| 2004年11月29日(月) |
ニュー磐田、見るべきものなし |
遅ればせながら、Y新監督率いる新生・磐田(最終節、対市原戦)を再放送でチェックした。この試合に限れば、残念ながら見るべきものが何もないばかりか、Y監督の采配には首を傾げざるを得なかった。磐田が抱える問題は構造的なものなので、新監督ばかりを責めるわけにはいかないけれど、チームをどこに導きたいのか、戦力を見極めつつも、せめて方向性だけは明示してほしかった。 試合内容の詳細は、既に報道済みなので省略するが、大雑把にいえば、前後半とも開始15分までは磐田が攻勢を取れるものの、時間の経過とともに市原に圧倒されてしまった、という印象が強く残った。前半は幸運なPKに恵まれ1点を先制したが、わずか数分で追いつかれた後、磐田に見るべき攻撃の形は見られなかった。というよりも、バランスを崩したと言ったほうがよいかもしれない。 選手起用も不可解だ。故障から復帰した西が不慣れな中盤の左サイドで先発したが、市原の新鋭水野(右サイド)にやられっぱなし。水野は高卒ルーキーだが、代表経験のある西が抑えられない。試合が経過するに従い、西は左サイドから中央よりにポジションを変え始め、サイドの基点をまったく失ってしまう。右サイドの基点もないから、サイド攻撃は皆無に近い。 磐田を代表する中盤の要・名波も市原の選手のスピードについていけないまま、後半、川村に交代。 FWは、先発のグラウ、前田がそれなりに機能したが、新監督は後半になると、前田に代えて川口を投入。この交代には解説者も唖然として、「意図がわかりませんね・・・」と絶句。 DF陣は市原の各選手のキレのある動きに手を使って止めようとして、ファウルを連発。後半、代表の鈴木は菊地に代わった。 交代で出場した川口(前田)、川村(名波)、菊地(鈴木)の3人にどんな役割が課せられたのか不明なまま試合は終了。選手交代の後、チームがバランスを崩すというのは、チーム状況がかなり悪いことの証明だ。 いずれにしても、市原の圧力に抗しきれない磐田の課題は、一にも二にも、体力強化だ。それができなければ、いくらチーム戦術を説いても機能しない。Y監督、代表・元代表がひしめくスター軍団の前で、鬼になれるか。
本日、サッカーJリーグ・04年セカンドステージ最終節が終了。改めて2ndステージ順位(最終節終了)と、総合順位を見ておこう。 2ndステージは、� ̄栽促譽奪梱▲献Д媚垳境�ガンバ大阪�ぜ�島アントラーズ�ヌ掌轍哀哀薀鵐僖広ΣI唯董Ε泪螢離広Д▲襯咼譽奪�ス新潟�┘凜�ッセル神戸��東京ヴェルディ��FC東京��サンフレッチェ広島��セレッソ大阪��ジュビロ磐田��清水エスパルス��柏レイソル�安臺�トリニータ 一方、総合順位は、� ̄栽促譽奪梱�横浜F・マリノス��ガンバ大阪�ぅ献Д媚垳境ゥ献絅咼軾愿� ��鹿島アントラーズ��名古屋グランパス�┌藤壇豕���東京ヴェルディ��アルビレックス新潟��ヴィッセル神戸��サンフレッチェ広島��大分トリニータ��清水エスパルス��セレッソ大阪�闇陬譽ぅ愁� 2ndステージは浦和レッズが優勝。総合成績ではチャンピオンシップは奇しくも、総合順位1位と2位の争いとなった。また、柏レイソルがJ2福岡との入替戦にまわる。来シーズンからJ2の川崎と大宮がJ1に昇格する。引分制度の導入――Vゴール制度廃止に続き、ツーステージ制も撤廃される。私が批判してきた「ローカルルール」はいよいよ、これで一掃される。04年は節目の年だ。 2ndステージで注目すべきは、市原の2位だ。チームの実力派であったチェヨンス、中西が移籍のあと、巻、阿部、坂本、村井といった無名の選手を鍛え中心選手に育て上げ、2位という好成績をおさめたオシム監督の手腕は評価に値する。もちろん、監督の期待にこたえた選手たちの頑張りも評価しなければいけない。リーグ2位のクラブから代表選手が一人も選ばれていないのはどういうわけか。 一方、何度も書くことだけれど、磐田の13位には驚く。常勝軍団とまでいわれた強豪だっただけに、その凋落ぶりが際立つ。再建に乗り込んだ前五輪代表監督のY氏は監督に就任して3連敗とつまずいたままシーズンを終わった。このチームと新監督の前途は多難と見た。 柏の総合順位最下位というのは納得できない。横浜時代に優勝経験のあるH監督はチーム再建に失敗したようだが、選手は揃っている。監督次第で、もっと上にいけるチームだと思う。 新潟の2ndステージ7位も立派だ。この成績は、理論派で知られる反町監督の手腕に負うところが大きい。外国人に依存しているように見えるが、Jリーグに外国人がいないチームは存在しないのだから、新潟の好成績は、外国人以外の日本人選手の頑張りの結果だ。鍛え方次第、結束力、組織力、戦術の理解度、規律・・・チーム力を上げるにはやはり、いい指導者が必要なのだ。
読売球団が「主砲」K内野手の処遇に手間取っている。K内野手の読売への愛着は人一倍強いと言われている。K内野手は大阪の高校野球エリート高に在学中、甲子園で大活躍。卒業後は読売への入団を希望していたらしいが、ドラフトで読売が1位指名したのは彼の高校時代の球友K投手だった。K内野手はパリーグ西武球団に1位指名され、泣く泣く同球団に入団したことはよく知られている。 その後、FA制度の創設とともに、K内野手は憧れの読売への入団を果たすことになる。ところが、下半身に故障をもつ彼は04年シーズン、ぺタジーニの控えにまわり、出場回数が激減し、シーズン終了後、ついに05年のチーム構想から外れた。 読売の現場が想定している内野陣は、一塁=江藤・清水(外野からのコンバート)、元木、二塁=(仁志=MKB移籍希望)・鈴木・元木、三塁=小久保・江藤・元木、遊撃=ニ岡・元木・川中・黒田だと思われる。読売残留に危機感を覚えたK内野手、現場トップのH監督を飛び越して、球団トップに直接交渉をもちかけ、残留を直訴したというのがこの騒動の発端のようだ。 部外者の私には、不可解極まりない「騒動」だ。私ならば、K内野手に対して、野球をしたいのか、それとも、単に読売の「選手」でいたいのか――あるいは、アスリートとして活躍できる場を求めるのか、それとも、読売OBの肩書きを利用して、引退後、芸能人としてマスコミに残りたいのか――について尋ねる。どちらも同じことだが、K内野手がこの問に確信をもって回答できないのならば、04年シーズンを最後に引退すべきだ。 私はトレーナーでもなければスポーツ医学の専門家でもないが、K内野手の肉体が05年シーズンに蘇ることはあり得ないと思っている。K内野手は野球選手として重大な3つの欠陥を持っているように見えるからだ。 その1つは、一塁以外守れないという点だ。読売は野手に2つ以上のポジションがこなせるよう指導しているという。たいへん結構な指導だが、その命に従うならば、K内野手のポジションは、一塁もしくは高校時代に守った3塁なのだが、彼は肩を壊して3塁守備ができないという。球団が定める野手の要件を満たしていないのだ。 2つ目は、K内野手の慢性的な故障箇所が下半身だと言われている点だ。いま現在、K内野手をテレビ映像でみる限り、上半身に筋肉がつきすぎていて体重が重すぎるように見える。K内野手はMLBのボンズ、ソーサ、オルティスといったホームランバッターの肉体を理想として筋力運動に励み、上半身に筋肉をつけすぎたのではないか。 K内野手が「パワー信仰」に走ってしまった主因は、「疑惑のボール」こと日本プロ野球が採用している公式球にある。ファンの期待はホームランだ・・・ホームランはパワーがなければ打てない・・・日本の「飛ぶボール」ならば、打撃技術の向上を図るよりも、パワーをつければホームランは打てる・・・自分はMLBに最も近い日本の強打者になる・・・K内野手の心中にパワー信仰が生まれ、彼は格闘家なみの筋肉の鎧を身に着けてしまったのではないか。 比較すべきはK内野手が活躍した西武時代の映像だ。TV画面に写っている彼の西武のユニフォーム姿はひ弱そうに見えるが、アスリートそのものだ。K内野手の下半身は、高校時代の猛練習の蓄えだろうか、十分、機能している。その時代に彼が戻ることはもうできない。 3つ目は、K内野手が喫煙者だという噂がある点だ。このことは噂であって、確かめたわけではない。推測にすぎないけれど、もしそのとおりならば、K内野手は、アスリートとしてすでに終わっている。 さて、読売はK内野手をどう処置すべきなのか。K内野手は読売が目指した「ホームラン野球」の負の遺産だ。「走れない」「守れない」「投げられない」「強打者」だ。彼の読売における存在は、日本経済が抱えるバブル時代の負の遺産、すなわち、不良債権問題に似ている。 読売はK内野手に対して、守らないですむ指名代打制度のあるパリーグへの移籍を勧告すべきだろう。無頼派、反管理野球を掲げるオリキンのO監督の下でプレーする選択もある。オリキンは大阪がホームだから、K内野手の出身地に一致するしファンも多いらしい。無頼派野球を掲げるO監督ならば、喫煙者だろうが大酒のみだろうが、「結果がすべて」を貫くだろう。 子供のときからの憧れだった読売に入団を果たしたK内野手が「生涯読売」という思いを抱くのは当然だが、プロ野球という人気商売では、球団イメージになじまなければ切られる。読売グループはここのところ、醜聞に悩まされている。そんなときに、「番長」の異名をとるK内野手は、同グループのイメージアップに貢献しにくいキャラクターだ。K内野手の選択は、「番長」として大阪で暴れまくることしかない。K内野手が野球をやりたいのならば、いますぐ、野球をやれる環境に移動した方がいいに決まっている。 問題はそればかりではない。信じられないが、K内野手残留を希望する「巨人ファン」の声が強いことだ。先日行われた「ファン感謝デー」で、「Kコール」が沸きあがり、K内野手を戦力外通告したH監督がブーイングを浴びたらしい。 読売が優勝を逃したのは、K内野手に代表される「ホームラン野球」信仰のためだった。ファンとして、愛する球団の優勝を望むのならば、優勝を逃した要因を排除することに賛同することが自然だ。野球というスポーツを愛することがない「巨人ファン」とやらがK内野手を必要とするのならば、H監督は早々に辞表を出したほうが賢明だ。野球をスポーツとしてではなく芸能とみなす集団がサポーターならば、H監督のみならず、スポーツのプロフェッショナルが指揮をとる謂れはない。
| 2004年11月23日(火) |
「名将」、浮上せず? |
磐田の新監督・Y氏がJリーグで二連敗。天皇杯では勝利したものの、リーグ戦では勝点すら上げられていない。五輪代表監督はマスコミから「名将」と持ち上げられたものだが、クラブでは勝手が違うようだ。でも、これは自然の成り行きと言うものだ。何度もこのコラムで書いたことだけれど、Y氏は事実上、監督稼業を始めて三戦して1勝2敗という成績をおさめたのにすぎないのだ。言うまでもないことだが、Y氏の監督としての実力を計ることなど、できる段階ではない。 磐田が構造的危機にみまわれたのは、04年シーズンのセカンドステージからだった。その予兆はもちろんあったけれど、ここまで急激に弱体化するとは思えなかった。選手ではゴン、名波、服部、藤田がピークを過ぎ、高原の穴をグラウが埋めたものの、外国人の補強がないまま、若手の台頭が間に合わず、勝てなくなった。才能のある若手として、カレン、成岡、太田、前田、菊地らが期待されるが、ベテランを抜けるまでに至っていない。 Y氏が打つ手は2つある。1つはハードランディングだ。ゴンに引退を勧告し、藤田、服部、名波の契約を更新せず、福西、田中の代表組を中心に、若手を抜擢して新しいチームをつくる。2005年シーズンの序盤は苦戦するだろうが、経験を積んだ若手が伸びれば、終盤にはチームの形も見えてくるのではないか。05年シーズンはもちろん、下位に低迷する。勝負は06〜07年。06年はW杯開催年だから、先に挙げた若手の2,3人が代表に呼ばれるまでに成長すれば、上位の可能性もある。 もう1つはソフトランディングだ。ベテランを残しつつ若手と併用し、つなぎとして、実力のある新外国人を加入させる。外国人、若手、ベテランが競争をしながらリーグ戦を進めるので、若手が経験を積む機会は奪われる。05年シーズンは上位をキープするだろうが、その先は見えない。若手の成長は間違いなく遅れるので、才能が埋もれる可能性もある。 さて、日本代表はアジア一次予選を全勝で勝ち抜き、ジーコ代表監督の更迭の声も聞こえなくなった。ジーコ更迭を訴え続けているのは当コラムだけになってしまったか。 先日の消化試合(シンガポール戦)を見ていないが、代表「控組」について、私は納得していない。4−4−2のシステムで、磐田(Jリーグ12位)の藤田、東京V(同8位)の三浦が先発したが、いかがなものか。藤田の衰えは、磐田がJリーグで勝てない要因の1つだし、東京Vの三浦は、相馬にレギュラーを奪われている。東京Vの相馬は、FC東京の鈴木(左SH)、市原の水野(右SH)と並んでいずれ代表に入る逸材だと私は思っているので、アルディレス監督の選手起用は正しい。その三浦が代表の左SBというのには、あきれる。もちろんいきなり、相馬が代表入りするわけはないので、三浦に代わるのは市原の村井だ。市原がリーグで3位の好成績を上げているのは、村井の頑張りがあるからだ。 ジーコ代表監督がJリーグで活躍する選手を代表に呼ぶ、と言っていることを実証するには、言うまでもなく、実際Jリーグで活躍している選手を呼ぶことだ。さらに、クラブ同様、代表の構造的弱体化を防止するためには、ベテランの力(衰え)を見極めることだ。 鹿島(Jリーグ7位)の本山、中田(浩)、小笠原の先発も不可解だ。ジーコ代表監督が鹿島出身だから鹿島に愛着を感じるのはわかるが、鹿島の低順位が証明するように、この3人が代表である必然性が乏しい。FWなら、本山の代わりに、G大阪(同2位)の大黒(日本人得点王)だろう。ボランチの中田の代わりには、市原(同3位)の阿部、浦和(同首位)の長谷部などたくさんの人材がいる。サッカーに限らずスポーツ一般では、伸び盛りの選手のパワーを利用することが常道だ。フランス代表のようにいつまでもベテランに頼っていると、本番でコケる。06年に向けて、日本代表がフランス代表の轍を踏む可能性もある。消化試合には、Jリーグで活躍している若手で臨んでほしかった。
| 2004年11月21日(日) |
ギドを日本代表監督に? |
浦和レッズがセカンドステージ、優勝した。おめでとうございます。 さて、この結果は当然だ、という評価が溢れている。だれが見ても、浦和の力は他のクラブを圧倒していた。�―室造靴神鑪蓮↓�熱心なサポーターの存在、��ブッフバルト(ギド)〜エンゲルスという二人監督体制、�に�富な財源。Jリーグ関係者からは、羨望の眼差しがこのクラブに向けられた。 �,砲弔い討蓮�言うまでもないが、改めて見ておこう。エメルソン、田中、永井の3トップ、中盤は三都主が加入し、長谷部、鈴木の若いボランチが成長、DFでは坪井の負傷を埋めるに余りある、アルパイ、ネネ、トゥーリオを補強した。ネネはブラジル代表に選ばれたこともあるし、アルパイは02年W杯のトルコ代表だ。山瀬が負傷した穴は右サイドの山田が埋めた。外国人が3人、ブラジルからの帰化選手が2人でどちらも日本代表クラスだから、他のクラブが真似したくても真似できない構成と言える。 ��の指導者に関しては、私の予想が外れた。ギドは監督経験がないので、指導者として機能しないと思われたが、報道によると、かなりの求心力を発揮したようだ。初采配でリーグ戦制覇とは立派なものだ。ギドの良さは、ミスがないこと。選手起用は誰が見ても、納得できるものだった。能力のある選手、コンディションの良い選手が、違うポジションに適応して活躍した。監督が個々の選手の力を的確に把握している結果だろう。長谷部をボランチに起用して彼の才能を開花させた功績も大きい。ギドのタレント集団を合理的に組み合わせてチームを仕上げていく手法の巧みさは、代表監督に向いている。
大リーグボールといっても、『巨人の星』ではない。コミックの夢ではなく、スポーツの現実を書く。 日本のプロ野球では、「飛ぶボール」「飛ばないボール」が話題になったが、コミッショナーが仕様の統一に向けて動く気配はない。 そのようななか、11月5日から始まった日本プロ野球(NP)選抜とアメリカメジャーリーグ(MLB)選抜の親善試合が終わり、それぞれのチーム成績、各選手の個人成績が明らかになった。このたびの親善試合ではMLB仕様のボールを使用したそうだが、その結果であろうか、ホームラン数の差が著しい。8試合でMLB9本、NPわずか1本だ。両国の打者に打撃技術の差があるにしても、NPの1本が意味しているのは、NPが使用しているボールは飛び、MLBのそれは飛ばないということだ。読売が04年シーズンでチームホームラン記録を更新したが、記録達成の主因が「飛ぶボール」にあったことは間違いない。 NPがローカル・ルールにこだわり続ける限り、日本で行われている「野球」は、世界で行われている「ベースボール」と乖離してゆくことになる。 「飛ぶボール」をサッカーに喩えれば、日本のゴールのサイズが世界のゴールのそれに比べて広いようなものだ。「ファン」はホームランを求めている、ホームランは「ファンの夢」だ、なんて論理を唱えてはいけない。日本サッカーにおいて、いくら点が入らないからといって、日本のゴールが世界のそれに比べて広ければ、日本サッカーは国際試合で通用しなくなる。かりに、そんな環境で得点王になったジャパニーズストライカーに、世界のビッグクラブからオファーが入ることはないばかりか、日本サッカーは世界の笑いものだ。 「ベースボール」は五輪の競技だ。これまで低調だった欧州、アジアにも、野球人口が微増していると聞く。ならば、日本も国際仕様のボール(=国際球)を使用すべきだ。国際球がないのならば、MLB仕様でかまわないし、直近の五輪(=アテネ大会)で使用したボールでもかまわない。どちらかをNP仕様と決めればいい。ホームランが減って客が減りましたと言われても、こればかりは仕方がない。スポーツは、グローバルな発展をとげることでレベルが上がるのであって、ローカルに閉じこもれば、レベルの向上も市場の拡大も選手の交流も図れなくなる。 近年、MLBでパッとしなかった外国人選手が日本に来るとホームランバッターに変身することが多いように思う。読売のローズ、ペタジーニ、横浜のウッズ、西武のカブレラ・・・彼らがMLB仕様のボールでいったい何本ホームランを打てるのだろうか。外国人のパワーならば、NP仕様のボールであるかぎり、日本でホームラン打者として君臨できる。日本球界が高給を支払っている外国人選手は、実は、パワーが日本人よりあるだけの選手だったら情けない。打撃技術が低い外国人に大金を支払っているのだとしたら、それも赤字の遠因だろう。国際球の使用で何人の外国人ホームラン打者が残れるのか。日本人以上に、そちらの方に興味がある。
| 2004年11月13日(土) |
ボロを買ったか、楽天 |
新球団楽天の選手(40人)が決定した。ポジション別に見ると、▽投手 金田、谷中、戸叶、小林、小倉、徳元(以上オ)、川尻、山村、有銘、福盛、愛敬、高村、矢野、小池、朝井、吉田、佐藤(以上近)▽捕手 高橋(オ)藤井、新里、近沢、長坂(以上近)▽内野手 斉藤、大島(以上オ)、吉岡、高須、前田、山下、坂、星野(以上近)▽外野手 佐竹、竜太郎、小島、中島(以上オ)、森谷、益田、礒部、鷹野、川口、牧田(以上近)――となっている。 プロ野球の戦力で最も重要なのは投手陣だが、上記分配ドラフトの結果では、楽天投手陣が手薄なことは明らかだ。04年シーズンは、金田(2)、谷中(1)、戸叶(4)、小林(1)、小倉(4)、徳元(1)、川尻(4)、福盛(2/10S)、高村(2)、矢野(1)、吉田(3)だ。※( )内=勝利数。単純に勝星を合計すると、25勝だ。オリックスの具(6勝)、ムーア(6勝)、フィリップ(2勝)、近鉄のバーン(6勝)、パウエル(8勝)、カラスコ(8勝)の外国人を除き、楽天に分配された投手陣の勝ち星を合計すると、たった25に過ぎないのだ。オリックスに分配された岩隈が一人で15勝を上げているから、いかに楽天の投手陣が弱体であるかがわかる。 野手陣の戦力分析については省略するけれども、やわらちゃんの夫君(谷)、ノリこと中村の両看板が楽天にいないとなれば、パリーグ最弱と言って、間違いだと言う人はいないと思う。 一方、ソフトバンクはダイエーを居抜きで購入しそうだ。こちらは、パリーグの最強チームで、福岡ドームという立派な球場をもっていて、九州圏を中心に根強いファンが多い。ダイエー本体が産業再生機構入りしたり、ダイエー球団と米コロニー社との間に密約があったりと、ソフトバンクによるダイエー球団買収には、不透明さが伴うと思われたが、ここのところの報道を見る限りでは、あっさりと、ソフトバンクに決まりそうな雰囲気だ。「果報は寝て待て」か。 どちらがいい買い物をしたのかと言えば、いまのところ、ソフトバンクであることは明らかだが、しかし、球団所有の目的をマスコミへの露出度アップ、パブリシティー効果、知名度アップでの観点で測れば、楽天の方が圧勝だ。 だが、楽天と参入を争ったライブドアを交えて比較すると、ライブドアは参入競争に敗れて球団は所有できなかったけれど、パブリシティー効果として最も高く、球団買収・球場改修費・球団運営費等に係る投資・経費を一切かけなくてすむという点で、もっとも得をしたという見方もできる。 プロ野球をめぐるIT企業3社のうちの勝者は、いまのところライブドア→ソフトバンク→楽天ということになる。 だが、球団経営も企業経営も長い目でみなければいけない。楽天が仙台で成功すれば、この会社に新たな評価が加わることになる。そのころ、ライブドアという社名が世間から忘れ去られているとすれば、楽天が他の2社を抜いて、勝者に踊り出る可能性も残されている。
| 2004年11月11日(木) |
ヒールに“正論”は似合わない |
苦境に立つ元読売ジャイアンツオーナー・W氏が、月刊誌にいまの心情を吐露していた。立ち読みなので全貌を理解していないので、印象を記すにとどめる。誤りがあったらご指摘をいただきたい。 印象としては、ヒールが“正論”を吐き始めたのでがっかりした、といったところ。W氏は、�.廛輒邉紊琉賚△料�動――オリキン合併から1リーグ制のシナリオを書いたものの、�◆屬燭�が選手」発言で世間の顰蹙を買い、�A�手会のストを「正当化」させ、�い修慮紊離薀ぅ屮疋◆�楽天、ソフトバンクの新規参入の動きを促進させたばかりか、�イ弔い砲蓮▲札傳隠乙綯聴飮�を実現させた。プロ野球の災いを福に転じた、最大の「功労者」だ。W氏の「たかが選手」発言がなければ、プロ野球を巡る現在の活況はない。 ところが、元政治部記者のキャリアをもつW氏が、あの発言は記者に「はめられた」もので真意ではない、と自己弁護をしているから笑わせる。W氏の発言が「はめられた」もので、政治部記者が得意とする政治家の「失言スクープ」が「はめられた」ものでないものなのかは、部外者である私にはわからない。けれども、新聞記者が政治家の前後の脈絡を無視して、世間で話題になりそうな言葉だけを切り取って報道するのは世の常だ。「失言」をした政治家たちは、報道後、本意ではないと釈明するが、新聞がそれを受け入れて、訂正記事を出した記憶は、私にはない。 新聞記者はだから、でたらめを記事にするのかと言えば、そうとも言えない。なぜならば、政治家の近くにいる新聞記者ならば、政治家の本音の思想を知っている。新聞記者が報じる「失言」「放言」は、その政治家が持っている思想・信条の象徴だと考えていいからだ。「失言」は、前後の脈絡を無視した報道だと失言者から反論があるが、新聞記者がその政治家を象徴する言語を切り取って、その人となりを読者に伝えることは許される。 月刊誌のなかでW氏は、「たかが選手」と発言したことはない、と報道を否定している。自分はそんなことは言っていないと。がしかし、W氏は、たとえば、契約更改に係る代理人問題で、選手にもっとひどい発言をしている。読売の上原投手が契約更改の席に代理人を立てようとしたとき、W氏は「オレが上原の代理人になってやる」と言い、上原投手の正当な主張を馬鹿にした。その他、選手の権利や要求を無視したり、馬鹿にしたりした発言を数え上げれば切りがない。そのすべてが、新聞記者に「はめられた」と、W氏が言うのならば考え直すが、いくらいまの新聞記者にモラルが欠如しているとは言え、そこまでひどいことはまずあるまい。 W氏の「たかが選手」発言はW氏の本音であり、W氏のレゾンデートルにほかならない。W氏はそうしたコワモテぶりを発揮して権力をふるい、権力を維持してきたのではなかったか。 このたびの選手会スト、一場投手栄養剤騒動で世間から批判を浴びたW氏。初めて挫折を味わったようだ。世間はW氏の日ごろの言動を知っている。選手の権利を考えたり、要求に耳を傾けたことがないW氏は、選手のスト権行使についても、まともに取り合おうとしなかった。W氏のプロ野球選手に対する態度・気持ちは、「たかが選手」以外の何ものでもないし、いまでも変わっていないに違いない。それを「はめられた」と言うのであれば、ヒールが“正論”で自己正当化を図っているわけで、“正論”を使って自己弁護に転じた姿は哀れである。W氏はプロ野球の選手について、「たかが選手」という気持ちを抱いていたのだから、最後までその姿勢を貫けばよかったのだ。 私はプロ野球選手会の主張を支持しなかったし、彼らが行った「スト」には反対の立場をとってきた。W氏が提唱したと言われるプロ野球「1リーグ制」が考えるに値しない方策だとも思っていないばかりか、リストラ策としては賢明な策の1つだと思っていた。だが、W氏の選手に対する人権軽視は我慢できないし、人格蔑視も許せない。W氏の月刊誌発言には、そうした部分の反省が見当たらない。それがW氏の限界であり、時代錯誤である。
| 2004年11月08日(月) |
球団売却は本意かポーズか |
私は7月15日の当コラムで、1リーグ制を許容せず2リーグ制を絶対的に支持したA新聞・阪神シニアディレクターH氏をはじめとする「ファン」の名を借りたマスコミ勢力を批判し、「1リーグ制」を提唱した読売新聞のW氏らを「擁護」した。 そのときの世論は「1リーグ制」は悪であり、選手会はストをちらつかせて、それを阻止しようとしていた。 また続けて、“「1リーグ制」を主導する読売のW氏は、いかにも「抵抗勢力」風の頑固爺さん。ヒールにぴったりだ”と書き、読売のW氏が早急に1リーグ制に移行したがる理由を、“今年を逃せば、時を失うとW氏が考えているからだろう。リストラは、電光石火、やり遂げなければいけない。W氏はヒールだが、経営者としては、企業経営素人のH氏よりもはるかに長けている。W氏は、拙速といわれようと、リストラの機会が今年であることを直感的に知っている。長引けば、プロ野球を「所有」する企業の経営状況はさらに悪化することを知っている。つまり、日本経済が現状維持ならば、プロ野球界に参集した企業が球団の「所有」にこだわる限り、チーム数は減少する。”と書いた。3ヵ月後のいま、その見通しが現実のものとなった。 そればかりではない。“1リーグ制は応急処置であって、抜本改革ではないが、(W氏は)応急処置で時をかせぐ算段だ。”と書いた。また一方、”H氏とそれを支持するA新聞、さらに一部狂信的「ファン」は、大企業ならば球団経営を永遠に続けられる、と思い込んでいる。それは、日本経済・大企業への盲信であり、それと裏腹に、大企業は大もうけした利益を大衆のために吐き出せと脅迫する、「日本型社会主義」が背景にある”と書いた。大企業ならプロ野球を所有する義務があり、たとえ赤字であっても、「ファン」に野球を見せ続けなければいけない――という、大企業だのみが既に限界にあることを指摘した。 さて、球団売却話が出た西武鉄道グループ(コクド)だが、実は球団売却の意思はなく、リストラのポーズだという見方がここにきて有力になってきた。売却の意思がないにもかかわらず、売却をするという噂をコクド側が意図的に流したのならば、マスコミが形成してきた「ファンの夢である聖なる球団」を逆手に取った、かなり悪質なリーク作戦である。球団の利用価値にもいろいろあるものだ。「球団維持のためならなんでもあり、球団売却はよっぽどのこと」というおかしな価値観が社会に育まれてしまったのだ。 日本のプロ野球を巡る頽廃は、底なしのドル沼状態、いやそれ以上に達した。プロ野球球団だって、なくなることもあるよ、というのが健全な経済観であり価値観だろう。球団数は何があっても減らしてはいけないというのは、かなり奇怪な価値観だと私は思う。
西武鉄道グループ(コクド)が西武ライオンズを売却し、プロ野球から撤退する方針であるとの報道が流れた。売却の理由は、主力のレジャー事業の不振に加え、西武鉄道の有価証券報告書虚偽記載問題に端を発した西武鉄道株の急落で財務体質の悪化が進行。また有価証券報告書訂正前にコクドが企業に売却した西武鉄道株の買い戻し請求もこれから相次ぐと見られ、球団売却を含め抜本的なリストラが不可避と判断したとみられる。 西武ライオンズはコクドの100%子会社で資本金は1億円。コクドは200億〜250億円程度の売却額を提示している模様。楽天の新規参入で来季の2リーグ12球団体制が固まったプロ野球界だが、ホークス売却問題に加えてライオンズ売却も浮上したことで、新たな対応を迫られることになった。 ほーら見ろ、いわんこっちゃないじゃないか。9月10日の当コラムで私が西武の離脱を予測したとおりになった。日本プロ野球機構というところはまったくもって、ノーテンキの集まり。素人の私がこれからも球団売却は起こるよと言っているのに、彼らは楽天だライブドアだと現を抜かし、審査とやらで時間をつぶしていた。プロ野球球団が置かれている状況は、「12球団維持」という旧体制の維持で済む問題ではないのだ。 私が指摘したように、東急、国鉄、西鉄、南海、阪急そして近鉄と、鉄道会社がリーグから消滅した。そして、ダイエーという小売業を装った不動産会社が消えるだろう。鉄道会社も土地を基本とした企業だ。いまになって、土地バブルがはじけた感がある。これをバブル処理が進んだ結果と見るか、いよいよ潜伏していたバブル後遺症が顕在化した結果と見るかだが、いずれも同じことで、地価に依存した「経営」が破綻したという事実の投影だ。 企業名を冠した球団名のまま、プロ野球界を襲う激流を裁くには、球団売買・新規参入を完全自由化するしかない。いま思えば、近鉄・オリックス合併話が出たとき、ライブドアからの買収オファーを機構が排除したことが誤りだった。球団を買いたいところがあるうちに、売った方がいいということが教訓として残った。近鉄も合併などしないで、高値で売ればよかったと悔やんでいるに違いない。商売人ならそれが自然の感情だ 私はプロ野球球団は私財であり、マーケティングの価値に規定されていると何度も書いた。新聞等が言うように、公共財であれば、売買に縛りがかかってしまうが、プロ野球球団の価値はいまが最高値であり、これからは急激に下落に向かう。換言すれば、プロ野球の人気はいまがピークで、これからは普通のプロスポーツの1つに収まるということだ。 何度も繰り返すが、日本のプロ野球球団は「文化」「公共財」「ファンの夢」ではない。明らかな私財である。だから、機構が新規参入者を「審査」して「ふさわしい者」を選ぶなどという、集団的指導体制を擁護してはいけない。球団という私財を取引する自由を阻害するような報道は謹んでいただきたい。 これからプロ野球がどうなるかといえば、球団所有企業の交代が続き、知名度アップといううまみが薄れてくる、つまり、球団のマーケティング価値は下落する。その理由は、ファンが球団名の上がコロコロ変わって愛着をなくし応援しなくなるというか、応援できなくなるからだ。 自壊どころではないのだが、結果、いままでの開発独裁的プロ野球機構が自由経済を経て市場の失敗を経験し、社会的価値の下に再構築される。そのとき、「巨人」=読売グループ主導の機構も消滅する。かくして、地域ごとに再編されたフランチャイズ制度が確立し、普通のプロスポーツの1つとして、各球団それぞれがファンに愛されることになる。そうなって初めて、公共財としてのプロ野球球団が誕生する。もちろん、球団名から企業名は外されている。経営的には、複数の企業・個人・公共団体等が出資(投資)をし、アセットマネジャー(資産管理会社)が球団を経営することになる。所有(投資)と経営(資産管理)が完全に分離する。もちろん、大金持ちが球団を高値で買いたいといえば、売ればいい。投資家にその益を配当すればいい。
報道によると、ダイエーが米投資ファンドのコロニー・キャピタルとの間で、コロニーが指定する企業に福岡ダイエーホークスを売却しなければならないという秘密契約を結んでいることが明らかになったという。ダイエーを支援するため査定を進めている産業再生機構はダイエーに説明を求める方針のようだ。このことは「外資による事実上の球団支配」に当たり、プロ野球機構の規程に反する疑いが濃い。 ダイエーは今年3月、コロニーに福岡市のホテルとドーム球場を売却した際に同契約を結んだようだ。まずコロニーがダイエーに対し球団の売却先候補を推薦し、ダイエーはプロ野球機構にそれを承認するよう働きかける。球団の譲渡価格はあらかじめ50億円と決められている。それ以外に球団の新オーナーは年間約30億円を広告宣伝費として負担する。初年度の新オーナーの負担額は合計80億円にものぼるという。 おやおや、ダイエー球団は、「公共財」を運営する主体にあってはならない取り決めをしているではないか。そればかりではない、ちょっと前のソフトバンクの球団買収報道(騒動)は何だったのか。ソフトバンクの孫社長は報道機関に対し、「(球団買収について)かなり前から、ダイエー側と交渉を行ってきた」というような意味の発言をしていた。となると、孫氏が嘘をついた――か、あるいは、ダイエー側が「密約」を隠して、孫氏に対応していた――か、のどちらかだ。私の推測ではもちろん後者だ。 ダイエー球団は、経営幹部の一人がセクハラ問題を起こして辞任した。今度は、プロ野球機構規程に反する可能性の高い密約を交わしていたことが明らかになった。しかも、密約は新たな買い手に高負担を強いる内容になっているから、契約に係る重要事項の隠匿に当たる。孫氏はとんでもない「買い物」をするところだった。 ダイエー及びダイエー球団がバブル時代、不透明な不動産投資を行ったという噂もある。産業再生機構がダイエーの経営実態を透明化するに伴い、ダイエー球団の経営実態も明らかになるだろう。産業再生機構の下、この先、何が出てくるかわからない。 ダイエー球団の買収の話は、ダイエーグループの経営の全貌が明らかになってからで遅くないばかりか、それなくして球団買収を進めてはならない。パリーグが5球団になって「ファンの夢」が消えてしまったとしても、真相解明の方がよっぽど大事である。マスコミは今度ばかりは、「プロ野球は文化だ」などと言わないでほしいし、選手もストなど打たないでほしい。球団の数を揃えさえれば、プロ野球が発展するわけではないのだから。
| 2004年11月03日(水) |
プロ野球を歪めているのは・・・ |
報道によると、プロ野球は2日、都内のホテルで12球団の代表者が出席する実行委員会、引き続きオーナー会議を開き、パ・リーグへの新規加盟を申請していた情報技術(IT)関連企業のライブドアと楽天について最終審査を行い、楽天の参入を正式に承認したという。 これにより、来季はセパ6球団、合計12球団が確保され、新球団には多くの課題があると言われているものの、形式的には今季の体制が継続されることになった。読売が仕掛けた1リーグ制は阻止され、選手会、「ファン」、マスコミが望んだ結果が実現した。今回落選したライブドアの参入表明及び選手会のストが効を奏したと総括されているようだ。来季、ライブドアを押しのけて新規参入した楽天がそれなりの成績をおさめ、仙台球場に客が集まれば、構造的改革の必要性は隠蔽され、プロ野球は表面的危機を脱したことになるのかもしれない。 さて、日本人は野球が好きだ、これほど愛されるスポーツはないと、また、当コラムで何度も引用したように、「プロ野球は文化」だと言われている。思えば、近鉄・オリックスの合併が発表されたとき、マスコミはこぞって反対の論陣を張った。そしていま、新球団誕生をトップ記事で扱っている。ここまでの「騒動」に係る報道は、ほかのスポーツのそれに比べて、異常に大きい。マスコミは「事件」を人々の関心に応じて大きくも小さくも扱うと言われるが、私には、それは“卵が先か、鶏が先か”に近い。マスコミが報道するから人々は関心を高めるのであって、その逆ではないと。 私にとって、プロ野球はスポーツの1つであって、それ以外の何ものでもない。野球が見ていておもしろいスポーツかと問われれば、退屈度という尺度を使えば、おそらくトップクラスの高さだろう。野球の醍醐味の1つとして、ランナーのホームベース突入シーンがあると言われるが、確かにそのとおりで、このくらいしか野球に格闘技的要素を見つけ出すことはできない。豪腕投手の切れのいいスライダーは、テレビで見ていても脅威を感じるが、格闘技がもつ超人的パワーとはほど遠い。野球は、守備と攻撃が分離されているので、攻撃のときは絶対に相手が得点を上げることがないので、安心してトイレに行ける。緊張度という尺度を使えば、野球は低い方から数えてトップクラスだろう。 それでも、日本人は野球が好きだ。趣味の問題だから、「好きな人」に文句を言う筋はないけれど、野球に関心がない人も世の中にはたくさんいるのだし、野球ばかりを肥大して扱うのはいかがなものか。たとえば、バスケットボールの田臥が日本人で初めて米国のNBAの開幕登録メンバーに入った。このことのすごさは、“楽天だ、ライブドアだ”の比ではない。 私のスポーツに対する関心は、まず第一にスポーツそのものであって、球団の所有者がどこかではない。ただ、いいスポーツを実現すために、合理的制度を構築することが求められているだけだ。 このたびのプロ野球を巡る騒動は、制度疲労に関するものであって、そちらのほうがスポーツそのものよりも社会的関心が高かった。このことはプロ野球の歪み・ひずみの自己証明にほかならない。歪み・ひずみの元凶がマスコミの報道姿勢にあることは、言うまでもない。
| 2004年11月01日(月) |
プロ野球改革の声はいまどこに |
パリーグに誕生する新球団が11月2日に決定する。報道によると、プロ野球実行委員会が29日、東京都内のホテルで開かれ、新規参入球団を11月2日のオーナー会議で決めることを確認したという。記者会見で、豊蔵一実行委議長(セ・リーグ会長)は、1社を新規参入させること、仙台市を本拠地に名乗りを上げている情報技術(IT)関連企業のライブドア、楽天のどちらかを選ぶことを明言したらしい。 近鉄が撤退を決めてから、選手会のスト決行、ライブドア、楽天の新規参入声明、ダイエーの産業再生機構入りからソフトバンクのダイエーホークス買収声明発表と続いた大騒動の幕引きがいよいよ近い。 しかし、問題は解決されたのだろうか。来季の目玉は新規参入球団の「活躍」と、セパ交流試合がでいいのだろうか。そもそも、プロ野球に求められていたのは、地域密着による市民球団化ではなかったのか。地域に根ざすことにより安定した入場料収入等を確保し、慢性的赤字を解消することではなかったのか。それには放映権料収入、MD収入等を機構が一括管理し、全球団に等しく分配することを必要としたのではなかったのか。ドラフト制度を復活し、戦力均衡を目指しスポーツとしての面白さを追求するはずではなかったのか。読売(巨人)という全国的人気球団に全面的に依存した体質を改善し、かつ、読売(巨人)によるプロ野球支配を自壊させ、地域型のフランチャイズとマイナーリーグ創設により、野球人口・野球人気の基盤を再構築することではなかったのか。 さて、この間の騒動で明確になったことは皮肉にも、プロ野球球団のもつ価値の高さだった。まず企業は、プロ野球参入が知名度アップ、企業イメージアップという面で、計り知れない効果が得られることを再認識した。遊んでいる金をプロ野球に注ぎ込めば、それ以外の方法よりもはるかに大きな効果が期待できる。 次に、プロ野球を運営する側(プロ野球機構)は、新規参入声明が相次いだことにより、球団の価値の高さを改めて認識し、自信を深めたに違いない。「野球はサッカーなんかに負けることはない、参入したがっている企業はいくらでもある、(殿様気分で、)審査とやらをやってやろうではないか、機構に入りたければ、頭を下げろ」と。 残念だが、企業はプロ野球球団を持ちたい。いや持たなくてもいいから、マスコミの報道の対象とされたい――と願うのが現実である。以前当コラムで書いたように、消費者がマーケティングでいうところの「AIDMAの法則」に従ってモノを購入する以上、企業は知名度アップに注力しなければならない。記事として報道されれば、広告料なしで、広告以上の利益が得られる。 さらに、マスコミ(報道側)も自信を深めたに違いない。「球団を持てば、俺たちが報道してやるよ、だから、市民球団なんて幻想を持つのやめとけよ、お互いうまくやろうぜ」と。プロ野球が地域に根ざせば、朝日新聞・毎日新聞が主催する「高校野球」の基盤が侵食される。たかだかハイスクールボーイがやる野球を「純粋アマチュア」という建前で高付加価値化し、いまや、高校野球報道は、スポーツの扱いを越える領域にまで到達している。高校野球は、マスコミがつくりあげた、日本の巨大幻想の1つである。高校野球とプロ野球という2つの商品を「野球文化」として作り上げた朝日(高校野球)と読売(巨人プロ野球)の「功績」は、だれにも真似できない。巨大幻想が自壊するまでおそらく、あと50年はかかる。 こうして、プロ野球の「公共財」としての価値は、日本の企業・マスコミが醸成する風土のなかでかえりみられることはなくなった。<企業所有球団=私財=マスコミ>による共通利益優先のため、<市民球団=公共財=地域住民(ファン)>というスキームによる、新しいプロ野球構想は葬り去られた。 プロ野球は残念だが、理念による再構築の道を閉ざし、これまでどおり企業のマーケティング戦略のなかにとどまる道を選んでしまった。プロ野球の理想の未来について人々が語ることはあるまい。少なくとも、ここで追求をやめてしまったプロ野球人、マスコミにはそれを語る資格はない。
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