K1のワンマッチにボブ・サップが登場。レイ・セフォーと戦った。サップはここ数試合、ミルコ、ボンヤンスキー、藤田といった高い技術をもった格闘技プロフェッショナルに負け続けた。とりわけ、「総合」では藤田に屈辱のサッカーボールキックを浴びて惨敗した。サップの格闘技人生もこれで終わりという人もいた。レイ・セフォーとのこの戦いは、サップの将来を占う一戦、つまり、ここでサップが逃げるようならば、彼は格闘家としてもう立ち直れない――そういう意味で、注目の一戦となった。 試合展開はご覧のとおり、大きく2つの場面に分かれた。最初の展開は序盤、出だしから興奮気味のサップが体力を頼りに圧力をかけ、めちゃくちゃなパンチを振り回し、セフォーを殴り倒そうとした。倒れたセフォーにパンチを繰り出し、反則を取られた。一方のセフォーも急所攻撃でかえす。なんとも凄惨な試合になりそうだった。急所攻撃を受けたサップに休憩が与えられ試合は中断した。ここで冷静さを取り戻したサップ。正気に返り、休憩明けからやっと、K1(スポーツ)が始まった。 K1となれば、セフォーの一方的な展開だ。パンチ力に勝るセフォーのフックをまともに浴びて、サップはフラフラ。コーナーに押し込められ、左右フックをボディ、顔面、側頭部に入れられマットに沈んだ。 サップの戦いぶりを見た関係者は、「(サップは)負けたけれど、大丈夫、復活した」という意味のコメントを発した。本当だろか。 さて、試合前の控室のサップの表情をTV画面で見た人は、彼の異常に気づいたろう。彼の表情から、怯え、恐怖を読み取ったのは私だけではないだろう。格闘技で3連敗、いずれもKO負けに等しい一方的敗戦を屈した男、自分のきょうのコンディションは最悪だと自覚している男(サップは試合前、点滴を受けていたという)、きょうの相手は、本物のヘビー級のキックボクサーであること…サップを恐怖が支配したことは疑う余地がない。 そもそも、サップはアメリカンフットボールの選手だった。プロレスのキャリアは少ししかない。格闘技は素人だ。そんな彼が持ち前のキャラクターで日本で人気者になった。アメリカンドリームならぬ、ジャパニーズドリームを掴んだのだ。しかし、格闘技のプロから見れば、サップの技はどれをとっても未熟で中途半端だ。 それだけではない。私の知っている格闘技経験者に言わせると、サップの本質的な弱さは、技術(技)の未熟さではないという。サップの弱さは、「痛みに耐えられない」こと、精神的な問題だという。 どんなに鍛えあげた格闘家でも、パンチを顎等の急所に受ければKO負けを屈する。脳が振動で機能しなくなり、意識を失うからだ。だから、顎等の急所にパンチや蹴りを入れられないよう、ガードをする。当たり前のことだ。その結果、急所を外れたパンチを受けることが避けられない。パンチが顔面をかすったり、頭部に受けたり、目じりを襲うこともある。顔面攻撃ばかりではない。キックボクシングや総合格闘技では、ローキックを受けることが多い。パンチが顔面をかすると、激痛が走るというし、ローキックをまともに受ければ、骨に響き死ぬほど痛いという。国際式ボクシングのチャンピオンクラスがK1でことごとく負けているが、いずれも、ローキックを受けて、立てなくなってしまう。一方、キックボクサーや総合格闘技を基本からやっている格闘家は、ローを受けても頑張ることができる。痛みに対する免疫力が違うのだ。彼らは、痛みに耐えつつ、相手に決定的なダメージを与える瞬間を狙う。もちろん、ローキックを防いだりかえすテクニックはあるが、100%防ぐことは不可能なのだ。 サップは格闘家ではない。彼は痛みに耐えられない。ボンヤンスキー、ミルコとの戦いでそうだった。ミルコの攻撃を眼球近くに受けて、サップは泣き出しそうな表情を見せた。あのときから、サップが痛みに耐えられない「格闘家」であることが知られていた。だから、サップは、格闘家の間から、素人と言われたのだ。ミルコに負けたとき、「引退して、プロレスに行ったほうがいい」と指摘した格闘家がいた。その指摘どおり、サップは本格的な格闘家に負け続けた。サップには、本気の格闘技は無理なのだ。彼が活躍できる分野は、プロレスリングしかない。サップは、キャラクターを生かしたプロレスの人気者でいいじゃないか。K1の客寄せパンダの役割は十分、果たしたのだから。サップの後釜には、曙が座る。
Jリーグ1stステージは横浜が優勝。2位磐田とは僅差だが、終盤での逆転優勝だ。まずはおめでとうございます。順位を確認すると以下のとおり。 �_I諭州押↓�磐田―3、�1栽臓州粥↓ぃ蚤膾紂州后↓ゼ�島―1、�Γ藤壇豕�―6、�Щ垳供州掘◆↓�名古屋―5、��東京V―8、��大分―13、��清水―16、��神戸―12、��広島―15、��新潟―11、��柏―10、�娃誕膾紂�14(―の次の数字は私の予想)。 こうしてみると、私が優勝候補に挙げた鹿島は5位。無理筋なのは承知で、ひょっとすると、と思って優勝候補に挙げたものの外れた。鹿島の5位は妥当な順位だろう。浦和の3位は私の予想より1つ上だった。 4位〜8位は順当な結果だと思う。G大阪は予想以上の健闘、一方、名古屋の8位が意外。名古屋はFWウエズレーという切り札がありながら、ベスト5に残れなかった。その原因は守備か。 9位〜12位では、10位大分が大健闘だ。浅いDFラインを引いてコンパクトなスタイルを貫いた戦術が効果的だった。ハンベルガー監督の采配が順位を上げたように思う。清水もよくやったほうだ。戦力的に劣る清水を11位まで引き上げたのは、アントニーニョ監督の采配だと思う。トップの北嶋に当てて攻撃の基点をつくるシンプルな約束事が徹底し効果を上げた。伸び悩んでいた北嶋を復活させたのも、アントニーニョ監督の手腕だ。ブラジル人FWアラウージョもいい活躍をした。彼はブラジルリーグのゴイヤスからきたらしい。さて、私が評価するアントニーニョ監督が辞任するという。惜しい。後期もやってほしかった。 13位以下では、私の予想を最も裏切ったのが柏。選手の質から考えて、悪くても8位前後だろう。柏に関しては、繰り返すが、監督を交代させて、玉田やドゥドゥを生かすサッカーをしてほしい。彼らの才能を生かすためには、指導者の交代が絶対に必要だ。 2ステージ制は今年の後期で最後となり、世界標準の1シーズン制になる。当然の変更だ。これで、どこが一番強いのかがわかる。1シーズン負けないで根気良く引分を積み重ねたチームが順位を上げる可能性もあるし、逆に、勝ちにこだわるチームが抜け出る可能性もある。尻切れトンボのような2ステージ制とは違って、真の覇者が決まる来年が待ち遠しい。 Jリーグはおもしろくなった。代表同士の親善試合より、リーグの試合の方が質が高いし、気合も入っている。Jリーグで活躍できなければ、欧州も南米もないだろう。海外組の何人かがJリーグに復帰するらしい。そこで、実力をみせてほしいものだ。噂どおり、鈴木、柳沢が鹿島に復帰するとなると、2ndステージの優勝はいよいよ、鹿島で決まり…だろうか。
プロ野球が揺れている。話題は近鉄に続いて消滅する球団はどこか。消える可能性の高い球団として囁かれているのは、なんといっても、ダイエーで、次がヤクルト。ところが、10球団1リーグの流れに反して、12球団、2リーグに戻すという「迷案」が出された。近鉄が消えた代わりに、新球団を創設するというのだ。オーナーは読売グループで、チーム名は「パリーグ巨人軍」(笑)、本拠地は大阪だという。 人気チームで人材が有り余る「巨人」を2分割し、半分をパリーグに参加させ、戦力の均等化を図る。両リーグとも、「巨人」が優勝した場合は、日本シリーズは「紅白戦」か。 「パリーグ巨人軍」の主力は、清原、元木といった読売の関西出身者。前近鉄のローズも参加する。近鉄、オリックス合併に伴い、ジャニーズ系投手の岩隈、やわらちゃんの夫君・谷もほしい人材だが。パリーグ巨人軍の弱点は、もちろん投手力で、本家も苦戦しているくらいだから、分家にまわる人材は乏しい。それでも、大阪出身の上原、大リーグをクビになった野茂が復帰するので、なんとか格好はつく。これだと、セの巨人は主力を失い、ガタガタかもしれないが。 ことほどさように、今後のプロ野球の将来は暗い。巨人におんぶにだっこでいくのなら、「セパ巨人軍」の構想が現実味を帯びてくる。
日本人は五輪が大好きだ。国と国が争うことに特別な価値を認める。さらに、五輪にはアマチュア精神・純粋主義の誤解というか幻想が重なって、国民が五輪に対し、異常な関心を示す。サッカーでは、U23代表によるアジア予選が国民的関心を呼び、盛り上がった。 一方、五輪サッカーに対する関心は、欧州ではないに等しく、南米では最近やっと関心が出てきたといわれている。サッカー王国ブラジルは五輪で金メダルを獲ったことがないが、五輪チームの監督が非難されたことはない。ブラジルは今度のアテネ五輪に予選で負けて出場しない。 欧州が五輪に関心を示さない理由は、五輪開催が各国リーグの開催期間と重なっているためだ。主力選手が五輪なんかでリーグ戦を休まれたのではたまらん、というのが欧州クラブの本音だ。 このたび、日本の山本五輪チーム監督は、OA(オーバーエイジ)枠3人のうち、小野(MF)と高原(FW)を要望しているらしい。小野はオランダリーグのフェイエノールトが小野の離脱にOKを出さず、高原は病明けだ。山本監督が敢えて無理難題を吹っかけているように見えるのは、国民の期待が高いからだ。結果を残したいのだ。監督という立場上、それは仕方がない。だが、高原については、病気なのだから無理をするなと、また、小野については、クラブを大事にしろと言いたい。 たかが五輪、されど五輪かもしれないが、たとえば、1996年のアトランタ五輪を思い出してほしい。あのとき、日本五輪チームは、予選でブラジルを破るという大番狂わせを演じ、その勝利はいまなお「マイアミの奇跡」として語り継がれている。ブラジルを破ったことは快挙だし、選手は本当によくやったと思う。 さて、「奇跡のチーム」の主力選手のその後を見ると、「快挙」と呼んでいいものかどうか疑わしい面も否定できない。「奇跡組」を貶める気は毛頭ないが、たとえば、主力の一人だった前園は、Jリーグから海外移籍を果たしたもののレギュラーをとれず、日本に復帰後も活躍できなかった。いま韓国に渡ったが活躍の知らせを聞かない。奇跡の試合で決勝点を上げた伊東は、Jリーグでレギュラーの座にあるが、海外移籍の噂すらない。アトランタからW杯フランス大会日本代表として順調に成長した選手(川口GK、中田MF、城FW、服部MF…)もいる。フランス大会後、中田、城は海外移籍を果たしたものの、城はレギュラーになれなかった。「奇跡組」の多くはJリーグのレギュラーどまり。もちろん、Jリーグでレギュラーを維持することは大変なことなのだけれど、世界レベルという基準で考える限り、五輪での活躍がキャリアとして占める割合もしくは影響力はゼロに近い。はっきり言えば、五輪に出ても出なくても関係ないよ、というのが実態なのだ。 選手の五輪出場の希望はもちろん、大切だ。しかし、一般ビジネス(プロ集団という意味だが)の世界で考えてみるならば、個人の希望がかなえられないことの方が圧倒的に多い。いま置かれている職場を最優先することの方が当たり前なのであって、あそこに行きたいの、あっちの仕事をしてみたいの、というわがままは通らない。 小野はフェイエノールトに就職したのだから、そこの仕事が最優先なのであって、日本から「こっちを手伝え」という声がかかったとしても、行くべきでない。そんなことをしたら、サラリーマンなら職場放棄で解雇される。ましてや五輪=U23という制限つきの二流以下の大会だ。小野が活躍しても、小野の価値が上がることはない。「お国のために」と考えるのか、いま自分が契約している「クラブのために」と考えるのか――プロとして自分の価値を高めたいのならば、クラブの仕事を優先すべきなのだ。それがプロというものだ。 「五輪は特別」だとする考えが無条件でまかり通る国は、世界では、おそらく少数だろう。サッカーに限れば、「五輪、五輪」と大騒ぎをすることは、ばかげている。
「プライド2004」準決勝に小川直也が勝ち残り、決勝ラウンドに進んだ。相手は、2mを超えるジャイアントシルバ。確かに大きな選手だが、バスケットボール出身の素人だ。準決勝ラウンドに残った選手の中では見栄えはするが、最も弱い。大会の組み合わせが、小川が残るように仕組まれている。決勝まで日本人選手を残すことは集客上の絶対条件だったとはいえ、本気の総合格闘技という建前からすれば、おもしろくない。 ワンマッチの吉田秀彦vsマーク・ハントもアヤしい。ハントはK-1世界チャンピオンの実績をもっている。だが、きのうのハントは、どういうわけか、パンチを出さなかった。彼がオープンフィンガーグローブで殴ったら、ガードした相手の腕の骨が折れるかもしれないし、パンチを放ったハントの拳にダメージが残るかもしれない。指の骨を骨折する可能性だ。そうした可能性を心配してハントがパンチを自主規制した可能性もあるが、柔道vsキックボクシングの異種格闘技戦は、キックボクサーのハントが手加減して、柔道に勝利を譲ったように見えた。 パンチを出さないキックボクサーに対して、柔道家・吉田のそれほどするどくないタックルが入り、寝技の展開になった。寝技でもつれて、ハントが腕をとられて関節を決められたが、ダメージはない。試合時間は10分以下、ギャラはいくらだかしらないが、もつれただけで大金が転がり込んでくるのだから、ハントとしても悪くない試合だろう。 同じワンマッチでも、桜庭は厳しい試合をしていた。もちろん、準決勝ラウンドのほかの試合は、それこそ、必死の戦いを展開していただけに、吉田秀彦vsマーク・ハントは残念だった。吉田の総合格闘家としての実力は既に底が割れた。賞味期限もあとわずかだろう。吉田に新境地を切り開けというのも無理かもしれない。ならば、谷津のように、「プライド」のリングで玉砕して引退してほしい。
| 2004年06月20日(日) |
柏は監督を替えたほうがいい |
Jリーグは終盤にきて、磐田が首位から転落、横浜がトップに躍り出た。磐田は不運だった。ここにきて、戦力が整いつつある鹿島と当たったからだ。本山、小笠原、フェルナンド、新井場を中心とした攻撃陣が調子を上げ、カムバックした中田(浩)が攻守に堅実なプレーを見せる。それに引きずられるように若手が力を発揮しだした。磐田との試合では、鹿島の伝統ともいえる厳しいプレーが戻り、手ごわい相手となった。磐田に勝ち目はなかった。 一方、横浜が当たったのは、現在最下位の柏。柏が最下位にいるというのは、チーム戦力から見て、納得できない。FWには日本代表の玉田がいる、MFにはブラジル代表のドゥドゥが、さらに、日本代表経験のある明神、平山、永田、波戸がいる。トップ下のゼフォベルトの実績は不明だが、ブラジルリーグのクラブのレギュラークラスだろう。これだけのタレントがいて、横浜戦、前半はシュート1本(FK)のみ。つまり、流れから放ったシュートはゼロだった。後半、退場者を出してから選手交代で攻撃性を取り戻し、CKから1点を上げ横浜を苦しめたが、前半は横浜にやられっぱなしだった。 前半の柏には攻撃の形、すなわち、意図が見えない。もちろん、相手が強豪横浜なのだから、意図どおりに攻撃が展開しないことはあり得る。それでも、横浜の上がってくる左(ドゥトゥラ)右(田中)の背後を突くとか、二列目の身体能力の高いドゥドゥの飛び出しにクロスを合わせるとか、いくつかのパターンがあるだろう。 柏が攻撃を組み立てられない要因は、この試合に限れば、司令塔の不在だ。トップ下のゼフォベルトは司令塔のタイプではなさそうに素人の私には見える。本来、リカルジーニョがその仕事をするのだろうが、欠場した。ならば、リカルジーニヨの代役をだれかにやらせるのか、あるいは、リカルジーニヨ不在の新しい攻撃スタイルを試すのか――選択は2つに1つ。トップ下にゼフォベルトを起用したということは、後者を選択したのだろうが、まったく、機能しなかった。結果論といわれるかもしれないが、ゲームをつくれる選手をそれなりの位置に入れたほうが、つまり、前者を選択したほうが、よかった。後半、FWの玉田が下がって、パスを出したりして攻撃の形をつくったのだから、若いMFをトップ下に入れれば、チャンスの数は増えたのではないか。選手の特性が見極められないようであれば、監督の仕事は務まらない。後半選手交代で入った、谷沢、茂原も悪くない。 この二人を含め、柏には才能のある若い選手が多い。いい指導者の下でプレーしなければ、彼らにとって、貴重な時間が無駄になる。クラブは、彼らを育てられる指導者をつれて来てほしい。
名波は、Jリーガーの中で最も非凡な左利き技巧派の一人。フランスW杯に出場しているベテランだ。セリエAでプレイしたこともある。その名波がアジア杯を機に、再び代表に復帰した。いまの代表監督はよほど、海外組がお好きとみえる。海外組で代表に選ばれていない選手は、これでいよいよ、カズ(神戸)と福田(パラグアイ)を残すのみとなった。カズの代表復帰も時間の問題か(笑)。 さて、名波が極めて能力の高い選手であることを前提として、敢えて名波の復帰に異議を唱えたい。若手にチャンスを与えよ、と。 アジア杯は公式戦だ。もちろん、アジアは欧州ほど、サッカーレベルは高くないけれど、公式戦となれば、各国代表は本気モードで試合をする。欧州遠征は意味がないとは言わないけれど、所詮親善試合の域を出ない。交代枠が公式戦より多いのは、代表選手のチェックという意味合いが強いからだろう。私は欧州で親善試合を見た経験ないので想像にすぎないが、欧州各国の代表チームは親善試合を真剣に戦っているとは思っていない。あくまでも、調整に主眼が置かれているように思う。 いま、欧州では、欧州選手権が行われている。もちろんこちらは本気、真剣勝負だ。W杯よりレベルが高い大会だと、欧州の人は考えている。 アジア選手権もそうありたい。日本代表はアジア王者となってはじめて、世界レベルに道が通じる。アジア王者であるからこそ、W杯アジア予選で各国からマークされる存在になる。 代表選手を選ぶ基準は代表監督によって違うだろう。それは極めて自然なことだ。ただ、日本代表の当面の目標がドイツ大会出場にあるのならば、これから長期間にわたるアジア予選を突破する上において、若手に経験を積ませることは重要だ。若い選手がレギュラーを取れるかどうかは別として、海外で行われる公式戦に、たとえベンチであっても、参加することは意義深い。公式試合の数は、親善試合よりも少ないのだ。名波は公式戦の経験を十分過ぎるくらい積んだ選手の一人だ。だから、新戦力として、市原の村井、浦和の平河を選んだ方が将来のためになる。
10球団・1リーグ制にメリットがないわけではない。球団がなくなればその分、登録選手が他球団に流れ、レベルの低い選手が登録から外れる。そこで、プロ野球のレベルは一時的に上がる。レギュラー選手の数が減るのだから当然のことだ。ただし、これはあくまでも、一時的現象にすぎない。 10球団・1リーグ制でプロ野球のレベルを恒久的に維持することは難しい。球界のレベルを向上し続けるには、なによりも、球界が流動性を持たなければいけない。 流動性の1つは、上下の関係だ。米国のプロ野球がメジャー⇒マイナー(3A→2A→1A)というシステムをもっていることはよく、知られている。選手は各リーグでふるいにかけられ、優れた選手が上がる。選手をふるいにかけるのは、試合を通じた実績だけだ。主観主義は通じない。加えて、独立リーグ、メキシコリーグ等の周辺リーグが存在し、選手はそこに属しながらチャンスをうかがう。いってみれば自由市場があり、市場原理が貫徹しているというわけだ。 一方、日本のプロ野球は、一軍→二軍という、貧困なシステムしかない。二軍もウエスタン、イースタンというリーグ戦を戦っているが、米国のマイナーリーグのような独立性に乏しい。一軍の調整機能としての役割が強い。つまり、上下の流動性は極めて弱い。 もう1つの流動性は左右の関係だ。日本では、トレードは極めて低調で、それをリストラの手段にしている球団もある。 ルーキーの採用も不公平で、ドラフト制度は形骸化している。逆指名というわけのわからぬ制度があり、高校生以外は自由枠が設けられている。これでは戦力の不均等が避けられない。ドラフトが形骸化していて、FA制度があるとなると、人気球団に有名選手が集中化する。セリーグの読売、阪神がFA制度導入以降、大幅に戦力アップを図った。 これまで、パリーグは、セリーグと米国(メジャー)に有力選手を供給してきた。パリーグは、マイナーリーグの役割を果たしてきたのだが、これは悪いことではない。パリーグで実戦経験を積むことで、優秀な選手が才能を伸ばすことが可能だった。たとえば、野茂、イチロー、大塚、松井(稼)、田口、※伊良部はパリーグで育ったメジャーリーガーだ。一方、セリーグ出身のメジャーリーガーといえば、松井(秀)、石井、高津、※佐々木、※新庄といったところか。※印はいうまでもなく、元メジャーリーガーだ。大家、※マックは日本球団の在籍が短かく、彼らはメジャーで育った選手だ。 こうしてみると、パリーグは、人気はないが、才能のある選手が集まっていたことがわかる。米国に行かずにセに移った清原、片岡、ローズ、小久保、工藤といったパリーグ出身者を含めると、パリーグはタレントの宝庫だったことがわかる。野球の質が粗っぽいとか、田舎くさいとか言われながらも、「実力のパ、人気のセ」という評価は、間違いではなかった。 セリーグというのは「巨人」中心で、「巨人」が勝つことで客は喜ぶ。球場に行けば、「巨人」以外の選手は、刺身のツマのような存在だ。プロレスで言えば、ヒールだ。そんな雰囲気の中、「巨人」を倒すことに情熱を燃やした選手もいることはいるが、勝って喜ばれない雰囲気よりは、パリーグのような自由な雰囲気で伸び伸びプレーをしたほうが、選手の技術向上につながりやすい。こうして、パリーグはセリーグにない豪快・奔放なベースボール風土が形成された、と私は想像している。 さて、パリーグがなくなって1リーグ制になるということは、日本のプロ野球が、セリーグに一本化されたと換言できる。これまで、才能を伸ばしサムライを育ててきたリーグがなくなったことを意味する。これは日本のプロ野球レベルの向上という観点から見れば、きわめて危険なことだ。「巨人」以外の9球団の選手は引き立て役、せいぜいヒールにとどまる。狭い東京ドームを舞台に、怪しい「飛ぶボール」でホームランが量産される。元パリーグのロッテ、西武、日ハム、ブルーウエーブの選手は、千葉、所沢、札幌、大阪ドームに戻っても、ホームなのに、全国展開のノーテンキな「巨人ファン」に囲まれ、ホームの気分に浸ることができない。球団は「巨人」人気で集客力がアップするから、ますます本気で球団経営を考えない。ダラダラとした、これまで70年も続いたセントラルリーグのありようが、この先も縮小再生産されるというわけだ。 こんな「セリーグ野球」を、この先、だれが支持するのだろうか。少年時代、巨人ファンだった「私」は、10年以上も前に野球ファンであることをやめた。野球を見ることが苦痛になり、サッカーを楽しんでいる。しかしながら、野球からサッカーに鞍替えした「私」は極めて少数派だ。日本では野球はメジャースポーツとしていまなお、君臨している。野球を志す若者が絶えない。ならば、プロ野球を健全なスポーツに改善していくしかない。「巨人」(ハンサム)とそれ以外の球団(ヒール)が戦い、常にハンサムが勝つという「プロレス野球」に終止符を打たなければいけない。このたびの、「近鉄騒動」は、それに向けた絶好の機会なのだ。不況が外圧となって、日本プロ野球に改善を迫ったのだ。 だから、先述したように、10球団1リーグ制という、一見斬新なスタイル変更にとどまってしまってはだめだ。先述したように、選手の流動性を立体的に高め、戦力を均衡化させ、市場原理が貫徹するインフラを整備しなければいけない。そのうえで、各球団が投資をすることは自由なのだから、できる限りの企業努力をすればいい。 インフラ整備、ドラフト制度、FA制度、トレードのあり方を含めた、総合的な見直しがなされるという条件付きで10球団が覇権を争うならば、1リーグ制プロ野球も捨てたものではないかもしれない。
| 2004年06月15日(火) |
巨人、ダイエー合併か?? |
経営が苦しい近鉄球団がオリックスに吸収されるという。パリーグが5球団という奇数球団でリーグを維持することは事実上、あり得ない。一気に1リーグ制に移行するだろう。11球団で1リーグというのも変則的なので、もう1球団増やすか減らすかの見通しで言えば、当然減で、10球団となる。 近鉄のほかにもう1球団なくなるとすれば、巷間言われているのは、親会社の経営があやしいダイエー、球団経営に行き詰まっているヤクルトの2球団。ダイエーの身売り先としては、韓国の大企業ロッテというのが常識的な見方。しかし、私は、ダイエーは「巨人」と合併する?!?!と思うのだが… 読売のキャンプ地は長年、宮崎で九州には縁が深い。読売は公式戦で九州シリーズを継続しており、福岡、北九州などの主要都市の試合は人気を博している(今年はキャンプ地宮崎でも開催した)。フランチャイズ問題は、読売がダイエーの本拠地・福岡ドームを準フランチャイズとして継続して使用することで解決できる。準フランチャイズの考え方は大リーグでは行われており、カナダ(モントリオール)を本拠地とするエキスポズが、プエルトリコを準フランチャイズにしている。 経済的にもメリットがある。福岡に限らず、本業のスーパーダイエーは「読売巨人軍」とタイアップして、「巨人ブランド」を全国規模で諸々のイベントに活用できる。東京ドームで行われる読売の主催試合は減るが、テレビ放映数が増加し、放映権収入は増加する。マスコミの読売と小売業のダイエーがタイアップすれば、双方の売上増が期待できる。「巨人ブランド」は、ダイエー再建の切り札となるに違いない。 そればかりではない。読売+ダイエー連合軍は、史上最強チームになる可能性が高い。若手投手力に人材豊富なダイエーと史上最強打線の読売が合体するならば、向こう10年間はぶっちぎりの優勝をするだろう。1リーグ制の下、「巨人軍は永遠に不滅です」が確約されることになる。 その布石というか前兆はすでにあった。まず、小久保の無償トレードだ。この不可解なトレードは、読売〜ダイエー合併の布石の1つ。さらに、長嶋氏が病気で倒れたいま、かつてのONを中心としたV9の遺産は、王氏が受け継ぐしかない。読売ダイエー連合軍の監督は王氏で決まり。王氏は読売グループと縁を切ったといわれるが、ダイエーと合体ならば、復縁の理由として申し分ない。 しかも、読売はこれまで、FA制度や外国人で補ってきた老朽化した戦力を一気に整理できる。たとえば、捕手の阿部か城島のどちらかを1塁か外野にコンバートすれば、ローズ、ペタジーニ等の外国人野手や江藤、清原らを放出しても戦力ダウンにつながらないばかりか、コストダウンになる。若手日本人選手中心の純潔最強チーム、ドリームチームがつくられ、優勝できる。 もちろん、デメリットもある。現状の逆指名制度、FA制度ではますます、読売+ダイエー連合軍に人材が一極集中化して、戦力不均衡が続き、緊張感のない試合が多くなるだろう。1リーグ制そのものの問題だが、チーム数の減少は、優れた人材が埋もれやすくなり、潜在能力のあるタレントが育たない。公式ゲーム数が減少することは、長い目で見て、選手の技術向上を妨げる。日本プロ野球のレベルは、1リーグ制度の下、ますます低下することは間違いない。日本シリーズ、オールスターに代わるイベントを考案しなければいけなくなるので、プロ野球機構として収入減少もあり得る。 しかし、人気チーム読売を中心としたプロ野球が1リーグ制で繁栄するとしたら、短期的には、「強い巨人」に頼らざるを得ない。それには、経営は弱いが野球は強いダイエーを吸収合併して、ダイエー再建を援助しつつ、強い「巨人」をつくればいい。 ナベツネさん、このアイデアはいかがか。
土曜日(12日)、首位を走る磐田と、5月に勝ち星のない市原との試合をTV観戦した。結果についてはご存知のとおり、磐田が西の勝ち越しゴールで勝った。 試合内容はすばらしかった。とりわけ、個々の選手の資質という面では失礼ながら劣る市原が、気迫で磐田を追い詰め、ドローに終わるかと思えたくらいだ。 見所は、2−1で市原がリードされたところからの市原・オシム監督の采配だ。オシム監督はこの場面で、巻、林という2人の攻撃の切り札を投入したばかりか、DF斎藤を引っ込めてMFの工藤を入れたのだ。DF2枚、3トップという超攻撃的布陣だ。しかも、交代枠3人をここで使い切った。 この選手交代は見事に成功した。交代した工藤のゴールで2−2に追いついたのだ。さて、その後の展開をどう考えるか。市原は引き分けで終わったのでは優勝の目はなくなるが、磐田にとっては、2位横浜が勝っているだけに勝点1差に迫られる。Jリーグの首位争いは、磐田がここで引き分ければ、混沌としてくる。 さて、勝点3(勝ちに行く)か、勝点1(引き分け)か、あるいはギャンブルに負けて勝点0(負け)の目も――オシム監督に選択が求められた。勝つためには、このまま、リスクの高いDF2枚、3トップを続けるしかない。一方、負けないためには、DF経験があり、その能力の高いボランチの阿部を下げて3バックに戻すことが考えられる。 オシム監督の決断は、「勝利=勝点3」だった。が、結果は、残念ながら磐田には通じなかった。磐田の勝利は選手層の厚さだ。FWのグラウを欠き、西もケガが治ったばかりでベンチスタート。それでも、市原に先行された展開から逆転し、さらに同点に追いつかれた後、切り札として投入した西の豪快なシュートで突き放した。結果は、選手個々の実力の差、そして、総体としての選手層の厚さが磐田を勝利に導いた。 ここ数試合、市原はいい内容ながら、勝ちきれない。市原の試合を見ていると、サッカーにおいて、いかに90分の勝利が難しいかを実感させられる。市原が勝ちきれない原因はいくつかあるだろう。肝心なところでミスをする、ディフェンシブな戦いのかたちをチームとしてもっていない、攻撃偏重で試合展開が単調、スタミナ切れ…等々、毎度同じようなファクターが挙げられるのかもしれない。 ところで、私は市原のゲームを見ていると、いつもその対極的な試合として、日韓W杯のベスト16を賭けた日本vsトルコを思い出す。1点リードしたトルコは、追加点を狙うでもなく、守備にまわるでもなく、気がつけば90分がすぎていて日本が負けていた。イライラという焦燥感すら残らない。日本は負けるべくして負けてしまった、あたかも負けることが「宿命」であったかのように。日本が「宿命」のように負けたとき、日本と世界レベルを隔てる壁を感じたのは私だけだろうか。 私はJリーグの中で、オシム監督を敬愛しているし、市原の選手を応援している。市原にはぜひJリーグで優勝してほしい。 それだけではない。願わくば、市原に、サッカーにおける<絶対的強さ>のようなものを見せてもらいたいと思っている。<絶対的強さ>とは、磐田のようなしたたかなチームに対して、たとえば、10−0という大差で勝つことではない。あのトルコのように、磐田が1点ビハインドされた時点から、手も足も出せないくらいに押さえ込まれる試合が見たい。 サッカーの試合というのは実に多彩だ。華々しい攻撃もいいが、冷たい守備も美しい。相手の長所を殺し、冷徹に押さえ込む力と技を見たい。しかも、スキあれば相手の心臓を一突きで刺し殺す凶器を秘めた守りだ。隠された凶器に脅え、相手は不用意に攻撃を繰り出せない。そんな緊張感漂う試合だ。市原にそんな戦いを期待したいのだが、オシム監督、いかがであろうか。
| 2004年06月11日(金) |
3月のコチンと9月のコールカタ |
埼玉のインド戦の大勝は、今後のW杯アジア一次予選の展開を占う上ではまったくと言っていいほど、参考にならない。ジーコ監督は、試合後、いまのチーム状態はとてもいいと言い残して、ブラジルに帰国してしまったらしい。とんでもないことだ。このくらいの点差は当然であって、5点差以下なら負けに等しい、ときのう書いた。 「圧勝」報道に終始した日本のスポーツマスコミだが、オマーンがシンガポールを7点差で破り、日本との得失点差を1点リードしたことを知って、ようやく、日本の危機に気がついたらしい。 もちろん、日本はオマーンにすでに勝っているので、アウエーのオマーン戦に勝つか引き分ければ、得失点差の計算など意味がない。しかし、サッカーでは何が起こるかわからないし、オマーン戦、日本はホームであのとおりの辛勝だったので、アウエーで負ける可能性を否定できない。 さて、現段階で冷静に考えてみると、組み合わせ・日程を含め、オマーンのほうが日本より、うまく回転している。2月の日本ホームのオマーン戦の辛勝は試合内容から見て、日本にツキがあるように思えた。しかし、あの辛勝で日本代表は、ツキのすべてを使ってしまったような気がしないでもない。その理由は以下のとおりだ。 第一は、次に控えるインドとのアウエー戦の開催都市と気候の問題だ。埼玉の日本ホームの試合で日本が圧勝したが、あの試合のインド選手のコンディションは、万全ではなかったような気がする。日本滞在3日目で試合に臨んだことも影響しているだろう。日本とインドの時差は欧州との時差ほどきつくはないが、それでも、インド選手の動きは本来よりも鈍いように見えた。日本が次にインドと対戦する9月はいうまでもなく、インドのホームだから、埼玉の試合よりも確実にインド選手のコンディションが上がり、日本選手のコンディションは下がる。試合が行われる9月のコールカタは雨季にあたり、高音多湿で、日本人ならばサッカーをしないし、観光旅行ですら、11月まで控える。一方、オマーンがインドで戦った3月のコチンは、平均気温は高いが乾季にあたり、しかもコチンは海洋性の気候で過ごしやすい(コチンには、1月に観光旅行で行った)。つまり、気候的にはオマーンより日本の方が厳しい中でインド戦をやらなければいけないのだ。しかも、報道によると、12万人収容のスタジアムでサポーター全員がインドを応援するという。日本はオマーンのように、インドに5−1という大差で勝てない可能性が高い。 第二も、開催都市の気候の問題だ。インド戦の後に行われるアウエーのオマーン戦は、おそらく、10月にマスカットで開催されるだろう。10月のマスカットは日本の夏にも劣らない高温だという。日本代表は、どういうコンディションでオマーン戦を迎えられるだろうか。インドに大勝できなかった場合、得失点差でリードするオマーンが先行すると、日本代表に相当のプレッシャーがかかる。日本選手にオマーンに対する苦手意識が残っていないとも限らない。日本代表は、先のアウエーのシンガポール戦、2−1の辛勝だった。高温多湿の厳しい気候に日本代表は強くない、という見方も成り立つ。敵地で厳しい気候のなか、先取点を取られると、精神的にも肉体的にも追い詰められる。 オマーンは、インド、日本とホームで戦い、シンガポールとアウエーで戦う。一方、日本は、インド、オマーンとアウエーで戦い、シンガポールとホームで戦う。日本がインド、オマーンの2戦を厳しい気候のアウエーで残しているということは、大いに不安が残る。残り3試合、現時点ではスケジュール(開催時期の関係)において、オマーンのほうが日本よりツキがあるように私には思える。
W杯アジア一次予選日本vsインドは日本が7−0という大差で勝利。これでジーコジャパンはだいじょうぶ、と思う人はまあいないと思う。この試合、5点差以下の日本の勝利ならば負けに等しい、というのが大方の見方。だから7点差勝利は、辛うじて勝ったというべきなのだ。この見方は、もちろん、当面の敵オマーンとの得失点差を考えてのこと。オマーンはインドにアウエーで5−1で勝っているから、ホームならば何点差がつくかわからない。きのう行われたオマーンvsシンガポール(オマーンホーム)では、オマーンが7−0でシンガポールに勝っている。日本はアウエーだが、シンガポールに2−1で辛勝した。この最小得点差勝利はジーコジャパンが残した汚点の1つである。こうなると、かりに、日本がインドホームでインドに対して僅少差勝利ならば、敵地オマーンとの一戦で日本が星を落とせば、日本は一次予選敗退の悪夢を見ることになる。大勝に浮かれるのは、日本のノーテンキなスポーツマスコミだけでいい。監督も選手も関係者も、気を引き締めていただきたい。いま、日本とオマーンの関係は、厳しい見方をすれば、オマーンがややリードと見るほうが自然なのだ。 試合の内容についてはコメントしない。このクラス相手でどんな攻撃を見せようと、まるで参考にならない。しいて言えば(すでに言い尽くしたので繰り返す気にもならないが)、三都主が左サイドでいい仕事をしたことくらい。3バックのいい面が出た。悪いところは、俊輔のトップ下の攻撃性の欠如。フリーキックで得点を上げたが、この得点も解説のセルジオ越後氏が指摘していたように、相手のDF、GKのレベルが低すぎるから上げられた得点。俊輔はもっと、シュートを打たなければトップ下は務まらない。ゴールに向かう姿勢がないのが致命的。これも越後氏が何度も力説していたことなので、繰り返さない。 余談だが、越後氏の解説は見事。私の言いたいことを代弁してくれていたので、楽しくTV中継を見られた。 相手がインドだからできたことをもって、日本代表を評価してもはじまらない。次の、高温多湿のインド戦で日本がどれだけたくさんの得点を上げられるかだろう。その結果がアウエーのオマーン戦にも影響する。代表選手は、大勝に酔うことなく、コンディションの維持に務めていただきたい。
ナビスコ杯、予選リーグ。きのうTV中継でチェックできたのは、浦和vs清水、FC東京vs神戸の2戦だけだったが、新しい才能を発見することができたので、満足している。 一人目は、浦和の長谷部。本来はトップ下で山瀬とポジションを争っているが、この試合は鈴木の欠場でボランチにまわった。ボランチの長谷部は非凡だ。センスがいい。パスのタイミングも速いし正確だ。彼のパスが浦和にテンポを与え、選手が生き生きとした。結果は浦和が3−0の圧勝。勝因は長谷部のボランチ起用と言って言いすぎでない。長谷部のパス出しは、小野を髣髴とさせる。それくらい、全体が見えていて、かつ、ピンポイントで合っている。長谷部は、鈴木とボランチを争うよりも、ボランチのいないチームで常時出場したほうがいい。移籍を勧めたい。 もう一人は、FC東京の鈴木(神)だ。左利きの彼はFC東京で右SBにまわされている。彼の武器はキック力、シュート力のようだ。そんな彼が30m近く離れたフリーキックを決めたシーンは圧巻だった。まさに、ワールドクラス。すばらしい。 原監督は左利きの鈴木(神)を敢えて右SBに起用し、中に切り込んでのシュートに期待しているという。しかし、この起用法には納得がいかない。私ならば、和製ロベルトカルロスとして、左SBで育てるだろう。日本にはなかなか、SBが育たないことは前にも書いたことがある。貴重な才能であるだけに、左利きのキック力・シュート力のある左SBとして、経験を積ませたい。FC東京には、右利きのサイドプレイヤー・石川がいる。鈴木(神)と石川がポジション争いするのも馬鹿げている。右に石川、左に鈴木(神)の若いSBが育てば、FC東京はすごいチームになる。原監督には鈴木(神)のポジションを再考してほしい。 さて、こうした若い才能が花開く中、日本代表は、インド戦に向けた追加代表として、中田(浩)を決めたという。愚かなことだ。中田(浩)はケガで長期間Jリーグを休んでいた。復帰して3〜4試合に出場して代表だというが、これはおかしい。もちろん、中田(浩)は、日韓W杯の代表選手であったし、実績がある。日韓W杯のトルコ戦では不用意なバックパスをして、トルコに決勝点を与えるきっかけをつくったことで有名な選手だ。その彼が復帰数試合で、目だった活躍もないまま代表復帰というのでは、Jリーグで頑張っている選手が可愛そうだ。彼が代表復帰するほど、活躍をしたとは私には思えない。この世界、実績など何の役に立つというのだ。ジーコ監督は、トルシエが育てた選手で固めるつもりか。新しい才能を試してほしい。
U23日本代表vsマリ代表、イングランド代表vs日本A代表の2つの代表試合を仕事の関係で見損なった。とりわけ後者については、3点差以上の大差で日本が負けると予想していただけに、アウエーで強豪イングランドと1−1で引き分けたことには、正直言って驚いている。試合を見ていないのでなんとも言えないけれど、私の予想はとにかく外れた。日本代表の選手並びに関係者の皆様、スイマセン。 さて、A代表の欧州遠征の結果は、ハンガリー●、チェコ〇、アイスランド〇、イングランド△――の2勝1敗1引分。アウエーの戦いとしては、まずまずだ。 この遠征の特徴は、�‘�本のエース・中田、FWの中心・高原の不在、�■魁檻機檻欧悗硫鶺◆併暗埃腓�左SBから左SHに戻ったこと)、�I�調した小野の復帰――の3点が挙げられると思う。しかも、結果的には、この3点がすべて善循環的に作用した。 中田抜きの攻撃の基点はボランチの小野とトップ下の俊輔の2点だが、とりわけ小野の判断の良さが目立った。得点に絡むボランチからのパスとしては、GKと相手DFの間、左右のオープンスペースに開くパスの2通りがあるが、小野の出すパスはいずれも、味方の選手の気持ちと動きを理解したタイミング、スピードをもっている。まさに「絶妙」という表現ががふさわしい。 このたびの遠征では、小野のパスを受ける攻撃陣にスピード豊かな選手が揃った。走力のある玉田、本山、そして、瞬発力のある久保のFW陣、サイドには三都主、加地がいる。つまり、中田が外れることにより、ジーコ監督が就任当時うたった「黄金の中盤」が崩壊し、そのことが逆に幸いに転じたのだ。そればかりではない。ジーコ監督がこだわった4バック(三都主のSB転向)が採用されず、逆に攻撃と守備のバランスが良くなった。更には、ジーコ監督が力説した「固定メンバー」よりも、調子の良い選手の起用が好結果につながった。言ってみれば、ジーコ監督が掲げたチームの形が壊れた結果として、日本代表の望ましい形ができ上がったことになる。その形は、ジーコ監督が批判し続けてきたトルシエ前監督のそれなのだ。 私はいまの日本代表に対して、戦術面における規律と結束力と組織力とをさらに高めることができる指導者がいれば、日本代表はもっと強くなると確信している。トルシエの後任者が「トルシエ」に反発せず、「トルシエ」というグローバルスタンダードを発展的に継承していれば、現在の日本代表の形はもっと早く固まったと思っている。日本代表は、2年間、思わぬ遠回りをしたものだ。
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