|
|
■■■
■■
■ Birthday...4
そのフレンチレストランは、厨房がガラス張りで 客席から見渡せる造りになっていた。
店内は若い女性のグループや、カップルで賑わっていて 別の個室では、ウェディングパーティーも開かれていた。
お誕生日おめでとう。
ありがとう。
彼はビール、私はキール。 そっとグラスを合わせ乾杯した。
ゆっくりとした時間の中で、前菜やメインを味わう。 最後のデザートを、おヒゲのギャルソンが運んできた。
「お誕生日おめでとうございます! 」
(……!?)
お皿の上の苺タルトには、火の灯った細いロウソクが1本立っていた。 そしてケーキ皿にはチョコレートで 「誕生日おめでとう(フランス語で)沙夜様」と書いてある。
「本日は沙夜様のお誕生日だそうで。おめでとうございます。 さ、ローソクを吹き消して下さい」
言われるままにローソクを吹き消すと、彼とギャルソンとで 拍手をしてくれた。
ケーキをまじまじ見ていたら、再びギャルソンが現れ 今度は花束を差し出す。
「どうぞ」
あ、ありがとうございます…
私はギャルソンに向かってお礼を言った。
「これは僕からじゃないですよ(笑) ダーリンからですからね。 まったく至れり尽せりで、お優しいダーリンですねぇ」
(ダーリン!?)
ええ、あの、ほんとに。 至れり尽くせりのダーリンで…(笑)
その後の私は、ずっと、恥ずかしさと嬉しさを 笑うことでごまかしてた。
どうしたの?
ううん。 ありがと。嬉しい。
どういたしまして。
テーブルに置かれた花束は、窓から差し込む眩しい光の中で 白、黄、橙、緑の鮮やかな色を、生き生きと放っていた。
2003年02月01日(土)
|
|
|