつかりそうなんだけど、探すのはめんどくさい)

そして(じ)は確かに古代のはずなのだが、エカシ兄弟の周辺は近世以降の雰囲気がある。具体的には装身具の模様などが近世のものを連想させられる。これは、もしかすると現在想定しうる古代の限界を示しているのか?(じ)の建物描写、衣服、武具などを見る限り相当の史料が投じられているはずである。もちろん、(も)も同様である。それとも、読者の抱いている「古代」の範疇をこえないようにアレンジされた結果なのだろうか?

とはいえ、「山の主たるイノシシ」や「顔の化粧」がどちらかの作者の創作ではなく、これらを記したものがあったのではないかと思える。それは直接、元の記録にあたったとは限らず、むしろどちらも二次的に、つまり誰かがこれらのことがらについて論考した内容を受けて作られた表現なのではないか?でなければ絵面としてこれほど酷似しないのではないか?

で、「古代から中世のある時期に「顔に化粧」をほどこした人々が山に住み、「山の主たるイノシシ」(または、他の獣)と共生していた時代があった」と述べたのは誰だ?



ああ、論旨がむちゃくちゃ。安彦良和の絵は、ほんとに凄いね。あらためて、ガンダムの魅力は95%ぐらいあの曲線(特に足)の力ぢゃないかと思う。シャアなんてマスクで顔が隠れてたんだから。ピタピタ衣装の足に目がゆかなかったか?シャアの人気の78%は足、それもフクラハギだろう?(嘘です、ごめんなさい)

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