スカーレットの心のつぶやき
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2002年08月25日(日) こころの天使

今日は 叔母を城川町の「かまぼこ板の絵展」に 連れて行ってあげました。

このギャラリーのスタッフからのメッセージを この日記を
読んでくれる人たちに届けます。

  「天使に出会ったかまぼこ板」

やあ、みなさん「こんにちは」
ぼくのふるさとは 四国の山の中、
愛媛県の城川町という水と緑と
空気のおいしい小さな町なんだ。

ぼくたちの木は 山でのんびりと
ひなたぼっこをしながら
空気をつくったり 水を守ったり
風と遊んだり、鳥とおしゃべりをしたり・・・
そんなことをしながら大きくなるんだ。
それからね、みんなの使うノートやえんぴつ、
机やイス、家の柱にもなったり・・・・と
いろんな人生があるんだよ。

ある日、ぼくはいたずらヒヨドリから
「海」の唄を聞いたんだ。
「♪山のむこうのそのむこう、
 川のおわりがあったとさ
 川のおわりは水をため
 しょっぱい海になったとさ。
 山より大きな魚たち
 天まで水をふきあげて
 のたりのたりと泳ぐのさ♪」

その唄を聞いた日から、ぼくはまだ行ったこともない
「海」の夢ばかり見続けていたんだ。
それなら、・・・とヒヨドリが教えてくれたのさ。
−−−「かまぼこ板」になればいいってね。
−ーー「海」の近くへ行けるってね。
この山を離れるのはさみしいけど、ぼくは「かまぼこ板」になる決心をして
潮の香りのする町をめざしたんだ。

町についたぼくは、
海の見える小さな製材所でくる日もくる日も
日なたぼっこをしながら、あこがれの海をながめ
山のように大きな魚を待つ日がつづいたんだ。
でもね、水を天にふく大きな魚には会えなくて
ぼくは少し たいくつだなって感じはじめていた。

夜になってもなかなか眠れなくて
目に光る海をながめていると
遠くから、ぼくを呼ぶおかあさんの声がしたんだ。
それは、とっても小さくて、すぐ波の音に消されたけれど、
まちがいなく、・・・
やさしくてあたたかいおかあさんの声だった。
なんだか急にさみしくなったぼくは、
その夜、山を出て はじめて声をあげて泣いたんだ。

そんなある日、ぼくのからだがふわっと浮いたんだ。
「キューン」「キューン」と音がして、
ぼくは、うすっぺらな板になっちゃった。
翌朝早く、しわしわのおじさんがぼくをぎゅっと
にぎったかと思うと くるくるまわし
あれよあれよで、「いっちょあがり」
ぼくはその間、ずっとどきどきしてたんだ。
だって、まちにまった
「かまぼこ板」になっちゃたんだもの。
ぼくとかまぼこは きれいな箱に入り
旅をすることになった。

いくつものトラックターミナルを乗りついで
街の中を走っている旅の途中
かまぼこがぼくに話しかけた。
「ぼくらは 食べられるが 仕事なんだ。」
 でも、君は捨てられるんだよね。」
かまぼこの言ってることが よくわからなくって
「えっ」と聞きなおした。
「あのね、ぼくらはいっしょにいる間はかまぼこなんだ。
 でも、君は板だから食べられないだろう、
 だから、ぼくとはなれたら、すてられちゃうんだよ
 わかったかい、・・・」

「ああ、そうか、ぼくはかまぼこじゃあなくて
 かまぼこの板なんだ・・・」
海にあこがれ、山をおりたことを
少しずつ後悔しはじめたんだ。
でも・・・でも・・・ぼく、すてられたくないよう・・・!。
その時トラックは大きな家の前で止まった。
「ピンポーン」の音とともに「ハーイ」と
やさしそうな おかあさんの声。
とうとうぼくの旅も終わりをむかえたらしい。

その時小さな女の子の声がかすかに聞こえた。
「ねえ、おかあさん、この板、わたしにちょうだい。」
「じつはね、かまぼこ板の絵展覧会というのがあるの」
「絵は、だれがいつ かいてもいいでしょ、
 何にかいてもいいよね!」
「それなら、すてられちゃうかまぼこ板を使って
 みようって 思いついたんだって」
「ねえ、おかあさんも かいてみない?」

そして・・・
ぼくは、あのなつかしい城川町に帰ってきた。
そこには、ぼくと同じ20、000枚もの仲間が
ところせましと、胸をはってならんでいた。
ぼくら、かまぼこ板 第二の人生物語の 展覧会だった。
みんなみんな うれしそうに輝いてうたっている。
♪山に生まれたぼくたちが 海にあこがれ旅をした。
 もうおしまいのその時に
 ちっちゃな天使が舞い降りて
 こころとこころをむすびつけ、
 地球がまあるくなったのさ♪

こうして、ぼくらの第二の人生が
ふるさとの「ギャラリーしろかわ」ではじまった。

ぼくは思った。
かまぼこ板の絵になったぼくらをとおして、
人と自然のなかのよいおつきあいや
人と人との出会いから、たくさんの感動が
生まれますように・・・と。

そして、なによりも大切な「こころの天使」を
毎日の暮らしのなかで 育てていきたいって。

だって、木も鳥も人も花も、
みんな「しあわせ」になるために
生まれてきたのだから・・・。
ぼくらを輝かせてくれた「こころの天使」さん、
本当にありがとう。

山の中の小さなギャラリーに届けられた
かまぼこ板の天使さん・・・ワイワイ、ガヤガヤ
集まって 小さな町の大きな夢になりました。


以上です。
きっと、これを読んでくれた人の胸に「心の天使」が
小さな あたたかな やさしい し・あ・わ・せを 運んでくれたと
思います。

一度足を延ばして このステキな 「ギャラリーしろかわ」へ
行ってみませんか?
きっと、いい思い出に出会えると思いますよ。

「ギャラリーしろかわ」
愛媛県東宇和郡城川町い大字下相680
TEL0894−82−1001

「かまぼこ板の絵」展覧会
平成14年7月20日(土)〜11月24日(日)
 休館日 毎週火曜日
 開館  9:00〜17:00
 
 




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